中山クリニック

靱帯や軟骨損傷が引き起こす膝の裏の痛みについて

掲載日:2024.03.05

靱帯や軟骨損傷が引き起こす膝の裏の痛みについて


はじめに、膝の裏の痛みは、私たちの生活に大きな影響を与えることがあります。日常生活や仕事はもちろん、スポーツを楽しみ、ジョギングやウォーキングなどをスムーズに行うために、健康な膝は欠かせません。このコラムでは、靱帯や軟骨損傷が膝の裏の痛みを引き起こす仕組みと、その治療方法について、わかりやく解説します

————目次————
 

1.膝の構造と機能
2.膝の裏の痛みの原因
3.検査方法
4.治療方法
  4-1.保存的治療
  4-2.観血的治療
  4-3.再生医療による治療
5.中山クリニックでの診療

1.膝の構造と機能


膝は、大腿骨(太ももの骨)、脛骨(すねの骨)、および膝蓋骨(ひざのお皿)の3つの骨で構成されています。これらの骨は、ひざの中にある2つの前十字靭帯と後十字靭帯、ひざの外にある2つの側副靭帯と膝蓋靭帯、膝窩靭帯、内と外の2つの半月板、関節軟骨などによって支えられ、安定した動きを可能にしています。靱帯は骨と骨をつないで安定性をもたらし、軟骨は骨同士の摩擦を減らしてクッションの役割を担い、スムーズな動きをサポートします。

2.膝の裏の痛みの原因

図1A後十字靭帯損傷例 図1B正常例

膝の裏の痛みは、靱帯の損傷や軟骨の損傷によって引き起こされます。ジャンプして着地した時の急に立ち止まる動作やスポーツ中の急な方向転換や、不安定な地面での踏み外し、など、膝に大きな負担がかかり、靱帯や軟骨が損傷することがあります。膝を曲げたまま地面に転倒する時に起こる後十字靭帯の損傷(図1)は膝の裏が痛くなり、小さな裂離骨折(急に筋肉や靭帯に引っ張られて骨が剥がれる骨折)を合併する(図2)ことがあります。勢いよく階段の昇り降りしたり急に立ち上がった時に起こる内側半月板後根損傷(図3)は特に膝の裏が痛くなり、歩きにくくなることがあります。

3.検査方法

図2 図3

膝の裏の痛みの原因を正確に診断するためには、レントゲンでは診断できず、MRIやCT、超音波画像診断(エコー)が有用です。この患者さんは75歳で転倒して膝をついて受傷され、膝の裏が痛いので歩いて来院されました。膝CTで脛骨の裂離骨折を認めます(図2)。膝の裏が痛くなるこれらの検査によって、靱帯や軟骨の損傷の程度を詳しく確認することができます。

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4.治療方法

治療方法は、主に以下の3つに分類されます。

1.保存的治療


急性期には患部の冷却と安静、下肢を挙上して腫れをとることが重要です。その後は、リハビリによる可動域訓練や筋力訓練を開始します。膝裏のストレッチと膝蓋靭帯のストレッチからROM(Range of motion)訓練を行い、膝周囲だけでなく股関節や体幹の筋力を強くして下肢全体の安定化を目標にします。

2.観血的治療


靭帯や半月板が損傷してリハビリによる機能改善が望めない場合は手術治療が適応になります。関節鏡治療は、小さな切開から関節鏡を挿入し、損傷した靱帯や軟骨を直接観察しながら治療を行う方法です。関節鏡専用の特殊な器具を使用して靭帯や半月板を再建したり修復します。この治療は、患者さんの負担が少なく、回復が早いという利点があります。

3.再生医療による治療


最近の医学の進歩により、再生医療が膝の裏の痛みの治療に役立てられるようになりました。再生医療とは、自分の血液や脂肪細胞を利用して、損傷した機能の再生をはかる治療です。組織や関節の炎症を抑えて損傷した靱帯や軟骨を再生させる環境を作ることで、膝の機能を回復させ痛みを取る方法です。保存的治療と観血的治療の間に位置づけされる治療方法です。中山クリニックでは、いずれの治療も患者さんの病態に合わせて提供しています。
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8.中山クリニックでの診療


兵庫県明石市の中山クリニックでは、整形外科領域の診察は全て日本整形外科学会に認定された整形外科専門医が行います。下肢全体のアライメントを立った状態のレントゲンで確認して、MRI、CT、エコーなどを必要に応じて検査します。患者さん一人ひとりの状態に合わせた最適な治療計画を立て、膝の裏の痛みを根本から解決することを目指しています。

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