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かかとが痛い 何が原因

掲載日:2024.03.15

かかとが痛い 何が原因


皆さんは歩いているとき、かかとが痛くなった経験はありませんか?このような痛みはとてもよく見られる症状で、誰でも経験する可能性があります。しかし、その痛みの原因はさまざまです。今回は、かかとの痛みについて、その原因となる病気、そしてどのように対処すればいいのかについて、わかりやすく解説していきます。

————目次————
 

1.かかとが痛む主な原因
  1-1.踵骨骨棘(しょうこつこつきょく)
  1-2.足底筋膜炎(足底腱膜炎)
  1-3.アキレス腱炎
  1-4.アキレス腱周囲炎
  1-5.足根管症候群
  1-6.踵骨疲労骨折
  1-7.シーバー病 セーバー病(踵骨骨端症)
2.かかとの痛みを和らげる方法
  2-1.適切な靴を選ぶ
  2-2.ストレッチと運動
  2-3.休息と冷却
3.診断
  3-1.X線撮影
  3-2.MRI
  3-3.超音波検査
4.治療方法
  4-1.リハビリ
  4-2.インソール
  4-3.ブロック注射
  4-4.体外衝撃波治療
  4-5.PRP(多血小板血漿)治療
  4-6.手術
5.まとめ

1.かかとが痛む主な原因

かかとの痛みにはいくつかの原因がありますが、特に多いのは以下の3つです。

1. 踵骨骨棘(しょうこつこつきょく)

図1

踵骨骨棘の症例 正常例

踵骨骨棘は、図1のようにかかとの骨に棘のような突起ができる状態を指します。長時間立っていることや、安全靴を履いて仕事をする、スポーツ(陸上競技、剣道、体操など)などによる過度の負担が原因で起こります。X線撮影(レントゲン)で診断できます。

2. 足底筋膜炎(足底腱膜炎)

図2

足底筋膜炎エコー像 足底筋膜炎MRI像

足底筋膜炎は、足の裏、特にかかとからつま先にかけての筋膜に炎症が起こる病気です。筋肉や腱の老化が始まる40歳以降に好発します。朝起きた時の歩き始めや長時間歩いた後に痛みを感じることが特徴です。MRIやエコーで診断できます。超音波検査(エコー)では足底腱膜の踵骨付着部(かかとの骨の付着部)の厚みを調べていきます。健常な方の足底腱膜の厚さは通常約2~4mmであるのに対して足底腱膜炎の患者では約5~7mmと肥厚していることが確認できます。(図2)

3. アキレス腱炎


アキレス腱炎は、かかとのすぐ上にあるアキレス腱に炎症が起こる病気です。ランニングなどの運動後に痛みを感じやすくなります。MRI エコーで診断できます。

4. アキレス腱周囲炎

アキレス腱を包む周囲の膜(パラテノン)に炎症が起こる病気です。ダッシュやジャンプを繰り返すことによってアキレス腱周囲に負担がかかるのが原因といわれています。アキレス腱炎とよく似た症状ですが、圧痛の場所が違います。MRI エコーで診断できます。

5. 足根管症候群

踵や足の裏を支配する足底神経が圧迫されることでかかとが痛くなります。症状は、歩いたり特定の靴を履いた時に焼けつくような痛みやピリピリする痛みです。原因として、ガングリオンによる神経の圧迫や骨折後の変形、関節リウマチ、痛風などがあります。MRIや神経伝導速度を測って診断します。

6. 踵骨疲労骨折

踵骨疲労骨折の症例 正常例(XP像)

マラソンや長距離ランナーは慢性的なストレスがかかとに生じて疲労骨折を起こすことがあります。高齢者では、骨粗鬆症によって骨が脆くなり、長く歩きすぎたり階段から勢いよく降りた時に踵骨に骨折を生じることがあります(脆弱性骨折)。X線撮影では異常がなくてもMRIで診断ができます。

7. シーバー病 セーバー病 (踵骨骨端症)

シーバー病の症例 正常例

10歳前後の活発な男子に多く(女子の約2倍)、かかとに圧痛があり、少し腫れたようになります。痛みが強い場合は、つま先立ちで歩くようになります。痛みが強い場合は、スポーツを休止したり、頻度を減らすことで改善します。X線撮影で診断でき、炎症の強さはエコーで評価できます。

2.かかとの痛みを和らげる方法

かかとの痛みに対処する方法は、痛みの原因によって異なりますが、いくつかの共通した対策があります。

1. 適切な靴を選ぶ

痛みを引き起こす原因となる靴を避け、足に合った適切なサポートを提供する靴を選ぶことが重要です。

2. ストレッチと運動


特に足底筋膜炎やアキレス腱炎の場合、ストレッチや脚周囲の筋肉を強化する運動が効果的です。

3. 休息と冷却

運動後や痛みがひどい時は、足を高くして休息を取り、氷のうなどで冷やすことで痛みを和らげることができます。

3.診断

かかとの痛みの正確な原因を突き止めるためには、以下のような診断方法があります。

1. X線撮影


骨に異常があるかどうかを調べるためにレントゲン検査を行います。踵骨骨棘が疑われる場合には特に有効です。立位で撮影すると扁平足の評価ができます。

2. MRI


軟部組織や骨内部の状態を詳しく調べるために行われます。足底筋膜炎やアキレス腱炎など、腱の変性や断裂、骨の疲労骨折や骨挫傷も診断できます。

3. 超音波検査


アキレス腱や足底筋膜などの軟部組織の状態をリアルタイムで観察することができます。痛みの場所を確認しながら検査ができ、炎症や断裂などの診断に役立ちます。

4.治療方法

診断結果に基づいて、最も適切な治療法が選択されます。先ほどの痛みを和らげる方法で効果がない場合の治療を説明します。特に効果的な治療法である体外衝撃波治療とPRP治療について紹介します。

1. リハビリ


下腿三頭筋からアキレス腱、足部内在筋を含めて適切なストレッチを指導します。脚のアライメントが正しくなる筋力訓練を組み合わせます。

2. インソール

足底筋膜に負担がかからないよう、足の形に合わせた靴の中敷きを作成します。

3. ブロック注射


痛みが強く日常生活に困る場合には炎症を抑える注射も検討します。

4. 体外衝撃波治療


体外衝撃波治療は、痛みのある部位に対して高エネルギーの衝撃波を当てることで、痛みの原因となっている組織の自己修復を促す治療法です。足底筋膜炎や踵骨骨棘、アキレス腱炎などに効果があります。治療は数分で終わり、すぐに運動も可能です。
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5. PRP(多血小板血漿)治療


PRP治療は、患者さん自身の血液から多血小板血漿を抽出し、痛みのある部位に注入することで、組織の修復を促進する治療法です。特にアキレス腱炎や足底筋膜炎に対して効果が期待されます。治療後はすぐに日常生活に戻ることが可能です。
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6. 手術


以上の治療でも痛みが続く場合は、内視鏡を用いて骨棘や変性した足底筋膜を切除する方法があります。

4.まとめ


かかとの痛みは、その原因に応じてさまざまな治療法があります。自己判断せず、痛みが続く場合や日常生活に支障をきたす場合は、専門の医師に相談することが大切です。明石市の中山クリニックでは、リハビリやストレッチなどの保存治療はもちろん、体外衝撃波治療PRP治療などの最新の治療法を活用することで、かかとの痛みでお困りの方のお悩みを解決します。
 
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