股関節ストレッチを寝ながら1分!痛みを和らげる3つの方法
掲載日:2026.08.19(最終更新日:2026.08.19)

「立ち上がるとき、足の付け根がズキッとする」——そのお悩み、放っていませんか?
✅椅子から立ち上がるとき、足の付け根がズキッとする 😣
✅あぐらがかけない、靴下が履きにくくなった
✅歩き始めだけ痛くて、しばらくすると楽になる
✅「詰まったような感じ」がして、脚が上げにくい
こうしたお悩みは、外来で40代から70代の女性から特によく伺う訴えのひとつです。
「年のせいだから仕方ない」とあきらめてしまう方が多いのですが、実は寝たまま1分のストレッチで、動かしやすさが変わってくる方も少なくありません。
この記事では、痛みの仕組みから具体的なストレッチ、受診すべきサインまで順にお話しします。
1.なぜ40代以降の女性は股関節が痛くなりやすいの?
2.意外と知らない「インナーマッスル」と「アウターマッスル」の違い
3.「パンクした自転車」を、いくら速く漕いでも
4.ストレッチには意味がある?
5.寝ながら1分!股関節ストレッチ3選
6.3つ共通の注意点 —— ここを守ってください
7.慣れてきたら:股関節を「支える力」を足す2種目 💪
8.こんなときは整形外科へ 🏥【受診チェックリスト】
9.よくある質問(Q&A)
10.まとめ
1. なぜ40代以降の女性は股関節が痛くなりやすいの?

① 生まれつき「受け皿が浅い」体質の方が比較的多い
日本人女性には、股関節の受け皿(骨盤側のくぼみ)が浅い寛骨臼形成不全(かんこつきゅうけいせいふぜん)の方が比較的多いことが知られています。
受け皿が浅いと、同じ動きをしても関節の一点に負担が集中しやすいのです。「若い頃から特別なことはしていないのに痛くなった」という方は、この体質が背景にあることがあります。

② 男性と比べて筋肉量が少ない
筋肉は、関節にかかる衝撃を受け止めるクッションでもあります。筋肉量が少ないと、その分だけ関節そのものに負担がかかりやすくなります。
③ しゃがむ動作・立ち仕事が多い
掃除、洗濯物、風呂そうじ、庭仕事……。
しゃがむ・かがむ動作は股関節を深く曲げる動きです。毎日の積み重ねが負担になっていきます。
💡 つまり、股関節の痛みは「使いすぎ」だけでなく、もともとの骨の形+筋肉の少なさ+日常動作が重なって起こると考えられます。
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2. 意外と知らない「インナーマッスル」と「アウターマッスル」の違い

ここが今回いちばん大事なところです。自転車に例えるとわかりやすいので、少しお付き合いください🚲
アウターマッスル = 「ペダル」
お尻の大殿筋(だいでんきん)や太ももの筋肉など、体の表面にある大きな筋肉です。
体を大きく動かす原動力、つまりペダルの役割。ペダルを漕げば漕ぐほど、自転車はぐんぐん前に進みます。
インナーマッスル = 「ハンドル」と「タイヤ」
一方、関節のすぐ近くにある小さな筋肉が、腸腰筋・梨状筋・閉鎖筋(へいさきん)などのインナーマッスルです。
これらは、太ももの骨と骨盤の受け皿を覆っている関節包(かんせつほう)という袋にすぐ隣接しています。だから、インナーマッスルを動かすと関節包の柔軟性も一緒に改善が期待できるのです。
役割は、太ももの骨の丸い頭を骨盤の受け皿の中心にピタッと引きつけて安定させること。関節の近くの小さな筋肉が股関節の安定に関わることは、これまでの文献でも整理されています[1]。
| アウターマッスル | インナーマッスル | |
|---|---|---|
| 場所 | 体の表面(浅い層) | 関節のすぐ近く(深い層) |
| 代表的な筋肉 | 大殿筋・大腿四頭筋など | 腸腰筋・梨状筋・閉鎖筋など |
| 自転車で言うと | ペダル(進む力) | ハンドル・タイヤ(安定と舵取り) |
| 硬くなると | 動きが重くなる | 骨の頭が中心からずれる=詰まり感・痛み |
3. 「パンクした自転車」を、いくら速く漕いでも

インナーマッスルが硬くこわばると、太ももの骨の頭が受け皿の中心からわずかにずれた状態で動くことになります。
これは、パンクしたタイヤで自転車に乗っているようなもの。
いくらペダルを漕いでも乗り心地は良くなりませんよね。足の付け根に「詰まり感」や「ズキッとした痛み」が出やすくなります。
大きな筋肉を鍛えても痛みが取れにくいのは、このためだと考えられます。
🔑 だからこそ、「鍛える前に、まずインナーをゆるめる」。
これが今回いちばん覚えていただきたいポイントです。
4. ストレッチには意味がある?

「ストレッチくらいで変わるの?」と思われるかもしれません。
変形性股関節症の方への運動療法については、痛みの軽減や日常生活動作の改善につながることが、質の高い研究をまとめた報告で示されています[2]。股関節を伸ばす方向の柔軟性についても、ストレッチによる改善が臨床試験で報告されています[3]。
もちろん、すべての方に同じ効果が出るわけではありません。ただ、道具もいらず、布団の上で今日から始められるという点で、最初の一歩として取り組みやすい方法だと考えています。
5. 寝ながら1分!股関節ストレッチ3選

お待たせしました。布団やベッドの上で、仰向けのままできる3つのストレッチをご紹介します。
それぞれ左右あわせて約1分。3つ全部やっても、たったの3分です⏱️
① 片膝かかえストレッチ(腸腰筋)
🟨腰の下に枕を入れて仰向けに寝て、片方の膝を両手で胸に抱えます。
🟨反対側の脚は、まっすぐ伸ばしたまま。膝の裏を布団に軽く押しつけるイメージで。
🟨このとき、伸ばしている側の足首を90度に曲げて、かかとを前に押し出すようにすると、付け根がさらによく伸びます。伸びているのは、実は”伸ばしている側”の脚の付け根。ここに腸腰筋があります。
🟨20〜30秒キープして、左右を交代。反動はつけません。
腸腰筋は、背骨と骨盤から太ももの骨をつなぐ、股関節インナーの代表選手です。
💪 上級編(余裕が出てきたら)
🟨腰の下の枕を外します。
🟨ベッドの端で行い、伸ばす側の膝から下をベッドの外へ下ろします。
🟨腸腰筋に加えて、太もも前面(大腿四頭筋)のストレッチ効果も高まります。
※転落しないよう、ベッドの中央寄りで行ってください。
⚠️NG・注意点
❌ 腰を反らせて抱える(腰痛の原因になります)
⭕ 腰は布団につけたまま、「付け根の前がじんわり」で止める
② 4の字ストレッチ(梨状筋)

🟨仰向けで両膝を立てます。
🟨片方の足首を、反対側の膝の上にのせて、数字の「4」の形にします。
🟨下の脚の太もも裏を両手で抱え、ゆっくり胸のほうへ引き寄せます。
🟨お尻の奥が「じんわり」伸びたら、そこで20〜30秒。左右交代です。
お尻の奥にある梨状筋などの深層外旋筋は、股関節を深く曲げて、あぐらのように開く方向でよく伸びることが、筋肉の硬さを画像で測定した研究から報告されています[4]。
まさに、この「4の字」の姿勢です。
⚠️NG・注意点
❌ グイグイ引っ張って痛みを我慢する
⭕ 呼吸を止めず、「気持ちいい」の範囲で‼️
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③ 膝倒しワイパー体操 —— 実は「伸ばさない」ストレッチ

3つ目は、少し意外に思われるかもしれません。グーッと伸ばさないストレッチです。
🟨仰向けで両膝を立て、足は肩幅より少し広めに開きます。
🟨両膝をそろえずに、車のワイパーのように、ゆっくり右へパタン、左へパタンと倒す。
🟨痛みのない範囲で、10往復。約30秒〜1分です‼️
股関節は、「動かさないほど固まる」関節です。
この体操は、強く伸ばす代わりに、小さな揺れで関節まわりのインナーマッスルと関節包の緊張をやわらげ、動きをなめらかにすることを狙っています。
朝、起き上がる前の布団の中でやるのが特におすすめです🌅
📺 日中・外出先では、立ったままできる版もどうぞ
6. 3つ共通の注意点 —— ここを守ってください

❌ 痛みを我慢して行う(悪化のもとです。運動で痛みが強まる場合は中止してください)
❌ 反動をつける・回数をやりすぎる
⭕ 毎日少しずつ。入浴後・寝る前・起床時など、生活習慣にひもづけると続きます
⚠️
【重要】人工股関節の手術を受けた方は、これらの姿勢が制限されている場合があります。必ず主治医にご確認ください
痛みは、体からの大切なサインです。それがわかるのはご自身だけですから、見逃さないであげてください。
📺 腰痛もある方はこちら
7. 慣れてきたら:股関節を「支える力」を足す2種目 💪

ここまでが「ゆるめる」段階です。
2週間ほど続けて動かしやすさが出てきたら、次は支える筋肉を少しずつ足していく段階に進みます。
順番が大切で、硬いまま鍛えると軸がずれたまま負荷がかかってしまうため、必ずストレッチが先です。
こちらも仰向け・横向きのまま、寝たままできます。
④ ブリッジ(ヒップリフト)
🟨仰向けで両膝を立てます。
🟨お尻をゆっくり持ち上げ、お尻をキュッと縮めるように力を入れます。
🟨3秒キープして、ゆっくり下ろす。5〜10回が目安。
お尻の大殿筋と、太もも裏のハムストリングスを鍛える運動です。かかとを手の中指が届く位置まで引き寄せて膝を深く曲げると、腸腰筋のストレッチ効果も同時に得られます。
こうした運動が股関節まわりの機能改善につながることが報告されています[5]。ヒップラインが整うのも、うれしい副産物ですね😊
⑤ サイドレッグリフト(横向き足上げ)
🟨横向きに寝ます。下の脚は軽く曲げて安定させます。
🟨上の脚を伸ばしたまま、上がるところまでゆっくり上げて3秒キープします。
🟨5回繰り返し、反対側も同様にします‼️
鍛えているのは、股関節の外転筋(がいてんきん)。
骨盤を水平に保ち、歩行を安定させる筋肉です。股関節の外転筋を強化することが、変形性股関節症の痛みの軽減と機能の改善につながることが、研究のまとめで報告されています[6]。
⚠️④⑤共通の注意点
❌ 反動で勢いよく上げる/回数を欲張る
⭕ 痛みが出たらすぐ中止。まずは①〜③のストレッチだけでも十分です
8. こんなときは整形外科へ 🏥【受診チェックリスト】

股関節の痛みを我慢し続けると、変形性股関節症へ進行するリスクがあります。放置すると、
✅歩きにくくなって、外出や移動が制限される
✅座る・立つという基本的な動作がつらくなる
✅夜間痛から睡眠が浅くなる
といった負の連鎖につながることがあります。
股関節は移動の要ですから、機能を保つことがそのまま生活の質に直結します。
次の項目に当てはまるものはありませんか?
✅ 足の付け根の痛みが2〜3週間以上続いている
✅ 夜、寝ていても痛む(夜間痛)
✅ あぐらがかけない、靴下が履きにくい、足の爪が切りにくい
✅ 歩き始めの痛みが、だんだん強く・長くなっている
✅ 脚の長さが左右で違う気がする
✅ 転んだあとから急に痛くなった(骨折の可能性があります。すぐ受診してください)
これらは、変形性股関節症などが進行しているサインの可能性があります。
この記事のストレッチはあくまで一般的な健康情報であり、個別の診断ではありません。当てはまる方は、お近くの整形外科専門医を受診し、レントゲン、MRIでの評価を受けてください。
早く見つかるほど、選べる治療の幅が広がります。
📺 転倒後の痛みは骨折の可能性があります
9. よくある質問(Q&A)

Q1. 股関節ストレッチは、1日に何回やればいいですか?
A. 1日1〜2回で十分です。3種目すべてやっても約3分ですので、朝の起床時と入浴後など、生活の区切りにひもづけると続けやすくなります。回数を増やすより、毎日少しずつ続けるほうが大切です。
Q2. どのくらい続ければ変化を感じますか?
A. 感じ方には個人差がありますが、まずは2週間を目安に続けてみてください。変化が感じられない、あるいは痛みが強くなる場合は、自己判断で続けず整形外科にご相談ください。
Q3. 痛いのを我慢してでも伸ばしたほうが効きますか?
A. いいえ、逆効果になることがあります。目安は「イタ気持ちいい」ではなく、「じんわり気持ちいい」の範囲です。痛みを我慢して行うと、かえって筋肉が防御的に硬くなってしまうことがあります。
Q4. 股関節が痛いとき、やってはいけないことは?
A. ①反動をつけた無理なストレッチ、②痛みを我慢しての長時間の歩行や立ち仕事、③自己判断での過度な筋トレ、の3つは避けてください。特に「鍛えれば治る」と思って急にスクワットなどを始めるのは、痛みを悪化させることがあります。
Q5. 変形性股関節症と診断されていても、このストレッチはできますか?
A. 多くの場合、痛みのない範囲での運動療法は推奨されています[2]。ただし進行度によって適した内容は変わりますし、人工股関節の手術後の方は禁止されている動きがあります。必ず主治医にご確認のうえで行ってください。
10. まとめ

今回の大切なポイントを、3つに整理します📝
✅股関節痛は「アウターを鍛える」前に「インナーをゆるめる」。
✅寝ながら1分×3種目:①片膝かかえ ②4の字 ③膝倒しワイパー。
慣れたら④ブリッジ ⑤サイドレッグリフトで「支える力」を追加
✅夜間痛・2〜3週間以上続く痛みは、迷わず整形外科へ‼️
ストレッチは、「寝たまま・1分・気持ちいい範囲で」。
これを守って、まずは2週間、続けてみてください。
📺 動画で見たい方はコチラ‼️
【寝ながら1分】股関節の痛みがラクになるストレッチ3選|40代からの股関節痛
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※本記事は一般的な健康情報の提供を目的としたものであり、個別の診断・治療に代わるものではありません。症状が続く場合は必ず医療機関を受診してください。
参考文献
- Retchford TH, et al. Can local muscles augment stability in the hip? A narrative literature review. J Musculoskelet Neuronal Interact. 2013;13(1):1-12.
- Fransen M, et al. Exercise for osteoarthritis of the hip. Cochrane Database Syst Rev. 2014;(4):CD007912.
- Winters MV, et al. Passive versus active stretching of hip flexor muscles in subjects with limited hip extension: a randomized clinical trial. Phys Ther. 2004;84(9):800-807.
- Itsuda H, et al. Effective stretching positions of the piriformis muscle evaluated using shear wave elastography. J Sport Rehabil. 2024;33(4):282-288.
- Neto WK, et al. Gluteus maximus activation during common strength and hypertrophy exercises: a systematic review. J Sports Sci Med. 2020;19(1):195-203.
- Bennell KL, et al. Efficacy of hip strengthening exercises compared with other modalities for reducing pain and improving function in people with hip osteoarthritis: a systematic review and meta-analysis. Osteoarthritis Cartilage. 2010;18(6):691-702.
