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肩の腱板断裂は自然に治る?

掲載日:2024.02.22

肩の腱板断裂は自然に治る?


腱板(けんばん)断裂は、肩の関節を支える重要な機能を支える腱板が部分的または完全に断裂する状態を指します。このコラムでは、腱板断裂が自然に治るのか、治療法、予防策についてわかりやすく解説します。

————目次————
 
1.腱板断裂とは?
2.原因
  2-1.急性の断裂
  2-2.徐々に進行する断裂(変性断裂)
3.自然治癒の可能性
4.治療法
  4-1.保存治療
  4-2.外科治療
5.予防
6.まとめ

1.腱板断裂とは?


腱板は、肩関節の安定性と動きを支える4つの筋肉(肩甲下筋、棘上筋、棘下筋、小円筋)の腱から構成されています。肩関節は人間の関節で最も動く範囲が大きな関節で、腱板は肩の動きをスムーズにして、様々な方向への力強い動きを可能にする役割があります。腱板断裂は、これらの腱の一部が破損することで発生し、痛み、動きの制限、力の低下など、普段の生活にも悪影響を及ぼします。

2.原因

腱板断裂の原因は、主に以下の二つに分類されます。

1.急性の断裂

重い物を持ち上げる、肩を強打する、転倒して手を突く、思い切りボールやラケットを投げるなど、突然の大きな負荷がかかった時に発生します。

2.徐々に進行する断裂(変性断裂)

年齢とともに腱板が徐々に硬くなって擦り切れ、小さな断裂が徐々に大きくなることで発生します。50歳以降に発症することが多いので、五十肩と間違えられることがあります。

3.自然治癒の可能性

腱板断裂が自然に治るかどうかは、断裂の程度によります。ごく小さな部分断裂であれば、肩に無理がかからないよう安静にしてリハビリテーションにより自然治癒の可能性があります。完全断裂や広範囲の断裂の場合、自然に治ることはありません。放置していると断裂が大きくなり、徐々に筋肉が脂肪変性していき、年単位で肩関節全体が変形していきます。痛みが続く場合は外科治療が必要になることがあります。

4.治療法

腱板断裂の治療法は、断裂の程度、症状の重さ、患者さんの年齢、生活スタイルによって異なります。

1.保存治療

軽度から中度の断裂では、物理療法、痛み止めの薬、ステロイド注射などが有効です。急性期の痛みが治まれば、リハビリによって肩の機能の改善を目指します。

2.外科治療


完全断裂や保存的治療で改善が見られない場合、腱板修復手術が推奨されます。特に内視鏡による手術では、キズが目立たず、筋肉への損傷も少なく、回復も早くなる傾向にあります。最近は傷んだ腱板の再生を促進するコラーゲンシートによる治療が保険適応となりました。

5.予防

腱板断裂の予防としては、肩の筋肉を強化し、柔軟性を保つことが重要です。定期的な運動とストレッチングにより、肩周りの筋肉をサポートし、断裂のリスクを減らすことができます。また、肩によくない姿勢を避けることが予防につながります。

6.まとめ


腱板断裂が自然に治るかどうかは、断裂の大きさに左右されます。軽度のものは適切なケアとリハビリで改善が期待できる一方で、重度の場合は外科的治療が必要になることがあります。確定診断にはMRIが非常に有用ですが、最近は運動器エコーでも早期診断が可能です。肩の痛みや生活に困る前に、早期発見・早期治療を心がけましょう。何か肩に異常を感じたら、整形外科専門医の診察を受けることをお勧めします。
 
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