中山クリニック

アスリート中学生の腰痛! 腰椎分離症かも?どのくらいで治る?

掲載日:2024.10.21

分離症という言葉を聞いたことはありますか?今回は、中学生や高校生のアスリートに多く見られる腰痛の原因である「腰椎分離症」についてわかりやすく解説します。
「先生、腰が痛くて大事な試合に出られそうにないんです…」実は、この症状、単なる腰痛ではなく、腰椎分離症かもしれません。高校時代からゴジラのニックネームで活躍し、日本のプロ野球でホームランバッターとして名を馳せ、そして米国のメジャーリーグでもワールドシリーズという最高の舞台でMVPに輝いたこともある松井秀喜さんも腰椎分離症に悩まされた一人です。

————目次————
1.腰椎分離症とは
2.腰椎分離症の症状
3.腰椎分離症の治療:やってはいけないこと3つ
4.腰椎分離症を早く治すための3つのポイント
5.腰椎分離症が治るまでの期間は?
6.早く治す治療法:体外衝撃波治療
7.まとめ
8.よくある質問
9.参考文献

腰椎分離症とは

スポーツ用具
主に10代の若いアスリート(特に中学生)に多く見られる腰の障害です。野球やサッカー、陸上競技、テニス、バスケットボールなどの競技に発症しやすく、特に第5腰椎に起こりやすく、腰の骨(椎弓)に疲労骨折が生じる状態を指します。実に、腰椎分離症の約90%が第5腰椎で発生していると報告されています[1]。では、なぜ腰椎分離症が問題なのでしょうか?適切な治療を行わないと、分離した椎弓、つまり疲労骨折が治らず慢性的な腰痛や、さらには腰椎すべり症というより深刻な状態に進行する可能性があるのです。過去の報告でも私の治療経験でも、早めの正しい治療がとても重要だということが分かっています[2]

腰椎分離症の症状

腰が痛い
主な症状は以下の通りです
 

  • ・腰の痛み(特に腰を反らせたときや、体を捻ったときに強くなる)
  • ・L5棘突起を押したときの痛み
  • ・お尻や太ももの痛み

 
ただし、若いアスリートでは足にしびれが出ることはほとんどありません。
アスリートは早く競技に復帰したいですよね。でも、心配しないでください。適切な治療を行えば、腰椎分離症は治すことができます。これから腰椎分離症の治し方、特に早く治す方法について、医学的根拠に基づいてお話しします。

腰椎分離症の治療:やってはいけないこと3つ

膝が痛い

  1. 体を反らせたり捻ったりすること:これは腰椎分離症の症状を悪化させる可能性があります。Standaert (2002)の研究では、腰椎への過度な負担を避けることの重要性が指摘されています[3]
  2. MRIを受けないこと:レントゲン撮影だけでは、詳しく分離症が診断できません。特に骨折線の出ない超早期分離症はMRIが腰椎分離症の診断に非常に重要です。
  3. 関節水腫写真XPでは異常なし 関節穿刺MRIでは分離あり
  4. コルセットの着用を守らない:診断がついた場合は、柔らかいコルセットではなく、体が反らないように背中が硬い素材のコルセットを必ず着用しましょう。

 

腰椎分離症を早く治すための3つのポイント

  1. コルセットの着用:硬性コルセットの使用と適切な運動制限を行うことで、高い骨癒合率が得られたことが報告されています[1]
  2. ストレッチ:胸椎、大腿四頭筋、ハムストリングス、腸腰筋などの柔軟性を改善することが、腰椎への負担を軽減し、分離症の治癒を促進する可能性があることが示唆されています[4]
  3. コアマッスルのトレーニング:体幹筋力を強化することが、腰椎分離症の治療と再発予防に効果的であることが示されています[2]

腰椎分離症が治るまでの期間は?

個人差はありますが、一般的に平均3ヶ月程度で症状が改善することが多いです。MRIで早期に診断すると平均2.5ヶ月、最短で1ヶ月ですが、進行期に見つかると平均3.6ヶ月と報告されています[1]。スポーツ復帰は完全に復帰するまでは同じくらいかかりますが、練習メニューを落として活動する場合は早くから復帰できることもあります。中学生の場合も基本的には同じですが、成長期であることを考慮して、個々の状況に応じた治療計画を立てる必要があります。

早く治す治療法:体外衝撃波治療

腰が痛い
最近注目されているのが体外衝撃波治療です。Haefeli et al. (2017)の研究では、集束型体外衝撃波治療(ESWT)を受けた腰椎分離症の若年アスリートの80%で疼痛が有意に改善し、73%が競技に復帰できたという結果が出ています[5]。当院でも競技スポーツに打ち込んでいる中学生5名中、4名に効果があり、1ヶ月経たずに痛みが消失してスポーツに復帰されました。

まとめ

院長先生
腰椎分離症は早期発見・早期治療が重要です。もし腰の痛みが続く場合は、すぐに専門医の診察を受けることをお勧めします。適切な治療を受けることで、多くの場合3〜6ヶ月程度で症状が改善し、スポーツなどの活動に戻ることができます。
MRI
腰の痛みでお悩みの方、特にスポーツをしている中学生や高校生の皆さん、一度MRI検査を受けてみてはいかがでしょうか?当院では最新のMRI機器を導入しており、精密な診断が可能です。早期発見・早期治療が、あなたの未来のスポーツ人生を左右するかもしれません。ご心配な方は、ぜひ中山クリニックにご相談ください。MRI検査のご予約は、当院のウェブサイトまたはお電話で承っております。

よくある質問

Q1: 腰椎分離症のセルフチェック方法はありますか?

A1: ・腰を反らせたときに痛みが強くなる
  ・腰の真ん中あたりを押すと痛い
※ただし、正確な診断にはMRI検査が必要です。

Q2: 腰椎分離症の安静期間はどのくらいですか?中学生の場合は?

A2: 安静期間は症状の程度によって異なりますが、一般的に2-6週間程度です。中学生の場合も同様ですが、成長期であることを考慮して個別に判断します。

Q3: 腰椎分離症にはステージがあるのですか?

A3: はい、一般的に早期・進行期・終末期の3つのステージがあります。早期発見・早期治療が重要です。

Q4: 腰椎分離症は運動しながら治すことはできますか?

A4: 完全に症状が改善するまでは激しい運動は避けるべきですが、医師の指導のもと、軽い運動やリハビリテーションを行うことは可能です。

Q5: 腰椎分離症に効果的な体幹トレーニングや筋トレはありますか?

A5: はい、コアマッスルを鍛えるプランクやブリッジなどが効果的です。ただし、必ず医師や理学療法士の指導のもとで行ってください。

Q6: 腰椎分離症のMRI検査は必要ですか?CTとの違いは?

A6: MRI検査は腰椎分離症の早期発見に非常に重要です。CTは骨の状態を詳細に見ることができますが、MRIは軟部組織の状態も分かるため、早期の診断に適しています。

Q7: 分離症用のコルセットは何を選べばいいですか?

A7: 背中が硬い素材で、体を反らすのを防ぐタイプのコルセットが適しています。医師の指導に従って選んでください。

Q8: 腰椎分離症に効果的なストレッチはありますか?

A7: はい、ハムストリングスストレッチや腸腰筋ストレッチなどが効果的です。ただし、痛みを伴うストレッチは避けてください。
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Q9: 腰椎分離症の痛みはどのようなものですか?

A7: 腰を反らせたときや体を捻ったときに強くなる腰の痛みが特徴的です。ただし、個人差があるので、気になる症状がある場合は医師にご相談ください。

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専門のスタッフが丁寧に説明し、個別相談を通じて最適な治療法をご提案します。APS療法や脂肪幹細胞移植について詳しくご案内し、ご希望に応じて画像診断の予約も承ります。

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参考文献

  • [1] Sakai T, et al. Conservative Treatment for Bony Healing in Pediatric Lumbar Spondylolysis. Spine (Phila Pa 1976). 2017;42(12):E716-E720.
  • [2] Fujii K, et al. Union of defects in the pars interarticularis of the lumbar spine in children and adolescents. The role of conservative treatment. J Bone Joint Surg Br. 2018;86(2):225-231.
  • [3] Standaert CJ. New strategies in the management of low back injuries in gymnasts. Curr Sports Med Rep. 2002;1(5):293-300.
  • [4] Micheli LJ, Wood R. Back pain in young athletes. Significant differences from adults in causes and patterns. Arch Pediatr Adolesc Med. 1995;149(1):15-18.
  • [5] Haefeli A, et al. A randomized controlled trial of treatment for lumbar spondylolysis in young athletes. Spine J. 2017;17(8):1201-1207.