足の付け根が痛い・股関節痛はいつの間にか骨折?原因と治療法
掲載日:2026.04.24(最終更新日:2026.04.24)

こんにちは。兵庫県明石市にある中山クリニックの整形外科専門医、中山潤一です🩺
「最近、足の付け根が痛い…」
「歩くたびに股関節痛がある…」
そんなお悩みはありませんか?
医療機関でレントゲンを撮っても「異常なし」と言われ、湿布や痛み止めだけで様子を見ている方は要注意です⚠️
実はその痛み、いつの間にか骨折しているサインかもしれません。
この記事では、健康のために歩いていたはずなのに突然歩けなくなってしまう「大腿骨軟骨下脆弱性骨折(だいたいこつなんこつかぜいじゃくせいこっせつ)」について、原因から治療法までわかりやすく解説します📖
1.1.🚨 毎日1万歩歩いていた女性に起きた衝撃の出来事
2.2.🦴 レントゲンに写らない「大腿骨軟骨下脆弱性骨折」とは?
3.3.⚠️ なぜ転んでもいないのに骨折するの?2つの悪条件
4.4.🔍 激痛の正体を暴くMRI検査の重要性
5.5.💊 根本解決への道:骨粗鬆症治療と人工関節
6.6.❓ よくある質問(Q&A)
7.7.🎥 動画でもっと詳しく解説しています
8.8.📝 まとめ
1.🚨 毎日1万歩歩いていた女性に起きた衝撃の出来事

先日、私のクリニックに立て続けに2名の女性患者さんがいらっしゃいました。
✅ 70代と80代の女性
✅ 健康意識が高く、毎日1万歩近くウォーキングが日課
✅ 転んでいないのに突然、足の付け根が痛いと訴え
✅ 他院でレントゲンを撮るも「異常なし」
✅ 痛み止めを飲んでも改善せず一歩も歩けない
お二人とも「健康のため」と毎日頑張って歩いていたにもかかわらず、ある日突然、激しい股関節痛に襲われてしまったのです😢
当院で精密検査を行った結果、なんと股関節の骨の内部が潰れるように骨折していました。これが本日のテーマ「いつの間にか骨折」の正体です。
2.🦴 レントゲンに写らない「大腿骨軟骨下脆弱性骨折」とは?

ボールと受け皿の関節に起きる異変
股関節は、骨盤のくぼみに太ももの骨の丸い頭(大腿骨頭)がハマっている「ボールと受け皿」のような関節です⚾
このボールの表面はツルツルの軟骨で覆われていますが、その軟骨のすぐ下の骨(軟骨下骨)が、体重の負荷に耐えきれずに内部でヒビが入ってしまう病気が「大腿骨軟骨下脆弱性骨折(SIF)」です[1]。
家に例えるとわかりやすい
家で例えると、こんなイメージです👇
🏠 床(軟骨)はピカピカで綺麗 🏚️ でも床下の基礎(骨)がシロアリに食われてスカスカ 💥 重さに耐えきれず床が陥没
これでは、歩くたびに激しい股関節痛や足の付け根が痛い症状が出るのは当然ですよね💦
3.⚠️ なぜ転んでもいないのに骨折するの?2つの悪条件
「歩いていただけで骨折するなんて信じられない」と思われるかもしれません。実はこれには2つの大きな悪条件が重なっています。
悪条件①:骨粗鬆症(こつそしょうしょう)🦴
年齢とともに骨の密度が低下し、骨がスカスカになる病気です[2]。先ほどの例えで言えば「土台そのものが弱くなっている」状態ですね。
閉経後の女性は特に骨密度が急激に低下するため、リスクが高まります。

悪条件②:背骨の変形による骨盤後傾(こつばんこうけい)
これが今回の最大のポイントです📌
高齢になると、背骨が丸くなってくる方(円背・えんぱい)が増えますよね。背骨が丸くなると、バランスをとるために骨盤がグッと後ろに倒れます。

すると、股関節の前側、つまり足の付け根の特定の狭い部分にだけ、体重の何倍もの圧力が集中してしまうのです[3]。
負荷が一箇所に集中攻撃!
骨粗鬆症で弱くなった骨の特定の場所に、骨盤が後ろに傾いた悪い姿勢で、毎日毎日1万歩という負荷をかけ続けた結果、金属疲労のように骨が悲鳴を上げてバキッと折れてしまう——。
これが「歩きすぎでいつの間にか骨折」する衝撃のメカニズムです😨
4.🔍 激痛の正体を暴くMRI検査の重要性

なぜレントゲンでは見逃されるの?
レントゲンは基本的に「骨の輪郭(形)」を見る検査です📷
ヒビが入った直後や、骨の内部だけで起きている微小な骨折は、輪郭が崩れていないのでレントゲンには写りません。だから多くの医療機関で「異常なし」と誤診されてしまうのです。
MRI検査なら骨の中のSOSが見える
そこで威力を発揮するのがMRI検査です[4]。
✅ 磁気を使って体の断面を撮影
✅ 骨の中の水分量や出血、炎症(骨髄浮腫)を鮮明に映し出す
✅ レントゲンでは見えない内部の骨折を発見できる
衝撃のデータがあります。変形性股関節症や大腿骨頭壊死と診断された患者さんのうち、約17%が実はSIFだったという報告があるのです[6]。
つまり「単なる変形性股関節症」と片付けられていた股関節痛の中にも、本当はいつの間にか骨折している方が隠れているということです。
💡 覚えておきたいポイント
なかなか治らない足の付け根が痛い症状や股関節痛がある方は、レントゲンだけで安心せず、必ずMRI検査を受けることが重要です。
5.💊 根本解決への道:骨粗鬆症治療と人工関節

「もし大腿骨軟骨下骨折と診断されたら、もう歩けないの?」と不安になる方もいらっしゃるでしょう。
ご安心ください。正しい治療を行えば、再び痛みなく歩けるようになります😊
治療の2本柱
① 骨粗鬆症のお薬で土台を固める💊
これ以上骨が潰れるのを防ぐために、強力な骨粗鬆症治療薬を使って骨を硬くしていきます。
初期の段階でMRIで見つけることができれば、安静と骨粗鬆症治療だけで手術をせずに治るケースもあります。

② 人工関節置換術で痛みを取り除く🏥
すでに歩けないほどの激痛があり、骨の陥没が進んでしまっている場合は「人工関節置換術」を行います[5]。
✅ 潰れた骨の頭を取り除く
✅ 金属やセラミックでできた丈夫な関節に置き換える
✅ 手術の翌日から歩行練習を開始
✅ 整形外科手術の中でも満足度が非常に高い
「あんなに苦しんだ激痛が嘘のように消えた!」とおっしゃる患者さんが多い、劇的に痛みが取れる素晴らしい手術です✨
今回ご紹介した2名の患者さんも、手術後すぐに足の付け根が痛い症状が完全に消え、リハビリを経て、今では元気にお買い物を楽しまれていますよ🛍️

6.❓ よくある質問(Q&A)

Q1. 毎日ウォーキングをしている高齢者は危険ですか?
A. 一概に危険とは言えませんが、骨粗鬆症と円背(背中の丸まり)がある方は注意が必要です。
運動を始める前に骨密度検査と姿勢チェックを受けることをおすすめします。
Q2. 足の付け根が痛いとき、すぐに病院に行くべき?
A. 2週間以上続く足の付け根が痛い症状や股関節痛は、早めに整形外科を受診してください。
特にレントゲンで「異常なし」と言われても痛みが続く場合は、MRI検査をご検討ください。
Q3. いつの間にか骨折は予防できますか?
A. はい、予防可能です
✅ 骨粗鬆症の定期検査と治療
✅ 姿勢改善のための体操
✅ バランスの取れた食事(カルシウム・ビタミンD)
✅ 無理のない運動量(1万歩が必ずしも正解ではありません)
Q4. 人工関節の手術はどれくらい入院が必要ですか?
A. 施設や全身状態によりますが、手術翌日から歩行練習を始められ、多くの方が2〜3週間前後で退院されます。
術後は日常生活に大きな制限なく過ごせるようになります。
7.🎥 動画でもっと詳しく解説しています

今回のテーマについて、実際の症例写真やMRI画像を交えながら、さらに詳しく動画で解説しています。文章よりも映像で確認したい方はぜひご覧ください👇
8.📝 まとめ

今回は、高齢の方に急増している「大腿骨軟骨下脆弱性骨折」について解説しました。重要なポイントは3つです。
✅ ポイント①:原因不明の急な足の付け根が痛い症状や股関節痛は、骨の内部の骨折(いつの間にか骨折)を疑うこと
✅ ポイント②:レントゲンで「異常なし」と言われても、必ずMRI検査を受けること
✅ ポイント③:骨粗鬆症治療と必要に応じた人工関節手術で、確実に痛みを取り除くことができること
「年のせい」「歩きすぎただけ」と我慢せず、必ず専門医にご相談ください🩺
8.🏥 股関節が痛い!でお困りの方はまずMRI診断から

中山クリニックでは、最新のMRI検査機器を用いて、レントゲンでは見えない「いつの間にか骨折」を正確に診断いたします。
足の付け根が痛い、股関節痛が続くとお悩みの方は、一人で悩まずまずはご相談ください。
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📚 参考文献
- Uemura K, et al. Subchondral insufficiency fracture of the femoral head in the elderly. Bone Joint J. 2015;97-B(6):755-760.
- Kanis JA, et al. European guidance for the diagnosis and management of osteoporosis in postmenopausal women. Osteoporos Int. 2019;30(1):3-44.
- Lazennec JY, et al. Hip-spine relations and sagittal balance clinical consequences. Eur Spine J. 2011;20(Suppl 5):686-698.
- Boutin RD, et al. Update on magnetic resonance imaging of the pelvis and hips. Magn Reson Q. 1995;11(2):77-106.
- Luring C, et al. Total hip arthroplasty for subchondral insufficiency fracture of the femoral head. Arch Orthop Trauma Surg. 2007;127(4):259-263.
- Yamamoto T. Subchondral insufficiency fractures of the femoral head. Clin Orthop Surg. 2012 Sep;4(3):173-180.
