指の第一関節が痛い・曲がる…ヘバーデン結節で「絶対NG」な3つの行動と正しい対処法へバーデン結節やってはいけないこと【専門医監修】
掲載日:2025.12.22(最終更新日:2025.12.22)

「指の第一関節がズキズキ痛む」
「最近、指先が変形してきた気がする……」
「水ぶくれのようなものができて、気になって触ってしまう」
もし、あなたがこのような悩みをお持ちなら、この記事はまさにあなたのためのものです。
実は、指の変形や痛みに悩む多くの方が、良かれと思って「逆効果なケア」をしてしまっていることをご存知でしょうか?
今回は、ヘバーデン結節で絶対にやってはいけない3つのこと」と、医学的根拠に基づいた「正しい対処法」について、どこめよりも分かりやすく解説します。
この記事を読めば、指の痛みの原因を正しく理解し、今日からすぐに実践できる「指を守る方法」が分かります。
ぜひ最後までお付き合いください!
1.そもそも「ヘバーデン結節」ってどんな病気?
2.あなたは当てはまる?セルフチェック
3.専門医が警告!ヘバーデン結節で「やってはいけないこと」ワースト3
4.では、どうすればいい?医学的に正しい3つの治療法
5.痛みの原因「モヤモヤ血管」とは?
6.まとめ:あなたの指を守るために
そもそも「ヘバーデン結節」ってどんな病気?

「ヘバーデン結節」という名前を聞いたことはあっても、具体的にどんな病気なのか、詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。
ヘバーデン結節を一言で説明すると、「指の第一関節(爪に一番近い関節)に起こる変形性関節症」です。
私たちの関節には、骨と骨の間にクッションの役割をする「軟骨」があります。ヘバーデン結節では、この軟骨がすり減ってしまい、骨同士が直接ぶつかり合うようになってしまいます。
その結果、関節の中で炎症(=火事🔥)が起き、骨がトゲのように変形したり、腫れたりしてしまうのです。
あなたは当てはまる?セルフチェック

この病気は、特に40代以降の女性に多く見られます。原因としては、遺伝的な要因や、長年の手の使いすぎが関係していると言われています[1]。
以下のような症状はありませんか?
✅ 指の第一関節に違和感や痛みがある
✅ 第一関節が赤く腫れている
✅ 指先が曲がってきた気がする
✅ 第一関節に水ぶくれ(ミューカスシスト)ができている
もしこれらに当てはまる場合、ヘバーデン結節の可能性があります。
そして、「年のせいだから仕方ない」と諦める前に、これからお伝えする「やってはいけないこと」を直ちにやめる必要があります。
専門医が警告!ヘバーデン結節で「やってはいけないこと」ワースト3

それでは、「絶対にやってはいけないこと」をランキング形式で発表します。
第1位は、最悪の場合、指を切断することにもなりかねない非常に危険な行為です。
心してご覧ください。
【第3位】手を酷使する重労働 🖐️💦
やってはいけないことの第3位は、「手を酷使する重労働」です。
「痛いけれど、家事や仕事でどうしても指を使わなければならない……」
そんな真面目な方ほど、知らず知らずのうちに関節の寿命を縮めてしまっています。
なぜ「使いすぎ」がいけないの?
ヘバーデン結節の大きな原因の一つは、関節の「消耗」です。
軟骨がすり減っている状態で、さらに強い負担をかけ続けることは、傷口に塩を塗るようなもの。軟骨の摩耗が加速し、変形がどんどん進行してしまいます。
具体的にどんな行動がNG?
以下のような動作は、指先に強い負担がかかります。
– 重い荷物を指先だけで引っ掛けて持つ
– 雑巾を力いっぱい絞る
– 庭仕事や農作業で、長時間指先を使う
– 硬いペットボトルの蓋を無理やり開ける
💡 専門医からのアドバイス
家事や仕事を完全に休むことは難しいですよね。だからこそ、「工夫」が重要です。
– フライパンや重い鍋は、必ず両手で持つ
– 雑巾絞りはやめて、フローリングワイパーや脱水機を使う
– ペットボトルオープナーなどの自助具を活用する
このように、「指先への負担を減らす道具」を積極的に使い、ご自身の指をいたわってあげてください。
【第2位】痛い時の強いマッサージ 💆♀️⚡
第2位は、意外に思われるかもしれませんが「強くマッサージすること」です。
「痛いところを揉むと、血行が良くなって治りそうな気がする」
そう思って、お風呂上がりなどに一生懸命指を揉んでいませんか?
実はそれ、逆効果なんです。
「火事に油」を注ぐ行為
先ほど、ヘバーデン結節の痛みがある時期は、関節の中で「炎症」という火事が起きているとお伝えしました。
火事が起きている現場で、強く揉んだり押したりするとどうなるでしょうか?
炎症がさらに広がり、痛みが増してしまいます。まさに「火事に油を注いでいる」状態なのです。
さらに、強く揉む物理的な刺激によって、骨の変形を助長してしまう可能性さえあります。
💡 専門医からのアドバイス
関節が腫れて熱を持っている時や、ズキズキと痛む時は、「安静」が医学的な正解です。
揉みたい気持ちをグッとこらえて、そっとしておいてあげましょう。
「マッサージは、炎症が完全に落ち着いてから」と覚えておいてください。
【第1位】水ぶくれ(ミューカスシスト)を自分で潰す 💉🚫
そして、絶対にやってはいけない第1位。
これだけは、何があっても避けていただきたい危険な行為です。
それは、「できた水ぶくれを自分で潰すこと」です。
ただの水ぶくれではありません
ヘバーデン結節が進行すると、指先に「粘液嚢腫(ねんえきのうしゅ)」や「ミューカスシスト」と呼ばれる水ぶくれができることがあります。
プクッとしていて気になりますし、針で刺して水を抜けば楽になりそうな気がしますよね。
しかし、この水ぶくれは、関節の中とトンネルで繋がっているのです。
バイ菌が関節へ直行!恐ろしいリスク
もし、自分で針を刺して穴を開けてしまうと、そこが「バイ菌が関節の中に侵入する直通ルート」になってしまいます。
皮膚の表面には、目に見えない細菌がたくさんいます。
不衛生な環境で水ぶくれを潰すと、そこから細菌が入り込み、以下のような深刻な事態を引き起こすことがあります[2]。
●化膿性関節炎: 関節の中に膿がたまり、激痛と腫れが生じます。
●骨髄炎(こつずいえん): 細菌が骨の内部にまで入り込み、骨が腐ってしまう病気です。
実際に、自分で水ぶくれを潰してしまった結果、指がパンパンに腫れ上がり、手術で膿を出したり、最悪の場合は関節を固定したり切断しなければならなくなったケースも報告されています[6]。
💡 専門医からのアドバイス
水ぶくれができても、絶対に触らないでください。
どうしても気になる場合や、皮膚が薄くなって破れそうな場合は、必ず整形外科を受診してください。
病院であれば、完全に消毒された清潔な環境で、安全に処置を行うことができます。
では、どうすればいい?医学的に正しい3つの治療法

ここまで「やってはいけないこと」をお伝えしてきましたが、安心してください。
ヘバーデン結節には、医学的に効果が認められている正しい治療法があります。
専門医が推奨する治療の3ステップをご紹介します。
1.痛み止め(内服・湿布)
基本中の基本ですが、炎症を抑えるためには薬が有効です。
痛みを我慢しすぎると、脳が痛みを記憶してしまい、治りにくくなることがあります。
医師の指示に従って、適切に痛み止めや湿布を使いましょう。
2.固定・装具(テーピングやヘパループ)
「安静が大事」と言われても、日常生活で指を使わないのは不可能です。
そこで役立つのが、テーピングや専用の装具です[3]。
特におすすめなのが、「ヘパループ」などのヘバーデン結節専用の装具です。
これらを装着することで、関節の曲げ伸ばしを物理的に制限し、強制的に安静を保つことができます。
「守られている安心感」もあり、これだけで痛みが随分楽になる方も多いですよ。
3.専門的な注射治療(動脈注射など)
「薬も装具も試したけれど、痛みが取れない……」
そんな方に知っていただきたいのが、「動脈注射」などの積極的な治療法です。
痛みの原因「モヤモヤ血管」とは?

近年の研究で、長引く関節の痛みの原因として「モヤモヤ血管」と呼ばれる異常な血管の存在が明らかになってきました[4,5]。
炎症が続いている場所には、正常な血管とは別に、細かくて異常な血管(モヤモヤ血管)が新しく作られてしまいます。そして厄介なことに、この血管と一緒に「神経」も増えてしまうのです。
これが、ズキズキとした取れない痛みの正体です。
根本から痛みを断つ

動脈注射は、この不要な「モヤモヤ血管」だけに作用する薬剤を届け、血管を減らすことで痛みを根本から改善する治療法です。
「もう骨が変形しているから、治らない」と諦めていた方でも、この治療によって痛みが劇的に改善し、日常生活を取り戻されたケースがたくさんあります。
変形自体を元に戻すことはできなくても、「痛みから解放される」ことは十分に可能なのです。
まとめ:あなたの指を守るために

最後に、今回のポイントをもう一度おさらいしましょう。
🚫 絶対にやってはいけない3つのこと
- 水ぶくれを自分で潰す(感染症の危険大!絶対NG)
- 痛い時に強くマッサージする(炎症が悪化します)
- 手を酷使する重労働(道具を使って負担を減らしましょう)
✅ 正しい対処法
- 痛み止めや湿布を適切に使う
- テーピングや装具(ヘパループ等)で関節を固定・保護する
- 治らない痛みには、専門的な注射治療(動脈注射)を検討する
指は、私たちが生活する上で一日も休むことなく働いてくれている大切なパートナーです。
「痛いのは仕方ない」と我慢せず、また間違ったケアで悪化させることなく、正しい知識で守ってあげてください。
引用文献
- Gabay O, et al. Osteoarthritis and obesity: experimental models. Joint Bone Spine. 2008;75(6):675-9.
- Riva G, et al. Septic arthritis of the distal interphalangeal joint of the hand after needle puncture of a mucous cyst: case report and review of the literature. Chir Main. 2012;31(6):347-51.
- Watt FE. Hand osteoarthritis: clinical presentations, prognosis and management. Musculoskeletal Care. 2011;9(4):185-93.
- Okuno Y, et al. Transcatheter arterial embolization using imipenem/cilastatin sodium for resistant chronic pain due to trapeziometacarpal joint osteoarthritis. J Vasc Interv Radiol. 2016;27:1227-1234.
- Okuno Y, et al. Short-term results of transcatheter arterial embolization for abnormal neovessels in patients with adhesive capsulitis: a pilot study. J Shoulder Elbow Surg. 2014;23(9):e199-206.
- Rangarathnam CS, et al. Infected mucous cyst of the finger. J Hand Surg Am. 1984 Mar;9(2):245-7.
