【膝に水が溜まる場所はどこ?】痛みの原因と症状を写真付きで専門医が徹底解説!
掲載日:2025.09.01(最終更新日:2025.09.01)
「最近、なんだか膝が腫れぼったい…」🦵💦
「正座をすると膝がパンパンに張って痛い…」
「もしかして、よく聞く“膝に水が溜まる”ってやつ…?」😥
そんな不安を抱えて、このページにたどり着いたのではないでしょうか。
多くの方が悩まれている「膝の水」。
放置すると痛みが長引いたり、膝が変形してしまったりすることもある、実はとても怖い状態なんです。
でも、安心してください!この記事を最後まで読めば
✅ 膝に水が溜まる本当の原因と理由
✅ 水が溜まっている4つの場所と、それぞれの症状
✅ 「水を抜くとクセになる」という噂の真相
✅ 医療機関を受診するべき危険なサイン
これら全てが、スッキリ理解できます。
もう一人で悩む必要はありません。
ご自身の膝の状態を正しく理解し、自信を持って次の一歩を踏み出せるよう、心を込めて解説していきます!✨
1.そもそも「膝に水が溜まる」って、一体どういうこと?
2.【写真で解説】あなたの腫れはどのタイプ?膝に水が溜まる場所は4つ!
3.【Q&A】膝の水に関する“よくあるギモン”を解決!
4.まとめ:あなたの膝を守るために、覚えておいてほしいこと
5.引用文献
✅そもそも「膝に水が溜まる」って、一体どういうこと?
まず、皆さんが一番知りたいであろう「膝に水が溜まる原因」からお話ししますね。
実は、私たちの膝の中には、もともと「滑液(かつえき)」という液体が少量入っています。これは、関節の骨同士がスムーズに動くための「潤滑油」のような役割をしている大切な液体です[1]。つまり、健康な膝にも水(滑液)は存在しているんですね!
では、なぜパンパンに腫れるほど水が溜まってしまうのでしょうか?
その最大の膝に水が溜まる理由は、ズバリ「炎症」です🔥。
加齢による「変形性膝関節症」や、スポーツなどでの「半月板損傷」、あるいは「関節リウマチ」といった病気によって関節の中で炎症が起きると、体を守ろうとする防御反応で、この潤滑油(滑液)が異常にたくさん作られてしまうのです。
例えるなら、エンジンオイルが漏れて溢れかえっているような状態。
この、潤滑油がパンパンに溢れてしまった状態が、皆さんがイメージする「膝に水が溜まった」状態、医学的には「関節水腫」と言います。
✅【写真で解説】あなたの腫れはどのタイプ?膝に水が溜まる場所は4つ!
「膝に水が溜まる場所」と一言で言っても、実は原因によって溜まる場所が違い、症状も異なります。
大きく分けて4つのパターンがあります。
ご自身の膝と見比べながらチェックしてみてくださいね!
📍場所①:関節腔(かんせつこう)|痛みを伴う代表的な場所
まず最も多いのが、この「関節腔」に水が溜まるケースです。
関節腔とは、膝のお皿の骨(膝蓋骨)や太ももの骨(大腿骨)、すねの骨(脛骨)を包んでいる「関節包」という袋の中の空間のこと。先ほど説明した潤滑油(滑液)が溜まっている、まさに膝の中心部です。
ここに炎症が起きて水が溜まると、膝のお皿の周りが全体的に、ぼんやりと腫れ上がります。
写真のように腫れている右膝は輪郭がわからなくなっているのが特徴です。
袋が内側からパンパンに圧迫されるため、膝に水が溜まる症状として、
●ズキズキとした強い痛み
●熱を持っている感じ(熱感)
●膝の曲げ伸ばしがしにくい
といった症状が出やすいのが、このタイプです。我慢できないほどの痛みがある場合は、この関節腔に水が溜まっている可能性が高いと言えるでしょう。
📍場所②:滑液包(かつえきほう)|痛みがないことも多いブヨブヨした腫れ
「痛みはあまりないけど、膝の一部がブヨブヨと腫れている…」という方は、この「滑液包」が原因かもしれません。
滑液包とは、関節腔とは別の、膝の周りにあるクッションの役割をする小さな袋のことです。膝の周りには、なんと10個以上の滑液包が存在しています[2]。
特に、正座などで膝をつく動作が多い方は、お皿のすぐ上や、お皿のすぐ下にある骨の出っ張り部分にある滑液包が刺激されて炎症を起こし、水が溜まることがあります。これを「滑液包炎」と言います。
関節腔の場合と違い、膝全体ではなく、特定の場所だけがピンポイントで腫れるのが特徴です。触るとプニプニ、ブヨブヨした感触があります。
この滑液包炎の膝に水が溜まる症状は、
●痛みがない、または押すと少し痛い程度
●熱感はあまりない
●膝の曲げ伸ばしは普通にできる
というケースが少なくありません。「なんか腫れてるけど、痛くないから大丈夫か」と放置されやすいのも、このタイプの特徴です。ただし、自己判断は禁物ですよ!
場所③:ガングリオン|硬いコブのような腫れ
「膝に硬いコブみたいなものができた…」これはガングリオンかもしれません。
ガングリオンは、関節を包む袋や、腱を包む袋からゼリー状の物質が飛び出してきてできる、硬いコブのようなものです[3]。手首にできるイメージが強いかもしれませんが、膝にも発生します。
見た目は少し分かりにくいこともありますが、超音波(エコー)検査をすればすぐに診断がつきます。袋がブドウの房のように、複数個できることも珍しくありません。
手首のガングリオンは放置しても自然に治ることがありますが、膝の場合は注意が必要です。
膝のガングリオンは、クッションの役割をする半月板や靭帯の損傷が原因で発生していることがあり、放置すると膝の機能に問題が出る可能性があります。痛みや、膝が完全に伸びない・曲がらないといった症状がある場合は、必ず専門医に相談しましょう。
📍場所④:膝窩(しっか)|膝の裏にできるコブ(ベーカー嚢腫)
最後の膝に水が溜まる場所は、膝の裏側です。「膝窩(しっか)」と呼ばれます。
膝の裏側に水が溜まってコブのようになる状態を「ベーカー嚢腫」と呼びます。これは、関節腔(写真1枚目)で増えすぎた水が、圧力に負けて後方へ逃げ出し、膝の裏側にある袋に流れ込んで膨らんでしまう状態です[4]。
これも滑液包炎と同じく、痛みがないことが多いのが特徴です。「膝を曲げた時に何か挟まっているような違和感がある」程度で、ご自身では気づかないこともあります。
✅【Q&A】膝の水に関する“よくあるギモン”を解決!
Q1. 「膝の水を抜くとクセになる」って本当ですか?
A1. いいえ、それは大きな誤解です!
これは非常によく聞かれる質問ですが、断言します。水を抜くこと自体がクセになることは絶対にありません。
では、なぜそう言われるのでしょうか?
それは、水が溜まる根本的な原因である「炎症」を治療しないから、また水が溜まってしまう、ただそれだけなのです。
医療機関で水を抜く(穿刺:せんし)のには、2つの重要な目的があります。
- 痛みを和らげるため:パンパンになった膝の圧力を下げ、つらい痛みを劇的に楽にします。
- 原因を診断するため:抜いた水の成分を調べることで、炎症の原因が変形性膝関節症なのか、リウマチなのか、あるいは別の何かなのかを診断する重要な手がかりになります[5]。
【穿刺前】
【穿刺後】
水を抜くのは、診断と治療の第一歩。原因に対する治療(炎症を抑える注射やリハビリなど)をしっかり行えば、水は溜まらなくなっていくのです。
Q2. 痛みがない腫れなら、放置しても大丈夫?
A2. いいえ、自己判断は危険です!
滑液包炎やベーカー嚢腫のように、痛みがないケースもあります。しかし、「腫れているけど痛くないから大丈夫」という自己判断は非常に危険です。
特に、
●明らかな痛みがある場合
●転んだ、ひねったなど、ケガの後に腫れてきた場合
これらは、骨折や靭帯損傷など、すぐに対応が必要な状態が隠れている可能性があります。少しでもおかしいなと感じたら、必ずお近くの整形外科を受診してください。
ご自身の膝の腫れがどんな状態か、膝に水が溜まる初期症状について、専門医が写真付きでさらに詳しく解説している動画があります。不安な方はぜひ一度ご覧ください。
【膝に水が溜まる初期症状】専門医が解説する動画はこちら
✅ まとめ:あなたの膝を守るために、覚えておいてほしいこと
それでは、今回の内容をまとめます。大切なことなので、ぜひ覚えておいてくださいね。
✅ 膝に水が溜まる場所は大きく分けて「①関節腔」「②滑液包」「③ガングリオン」「④膝の裏」の4つ。
✅ 膝に水が溜まる原因のほとんどは、関節の中の「炎症」。
✅ 強い痛みや、ケガの後の腫れは、すぐに病院へ行くべき危険なサイン。
✅ 痛みがない腫れ(滑液包や膝の裏のコブ)もあるが、自己判断は絶対にNG!
✅ 「水を抜くとクセになる」は誤解。原因の治療をすれば水は溜まらなくなる。
今回の記事で、ご自身の膝の腫れがどのタイプに近いか、少しイメージが湧いたのではないでしょうか。原因の見当がつくだけでも、病院で相談する際に、よりスムーズに話が進むはずです。
膝の痛みの治療には、炎症を抑える注射やリハビリなど様々な選択肢があります。最近では、ご自身の血液の力で組織の修復を促す「再生医療(PRP療法)」のような、根本的な改善を目指す新しい治療法も注目されています。
再生医療(PRP療法)について詳しく解説している動画もございますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。
【再生医療PRP】専門医が解説する動画はこちら
あなたの膝の痛みがなくなり、また笑顔で元気に歩ける日が来ることを、心から願っています。
膝に水が溜まることでお困りの方
膝に水が溜まることでお困りの方はいつでもご相談ください。
明石市の中山クリニックでは、専門医があなたの症状を丁寧に診察し、超音波検査などで正確な状態を把握した上で、あなたに最適な治療法をご提案します。
💡予約制で再生医療の無料カウンセリングも実施中です。
「私の膝にも効果があるの?」「費用はどれくらい?」など、どんな些細なことでもお気軽にお問い合わせください。
引用文献
- Hui AY, McCarty WJ, Masuda K, Firestein GS, Sah RL. A systems biology approach to synovial joint lubrication in health, injury, and disease. Wiley Interdiscip Rev Syst Biol Med. 2012;4(1):15-37.
- Chatra P S. Bursae around the knee joints. Indian J Radiol Imaging. 2012;22(1):27-30.
- Gagnon E, Le-vasseur M, L’Heureux-Gaudreault A, Beaulieu JY. Ganglion Cysts of the Hand and Wrist: A Review. Chir Main. 2021;40(5):291-301.
- Herman AM, Marzo JM. Popliteal cysts: a current review. Orthopedics. 2014;37(8):e678-84.
- Courtney P, Doherty M. Joint aspiration and injection and synovial fluid analysis. Best Pract Res Clin Rheumatol. 2013;27(2):137-69.