中山クリニック

膝再生医療:未来への扉を開く新たな治療法

掲載日:2024.01.12

膝再生医療:未来への扉を開く新たな治療法

膝の痛みは、階段の昇り降りやしゃがむ動作、立ち上がりや動き始めなど、普段の生活にとても辛い思いをすることになります。40歳以降に痛みが起こる原因は、関節軟骨がすり減ることによる関節の痛み、膝蓋靱帯や大腿二頭筋腱など腱の痛み、滑液包(液体で満たされた袋で、皮膚、筋肉、腱、靱帯と骨の間にあるクッション役割)の痛みに分けられます。腱や滑液包の痛みはストレッチやブロック注射でほぼ楽になります。しかし関節の痛みは、ひどくなると治りません。そして痛み止めの内服、リハビリ治療やヒアルロン酸関節注射などの保存治療で痛みが続く時は、人工関節置換術や矯正骨切り術、関節鏡による手術が適応となってきました。しかし、手術は入院が必要となるし、骨を切られるのは抵抗があるなあ。という方もたくさんおられると思います。そこで、膝の痛みを解決するための新しいアプローチとして、膝の再生医療が注目を集めています。再生医療は、自分の体の細胞を使って損傷した組織や器官を修復、再生し、痛みの原因となる炎症を抑えることを目指す新しい治療です。再生医療の主な適応は保存治療で治らない変形性膝関節症による痛みです。

————目次————
 
1.膝再生医療の治療方法
2.効果:痛みが軽減して日常生活が楽になる
3.再生医療のデメリット
4.ひざの痛みで再生医療を考えている方へ

1.膝再生医療の治療方法

膝再生医療には、主に以下のような治療があります。
 
1. 血液を材料に使う治療
患者さん自身の血液を採取し、遠心分離器と薬品を使って損傷した組織の自然な修復を促すタンパク質(成長因子)や炎症を抑える物質(抗炎症性サイトカイン)を利用して治療します。治療の効果として、痛みの原因となる炎症反応を抑えて、細胞の成長と分化を刺激して損傷した膝の組織の自然な修復を促進します。最近はPRP治療
 
2. 幹細胞を材料に使う治療
体内の健康な脂肪や滑膜細胞、骨髄を取り出して、抗炎症作用や組織修復能力を持つ体性幹細胞を増殖させて利用して治療します。脂肪由来の幹細胞が最も用いられます。
 
3. 分化した軟骨細胞を使う治療
患者さん自身の関節軟骨を取り出し、一旦体外で培養して欠損した軟骨に移植します。軟骨を取り出す時と移植する時は全身麻酔か脊椎麻酔での手術が必要になります。一部の疾患では保険診療の適応となります。
 

2.効果:痛みが軽減して日常生活が楽になる

膝再生医療の最大の効果は、痛みが軽くなることと膝関節の機能が良くなることです。また再生医療は、自分の組織を利用するのでアレルギー反応や感染症など重篤な合併症は極めて少ないことがメリットです。関節の柔軟性が増し、日常生活での動作が楽になります。階段の昇り降りが楽になり、仕事やスポーツに復帰することも可能です。当院では、テニスのマスターズ大会に復帰できた方がおられます。人工関節置換手術を避けるための選択肢となります。

3.再生医療のデメリット

血液や脂肪細胞を材料に使う場合は入院も必要なく、1時間以内で処置が終わります。デメリットは、感染の危険性がゼロではないこと、保険診療の適応にはならないため、医療費控除の適応にはなりますが、全額自己負担であることです。また全ての医療行為に当てはまる事ですが、必ずしも痛みが取れる保証がある治療ではないことです。また、再生医療はまだ発展途上の分野であり、長期的な効果や副作用については完全には明らかになっていません。

4.ひざの痛みで再生医療を考えている方へ

まず整形外科専門医の診断を受けましょう。ひざMRIで再生医療の適応になるか、わかりやすく説明します。