ガチガチ肩の原因と症状は!五十肩を一瞬で治す?おすすめのストレッチと治し方
掲載日:2024.06.26
1.五十肩って何?
2.五十肩の正体
3.五十肩と四十肩の違い
4.肩こりとの違い
5.五十肩の症状
6.五十肩の診断
7.五十肩におすすめのストレッチ
8.右肩が痛い場合の対処法
9.左肩が痛い場合の対処法
10.五十肩を一瞬で治すストレッチ
11.痛みが続いてよくならない場合
12.五十肩にならないようにするには?
13.まとめ
1.五十肩って何?
五十肩(または四十肩)は、肩の痛みと動きにくくなる状態で、主に40歳以上の中高年に発症し、日本人の2〜5%が経験すると言われる極めてありふれた病態です。五十肩という名称は江戸時代から使われていますが、正式には「肩関節周囲炎」「凍結肩」「拘縮肩」「癒着性肩関節包炎」などと少し難しい言葉で呼ばれています。しかし、具体的にこの病態が発症するメカニズムは未だ完全には解明されていません。五十肩は突然発症することが多く、右肩または左肩のどちらか一方に症状が出現し、急性期、慢性期(拘縮期)、回復期の3つに分けられます。
2.五十肩の正体
五十肩の原因は一つではなく、いくつかの要因が組み合わさって発症します。一般的な原因としては、以下のようなものがあります:
1.加齢
年齢とともに肩の関節、つまり骨と骨を繋いでいる関節包という袋や周囲のスジ(腱板や上腕二頭筋腱)が変性して硬くなり、肩の動きが悪くなります。
2.使いすぎ
肩を繰り返し使ったり重量物を運ぶ仕事やスポーツで肩を力いっぱい振るテニスのサーブやバレーボールのアタック動作などが原因で炎症が生じます。
3.外傷
転倒して手をついたり、不自然な姿勢で肩をひねるなどによる外傷が引き金になります。しかし、肩の中にあるスジが切れて腱板断裂という状態でも、レントゲンしか撮影されずに五十肩と診断されていることがあります。
4.姿勢が悪い
実は五十肩の一番多い原因です。パソコンを長時間使うデスクワーク業務では、猫背やまき肩など不良姿勢になることで肩甲骨が前方、内側に傾き、肩にとても負担がかかります。
3.五十肩と四十肩の違い
五十肩と四十肩の違いは何でしょう?実は、単に発症した年齢による呼び名の違いです。四十肩は40代に発症するものを指し、五十肩は50代に発症するもの、同じく60代は六十肩、70代は七十肩と称します。しかし、症状や治療法に大きな違いはなく、どちらも肩の関節周囲に炎症が起こる点では共通しています。
4.肩こりとの違い
肩こりは僧帽筋、肩甲挙筋、頭半棘筋、頭頸板状筋など首の周り筋肉が疲労することが原因で、関節の動きは悪くなりません。五十肩は関節に炎症が起こり、関節が硬くなって関節の動きが悪くなります。
5.五十肩の症状
五十肩の主な症状は、以下の2つです。
1.肩の痛み
急性期は特に痛みが強く、肩のあたりが重苦しくなり、ズキズキと、うずくような痛みになります。夜間は特に痛みが強く、じっとしていても痛い、寝返りもできないような痛みになります。 慢性期になると安静時や夜間の痛みは軽くなりますが、肩を動かすと痛みは強くなります。
2.肩の可動域が狭くなる
痛みがあるため肩を動かす範囲が狭くなる、つまり関節の可動域が制限されて腕を上げたり身体の後ろに持っていくのが難しくなります。動かさないことでさらに関節が硬くなり、動きが制限される悪循環に陥ります。日常生活では、上着を着る、引き戸の開け閉め、エプロンや下着の結帯、洗濯物を吊るす、など色々な支障が出ます。
6.五十肩の診断
病状の問診を行います。いつから痛みが出現してきたか、どうして痛みが出てきていつから肩が動かしにくくなったか、その後、痛みがどうなったか、日常の生活や仕事に支障がないか、腕のしびれがないか、などを詳しく聴取します。過去や現在の病気、治療中であれば内服薬などを確認します。糖尿病や甲状腺疾患は五十肩になりやすいと報告されています。診察では、色々な方向で肩の動きを左右で比較して確認し、痛みが出やすい肢位もチェックします。画像診断ではレントゲン撮影で肩のアライメントや石灰沈着の有無、軟骨の状態を確認し、エコーでは腱板の状態や関節に水が溜まっていないかを見ます。MRIでは五十肩の場合、上腕骨頭と肩甲骨臼蓋を包んでいる肩甲上腕関節の関節包が肥厚すること(図1)や腱と腱の間にある柔らかい組織である腱板疎部の炎症が見られます。
7.五十肩におすすめのストレッチ
ペンドゥラム・ストレッチ(振り子運動)
1. 立ったまま、体を前に90度傾けて右腕を垂らします。
2. 腕を自然に垂らし、体から円を描くように小さな円を描く動作を繰り返します。
3. 反対方向にも同様に円を描くよう行い、1回につき30秒ずつ繰り返します。
4. 痛みのない範囲でできるだけゆっくりと大きな円を描くようにします。
肩を外転45度で内外旋(上腕骨解剖軸回旋運動)
1. 仰向けに寝て両肩を45度横に開きます。
2. その状態で手を伸ばしたまま両手を10回ずつ無理のない範囲で内外旋します。
横向き前方挙上
1. 右肩を上にして横向きに寝ます
2. ゆっくり息を吸って吐きながら右腕を前から出来るだけ上げていきます。
3. 無理をせず、痛みを感じない範囲で3回行います。(三角筋が緊張しないので挙上しやすくなります)
ストレッチの注意点
無理をしないで痛みが強くなれば中止しましょう。肩の動きが良くなるまで、毎日継続することが大事です。
8.右肩が痛い場合の対処法
右肩にだけ痛みがある場合でも、上記のストレッチを行うことで症状の改善が期待できます。いずれのストレッチも医学的根拠があり有意に肩の動きが改善することが報告されています。
9.左肩が痛い場合の対処法
左肩が痛い場合も基本的な対処法は右肩と同じです。左肩の痛みは狭心症や心筋梗塞など心臓が痛みの原因になることがあるので、息苦しさや背部に放散する痛みの時は直ちに循環器科の診察が必要です。
10.五十肩を一瞬で治すストレッチ
残念ながら、五十肩を一瞬で治すストレッチはありません。根気よく先ほどのストレッチを続けましょう。しかし、五十肩が一瞬で良くなる治療はあります。それが非観血的受動術(サイレントマニュピレーション)です。入院することなく、外来で治療が可能です。エコー下に患側の頸椎神経根ブロックを行い、完全に痛みを取ってから肩の動きを改善する治療です。過去の報告や当院での治療データでは、肩の動きが良くなるだけでなく、肩の痛みや日常生活動作もとても改善されます。
11.痛みが続いてよくならない場合
正常腱板 | 断裂した腱板 |
五十肩の症状がひどい場合や、ストレッチをしても改善しない場合は、必ずMRIやエコーなど画像診断を受けましょう。五十肩の約30%に腱板断裂が見逃されていたという報告もあります。そして腱板断裂や石灰沈着性腱板炎、関節唇損傷などが確認できず、難治性の五十肩であると診断された場合は、内視鏡で肩の炎症を起こした滑膜を郭清して関節包を緩める手術が適応になることがあります。まずは整形外科専門医の診察を受けて正しい診断をうけ、医師による適切な治療が必要になります。
12.五十肩にならないようにするには?
五十肩を予防するには、日常生活での工夫も重要です。以下のポイントに注意しましょう
1.正しい姿勢をとる
猫背や巻き肩にならないよう良い姿勢を保つことで、肩の負担を軽くします。
2.運動する
ラジオ体操やヨガなど 簡単に楽しくでき運動を心がけて肩の柔軟性を保ちましょう
13.まとめ
五十肩は中高年に多く見られる症状で、原因は様々です。正しいストレッチを続けることで痛みが軽くなって、肩の動きも良くなることが可能です。ただし、痛みがひどい場合やストレッチで改善しない場合は、肩の動きが悪くなる前に整形外科専門医の診察を受けましょう。
肩関節の症例について
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