急に膝が痛い!歩けない原因3つと対処法を整形外科専門医が解説
掲載日:2026.07.25(最終更新日:2026.07.25)

ケガもないのに急に膝が痛い・歩けないときは、半月板後根損傷・膝の骨壊死・偽痛風の3つが代表的な原因です。
いずれも初期はレントゲンに写らないことがあり、痛みが続く場合はMRI検査が受けられる整形外科の受診をおすすめします。
1.急に膝が痛い・歩けないとは?ケガなく起こる膝の異常
2.原因① 半月板後根損傷(はんげつばんこうこんそんしょう)
3.原因② 膝の骨壊死(軟骨下脆弱性骨折)
4.原因③ 偽痛風(ぎつうふう)
5.自宅でできる「受診すべきサイン」チェック
6.膝を守るためにやるべきこと
7.よくある質問(FAQ)
8.まとめ
【📌3秒でわかる要点】
✅ケガなく急に歩けなくなる膝の病気は、半月板後根損傷・骨壊死・偽痛風の3つが代表的です。
✅最初の2つはレントゲンで異常が写らず、早期診断にはMRI検査が必要です。
✅「腫れ+発熱」「膝が引っかかって伸びない」ときは、早めの受診が安心です。
急に膝が痛い・歩けないとは?ケガなく起こる膝の異常

急に膝が痛い・歩けないとは、転倒や捻挫などのケガがないのに、ある日突然、膝に強い痛みが出て歩行が難しくなる状態のことです。
高いところから飛び降りた、ジャンプで膝を捻ったなど、はっきりした原因があれば分かりやすいものです。
ところが実際の診察室では、「昨日まで何ともなかったのに、急に膝が痛い」「今朝から歩けない」という患者さんが少なくありません。
こうしたケガのない急な膝の痛みには、加齢によって膝の組織が弱くなった影響が隠れていることがあります。
50歳を過ぎたら、「年のせい」と放置せず、原因を見極めることが大切です。
このコラムでは、整形外科専門医が実際の診察で多く経験している3つの疾患を、見分け方とあわせて解説します。
原因① 半月板後根損傷(はんげつばんこうこんそんしょう)
半月板後根損傷とは、膝のクッションである半月板の「後ろの付け根」が切れてしまう状態です。
典型的なのは、椅子から立ち上がろうとした瞬間や、階段を降りようとした瞬間に、膝の裏に激痛が走って歩けなくなるケースです。
「プチッ」という音を感じる方もいます。
半月板は膝のクッションの役割を持つ組織で、その後ろの付け根(専門的には後根と呼びます)が、加齢で弱くなったところに体重がかかると断裂することがあります。
レントゲンでは写らない ― MRI検査が決め手

ここが重要なポイントです。半月板後根損傷はレントゲンでは異常が写りません。
実際にレントゲンが正常でも、MRI検査をして初めて内側の半月板の後ろが断裂していると分かるケースがあります。
「レントゲンで異常なし」と言われても、強い痛みが続くなら安心せず、MRI検査ができる医療機関への再受診が推奨されます。
放置するとどうなるか
付け根が切れた半月板はクッションの役目を果たせなくなり、軟骨や骨に負担が集中して傷んでいきます。
骨の一部が弱って潰れる「骨壊死(こつえし)」につながる場合もあります[3][4]。
海外の追跡調査では、手術をせずに経過を見た方のうち、10年後の時点で約95%が「治療がうまくいかなかった」と判定され、半数以上が人工関節手術に至ったという報告があります[1][2]。
もちろん個人差があり、すべての方が悪化するわけではありません。ただ、早く診断して治療方針を決めた方がよい疾患です。
断裂した半月板が関節に引っかかると、鍵がかかったように膝が動かなくなる「ロッキング」が起こることもあります。膝が伸びない・曲がらないという症状が出たら、早めに整形外科を受診してください。
原因② 膝の骨壊死(軟骨下脆弱性骨折)

膝の骨壊死とは、軟骨のすぐ下の骨に小さな骨折が起こり、突然強い痛みが出る状態です。
歩いているだけで、急に膝に激痛が走ることがあります。
骨が脆くなっているところに体重の負担がかかり、軟骨下の骨に小さな骨折が生じて痛みが出ます。
近年ではこの状態は「軟骨下脆弱性骨折(なんこつかぜいじゃくせいこっせつ)」と呼ばれ、骨粗鬆症(こつそしょうしょう=骨が弱くなる病気)や、先ほどの半月板損傷が原因になると報告されています[3][4]。
いわば、骨の「見えない疲労骨折」のようなものです。
特徴は夜間痛(やかんつう)

特徴的なのは夜間痛です。夜中にズキズキ痛んで目が覚める、「昼間は我慢できるけれど夜がつらい」とおっしゃる患者さんが多くいます。
この疾患も、発症してすぐの時期はレントゲンでは異常が分かりません。
レントゲンで変化が見えてくるのは3か月ほど経ってからのことが多く、早期診断にはMRI検査が欠かせません[3]。
原因①も原因②も、初期は「レントゲンで異常なし」です。異常なし=安心とは限りません。
強い痛みが続くのにレントゲンで異常がない場合、MRIで初めて分かる病気が隠れている可能性があります。
膝の動きやセルフケアは、文字だけでは伝わりにくい部分もあります。
中山クリニックのYouTubeチャンネルでも、急な膝の痛みの見分け方をわかりやすく解説しています
原因③ 偽痛風(ぎつうふう)

偽痛風とは、ピロリン酸カルシウムという結晶が膝の関節にたまり、突然の激しい痛みと腫れを起こす病気です。
前触れなく膝に水がたまって腫れ上がり、痛くて歩けなくなります。
よく知られる痛風は尿酸の結晶が原因ですが、偽痛風はピロリン酸カルシウムという別の結晶が原因です[5]。
足の親指に多い痛風と違い、偽痛風は膝に多く、発熱を伴うこともあります。
化膿性膝関節炎との見分けが重要

注意点は、膝の中に細菌が入る「化膿性膝関節炎(かのうせいひざかんせつえん)」とよく似た症状だという点です。化膿性膝関節炎は緊急の治療が必要な病気です。自己判断せず、腫れて熱を持った膝は必ず整形外科で診てもらってください。
偽痛風の診断にはレントゲンが役立ちます。軟骨がすり減っていたり、普段はレントゲンに写らない半月板が石灰化して白く写るのが特徴です[5]。関節にたまった水を抜いて結晶を確認することもあります。夏の暑い時期に、60歳以上の女性で多く見られる印象があります。
治療は、膝にたまった水を抜き、炎症を抑える注射や痛み止めを使うと、比較的早く症状が落ち着くことが多い疾患です。個人差はありますが、3つの中では治療への反応が良いといえます。
なお、よく知られる「変形性膝関節症」でも歩きすぎた後などに痛みが強くなることがありますが、こちらはレントゲンで軟骨のすり減りが分かるため、比較的診断しやすい病気です。
自宅でできる「受診すべきサイン」チェック
急に膝が痛い・歩けないとき、次の項目に当てはまるものがないか確認してみましょう。
✅ステップ1:ケガをしていないのに、急に膝が痛くなって歩けない
✅ステップ2:立ち上がりや階段で、膝の裏に激痛が走った
✅ステップ3:夜中に膝の痛みで目が覚める(夜間痛がある)
✅ステップ4:膝が腫れて熱を持っている・発熱がある
✅ステップ5:膝が引っかかって伸びない・曲がらない(ロッキング)
✅ステップ6:「レントゲンで異常なし」と言われたのに強い痛みが続く
特に4番の「腫れ+発熱」、5番の「ロッキング」は、早めの受診をおすすめします。6番のように痛みが続く場合は、MRI検査ができる医療機関への相談が安心です。
膝を守るためにやるべきこと

急な膝の痛みで最も大切なのは、「年のせい」と放置しないことです。
早く診断がつけば、選べる治療の幅が広がります。
保存療法(手術をしない治療)では、水を抜く処置や炎症を抑える薬、リハビリなどが基本になります。
半月板後根損傷では、状態に応じて関節鏡による半月板修復術という選択肢もあります。
また、痛みの原因や状態によっては、体外衝撃波治療やPRP・APSなどの再生医療という選択肢を検討する場合もあります。
これらは自由診療にあたり、適応には医師の診察が必要です。ご自身の膝に何が合うかは、検査のうえで相談するのが確実です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 膝が痛いのにレントゲンで異常なしと言われました。大丈夫でしょうか?
A. レントゲンで異常がなくても、MRIで分かる病気が隠れていることがあります。
半月板後根損傷や膝の骨壊死は初期にレントゲンへ写らないため、強い痛みが続く場合はMRI検査ができる整形外科への再受診をおすすめします。
Q2. ケガもないのに急に膝が痛い原因は何ですか?
A. 代表的な原因は半月板後根損傷・膝の骨壊死・偽痛風の3つです。
いずれも加齢で膝の組織が弱くなったことが背景にあり、50歳以上の方に多く見られます。
原因により治療法が異なるため、診察と検査での見極めが大切です。
Q3. 夜中に膝が痛くて目が覚めます。何が考えられますか?
A. 夜間痛は膝の骨壊死(軟骨下脆弱性骨折)に多い特徴です。
骨のもろさが関係しており、初期はレントゲンに写らないためMRI検査が有用です。
夜間痛が続くときは、早めに整形外科を受診してください。
Q4. 急に膝が腫れて水がたまり、熱もあります。緊急ですか?
A. 偽痛風の可能性がありますが、緊急治療が必要な化膿性膝関節炎と症状が似ています。
自己判断は危険です。腫れて熱を持った膝は、必ずその日のうちに整形外科で診てもらってください。
Q5. 偽痛風は痛風と同じ病気ですか?
A. いいえ、原因が異なります。痛風は尿酸の結晶、偽痛風はピロリン酸カルシウムの結晶が原因です。
偽痛風は膝に多く発熱を伴うこともあり、レントゲンでの石灰化が診断の手がかりになります。
Q6. 膝が引っかかって伸びない・曲がらないのですが受診すべきですか?
A. 「ロッキング」と呼ばれる状態で、早めの受診が推奨されます。
断裂した半月板が関節に挟まって起こることがあり、放置すると軟骨を傷める原因になります。
膝が動かせないときは早めに整形外科へご相談ください。
Q7. 急な膝の痛みを放置するとどうなりますか?
A. 原因によっては軟骨や骨の傷みが進み、人工関節手術が必要になる場合があります。
早期に診断できれば選べる治療の幅が広がります。
痛みが長引くときは放置せず、検査を受けることをおすすめします。
まとめ

急に膝が痛い・歩けないときに知っておきたいポイントを整理します。
- 半月板後根損傷:立ち上がりや階段で膝裏に激痛。レントゲン正常でもMRIで判明。放置すると長期成績が悪いという報告があり、早期受診を。
- 膝の骨壊死(軟骨下脆弱性骨折):歩行中の突然の激痛と夜間痛が特徴。初期はレントゲンに写らず、早期診断にはMRIが必要。
- 偽痛風:突然の腫れ・水・発熱。化膿性関節炎との見分けが重要なので、必ず医療機関へ。
共通するメッセージは、「ケガのない急な膝の痛みを、年のせいと放置しないこと」。
早く診断がつけば、選べる治療の幅が広がります。急に膝が痛い・歩けない症状が続くときは、MRI検査ができる整形外科への相談が安心です。
動画では、実際の症例画像を交えながらさらに詳しく解説しています。ぜひあわせてご覧ください
歩けなくなる前に知っておくべき膝が壊れる原因3選
ご相談ください!!

急な膝の痛みや、長引く膝の痛みでお困りの方は、明石市の中山クリニックまでお気軽にご相談ください。
整形外科専門医が丁寧に診察し、必要に応じてMRI検査もご案内いたします。
引用文献
- Krych AJ, Reardon PJ, Johnson NR, et al. Non-operative management of medial meniscus posterior horn root tears is associated with worsening arthritis and poor clinical outcome at 5-year follow-up. Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc. 2017;25(2):383-389.
DOI:https://doi.org/10.1007/s00167-016-4359-8 - Krych AJ, Lamba A, Wang AS, et al. Nonoperative Management of Degenerative Medial Meniscus Posterior Root Tears: Poor Outcomes at a Minimum 10-Year Follow-up. Am J Sports Med. 2023;51(10):2603-2607.
DOI:https://doi.org/10.1177/03635465231185132 - Scott P, et al. Subchondral insufficiency fracture of the knee. Orthopädie (Heidelb). 2025;54(5):368-375.
PMID: 39806001.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39806001/ - García JR, Boden SA, et al. Risk Factors for Subchondral Insufficiency Fracture of the Knee in the Setting of Medial Meniscus Posterior Root Tear. Am J Sports Med. 2025;53(9):2118-2127.
PMID: 40474358.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40474358/ - Issa W, Mercer R, et al. Imaging and management of calcium pyrophosphate deposition disease. Skeletal Radiol. 2025;54(11):2265-2274.
PMID: 39775910.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39775910/
