変形性膝関節症 どんな人に多い?放っておくとどうなる?──“今すぐ知ってほしい”チェックポイント【専門医解説】
掲載日:2025.08.25(最終更新日:2025.08.25)
1.まず知ってほしい「放っておくとどうなる?」のリアル
2.「変形性膝関節症 どんな人に多い?」セルフ判定リスト
3.こんなサインは“要注意”!受診の目安
4.早く始めると“将来の選択肢”が増える:治療の流れ
5.今日からできる“守りの一手”ミニプラン
6.まとめ(スクショ保存推奨)
7.よくある質問(Q&A)
1. まず知ってほしい「放っておくとどうなる?」のリアル
活動量低下のドミノ倒し
痛みで歩かない→筋力低下・体重増→さらに膝に負担→痛み悪化という悪循環に。
これが糖尿病・心血管疾患のリスク上昇にもつながり、死亡リスクが上がる可能性が報告されています[1]。
👉「年のせい」だけと片づけると、“歩ける未来”を失う引き金に。
軟骨は“お皿のひび”
膝 軟骨は血流が乏しく、一度すり減ると自然修復が極めて乏しい=放置で不可逆的に進行します[2]。
最後は骨と骨が直接当たる段階まで行くと、歩行困難や人工関節が必要になることも。
👉「早く気づいて、早く手を打つ」が最大の分かれ道。
🎥さらに深掘り動画:「変形性膝関節症 放っておくとどうなる?」は、YouTubeでも解説しています。
2.「変形性膝関節症 どんな人に多い?」セルフチェックリスト
以下に当てはまるほどリスクが高め。スマホで読みながらチェックしてください📝
✅年齢:40代以降で上昇、女性にやや多い(閉経関連の影響など)。
✅体重/肥満:体重1kg増で膝にかかる負荷は歩行時で約3〜4倍。体重管理は“効く”対策。
✅アライメント:O脚(内反膝)は「膝の内側が痛い」「膝の内側の痛み」と関係しやすい。
✅筋力:大腿四頭筋の筋力低下は進行と痛みの増悪に直結。
✅既往歴:半月板損傷/切除歴、膝骨折、靭帯損傷などの外傷歴。
✅生活/職業:重い物を持つ、長時間立ち仕事、階段昇降が多い。ハイインパクト運動歴も影響。
✅代謝因子:糖尿病・脂質異常・高血圧など“メタボ系”がある。
よくある質問 Q&A
Q:「変形性膝関節症 放っておくとどうなる?」
A:痛み→活動量低下→筋力低下・体重増→さらに痛みという負の連鎖に入り、転倒・要介護・全身の病気リスクまで高まります[1][2]。放置は禁物です。
3.こんなサインは“要注意”!受診の目安
✅痛みが増えてきた/夜間痛・安静時痛:悪化のサイン。内側型なら「膝の内側が痛い」が典型。
✅こわばり:朝や座位後のこわばりが長く続く。
✅腫れ・熱感:滑膜炎など炎症の可能性。放置で軟骨破壊が進む。
✅不安定感:階段下降でガクッ、歩行中の“抜ける感じ”。転倒リスク増。
✅可動域制限・ゴリゴリ音:膝 軟骨摩耗や半月板トラブルのサイン。
よくある質問 Q&A
Q:「レントゲンで“異常なし”と言われたのに痛いのはなぜ?」
A:初期変化はレントゲンに映らないことが多く、MRIが有用です。レントゲンで異常なくてもMRI所見が見つかることがあり、痛みが続く場合は要注意[4]。WORMSなどの指標で膝全体を総合評価できます[5]。
4.早く始めると“将来の選択肢”が増える:治療の流れ
変形性膝関節症は関節全体の病気(骨・軟骨・滑膜・靭帯・筋など“関節臓器”としての破綻)で、対策は一つでは不十分。多角的アプローチが基本です[2][6]。
患者さんの教育(まず知ることが一番の薬)
– 病気の仕組み・段階を理解し、“痛みと付き合う”のではなく“進行を遅らせる”選択へ。
– 目標は痛みのコントロール+歩行・生活機能の維持/改善。
運動療法(最重要)
– 大腿四頭筋の筋力強化(椅子立ち上がり、スクワットの軽量版、片脚立ちのバランス練習など)。
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– 有酸素運動(ウォーキング、自転車エルゴなど)+バランス訓練のセットで効果的[6]。
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– 痛みが強い時は“ゼロか100か”ではなく、痛みを悪化させない範囲で頻度を確保。
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体重管理(効き目が大きい)
– 体重を5〜10%落とすだけでも痛みと機能が改善しやすい。食事+運動の併用で。
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薬物療法・装具・注射
– 痛み止めの適切な使い分け、足底板や膝装具、関節注射(ヒアルロン酸等)。
– 生活機能を守る“橋渡し”として有効。独断での長期連用は避け、専門医と調整を。
膝 再生医療
– 自己血や脂肪由来の細胞/濃縮成分を用いて組織再生・修復をねらう治療。研究段階の領域を含むものの、症例報告で関節機能の改善が示された報告もあります[3]。
– 適応・期待値・費用・エビデンスの度合いを専門医と共有し、標準治療と併走させるのが現実的。
– まずは標準治療の土台(教育・運動・体重管理)を固め、補完的に検討しましょう[6]。
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ガイドラインの総論:早期診断・早期治療を強く推奨。レントゲン正常でも症状に応じてMRI、治療は患者教育・運動療法・体重管理を基盤に段階的に[6]。
5.今日からできる“守りの一手”ミニプラン
✅毎日合計10分:椅子からのスロースクワット(痛くない範囲)+片脚立ち各30秒×左右2セット。
✅平地ウォーク15〜20分:会話できる強度で。痛みが出る日は分割(5分×3)OK。
✅体重管理の小さな工夫:飲み物は無糖、夕食は1品だけ置き換え(豆腐/納豆/鶏むね/魚)でたんぱく質↑・総量↓。
✅段差や下り坂は慎重に:階段は“のぼり優先”、下りは手すり活用。
✅痛みが長引く/夜間痛が出たら受診:MRIで原因を特定し、“あなた専用”の治療地図を作りましょう[4][5]。
よくある質問(Q&A)
Q1. 「膝の内側が痛い」=必ず変形性膝関節症?
A1. 代表的ですが、半月板損傷・骨壊死など他疾患も。レントゲン正常でもMRIで判明することがあります[4]。自己判断は禁物。
Q2. どのくらいで悪化しますか?
A2.個人差が大きいですが、放置するほど加速。運動療法と体重管理の早期開始が最強のブレーキ[5]。
Q3. 膝 再生医療は“魔法”ですか?
A3.いいえ。可能性のある選択肢ですが、適応と期待値の共有が大切。標準治療と併走させる形が◎[3][6]。
Q4. 動画で勉強したい
A4. 公式解説はこちら🎥
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まとめ(スクショ保存推奨)
✅放置は禁物:QOL低下だけでなく死亡リスク上昇の可能性[1]。
✅どんな人に多い?:40〜80代、女性・肥満・O脚・筋力低下・外傷歴など。「膝の内側の痛み」は内側型で要注意。
✅レントゲン“正常”でもMRI:初期はMRIが鍵[4][5]。
✅多角的アプローチ:教育+運動+体重管理を核に、必要に応じて装具/注射/手術、膝 再生医療の検討[6][3]。
兵庫県明石市の中山クリニックでは、整形外科領域の診察は全て日本整形外科学会に認定された整形外科専門医が行います。下肢全体のアライメントを立った状態のレントゲンで確認し、MRI、CT、エコーなどを必要に応じて検査します。患者さん一人ひとりの状態に合わせた最適な治療計画を立て、膝の痛みを根本から解決することを目指しています。
当院では、「再生医療 無料カウンセリング」を実施しております。専門のスタッフが丁寧に説明いたします。初診の患者様でもご利用いただけますので、お気軽にお申し込みください。
📚引用文献
- Veronese N, Stubbs B, Solmi M, et al. Osteoarthritis and mortality: a prospective cohort study. Arthritis Care Res (Hoboken). 2016;68(8):1091–1097.
- Loeser RF, Goldring SR, Scanzello CR, Goldring MB. Osteoarthritis: a disease of the joint as an organ. Arthritis Rheum. 2012;64(6):1697–1707.
- Centeno CJ, Busse D, Kisiday J, et al. Increased knee cartilage volume in degenerative joint disease with use of autologous mesenchymal stem cells. Pain Physician. 2008;11(3):343–353.
- Guermazi A, Niu J, Hayashi D, et al. Prevalence of abnormalities in knees detected by MRI in adults without knee osteoarthritis: the Framingham Osteoarthritis Study. BMJ. 2012;345:e5339.
- Roemer FW, Guermazi A, Lynch JA, et al. The whole-organ magnetic resonance imaging score (WORMS) of the knee in osteoarthritis. Osteoarthritis Cartilage. 2006;14(9):968–974.
- 内尾祐司, 他. 変形性膝関節症診療ガイドライン2023. 東京: 南江堂; 2023. p.1–164.