膝の再生医療って何?整形外科専門医が解説する、最新治療法!!
掲載日:2025.06.19(最終更新日:2025.06.20)
「歩くと膝が痛い」
「階段の上り下りがつらい」といった膝の悩みをお持ちではありませんか?
そんな方に注目されているのが「再生医療」です。
再生医療は、膝が痛くなったり、軟骨がすり減ったりした時に、「自分の体の力を使って治す」新しい治療法のことです[1]。今回は、膝の再生医療の種類・効果・費用・注意点などを、整形外科の専門医の視点からわかりやすく解説します。
1.膝の再生医療を受けるメリットは?
2.膝再生医療ってどんな治療?費用や特徴は?
3.再生医療の種類で効果は違うの?
4.PRPとPRP-FDはどう違うの?
5.膝再生医療のデメリットはあるの?
6.膝再生医療はどんな人に向いているの?
7. 安全に再生医療を受けるために、気を付けることは?
8. まとめ~ひざの痛みで再生医療を考えている方へ~
9. よくある質問
1. 膝の再生医療を受けるメリットは?
手術のように患部にメスを入れない治療ですので、回復が早く、リハビリの負担が軽減されます。
血液や脂肪など、自分の組織を使うので、拒絶反応のリスクが少ないです。
将来的な手術の先送りや回避が可能です。
※ただし、効果には個人差があります。
2. 膝再生医療ってどんな治療?費用や特徴は?
膝再生医療にはいくつか種類があり、治療法によって特徴や費用が異なります。
以下に、主な治療法について、まとめました。
※費用は2025年6月時点での国内相場で目安です。
【治療法比較表】
治療法 | 特徴 | 費用 (目安) |
---|---|---|
PRP療法 | 自分の血液から抽出した血小板を高濃度にして注射。多くの研究で効果が証明されている。血液採取して約20分で治療が可能。 | 3万円〜 |
PRP-FD療法 | PRPを凍結乾燥。乾燥過程で再生能力がやや低下。血液採取して治療まで約3週間かかる。 | 15万円〜 |
APS療法 | 採血し、抗炎症成分と成長因子の両方を抽出・濃縮したものを注射。炎症を抑えながら修復促進。血液採取して約30分で治療が可能。 | 30万円〜 |
脂肪幹細胞移植 | 腹部などの脂肪から幹細胞を抽出し注射。幹細胞には強い修復力があり、効果も高い。脂肪を採取して細胞を培養する時間が約1ヶ月必要。 | 100万円以上 |
3.再生医療の種類で効果は違うの?
以下は、主な治療法と効果の比較です。
治療法 | 効果 | 効果の強さ |
---|---|---|
脂肪幹細胞移植 | 強い効果で2年以上持続する可能性あり。 | |
APS療法 | 持続期間は12〜24ヶ月程度と長いのが特徴 | |
PRP療法 | 持続期間は約6ヶ月~1年程度 | |
PRP-FD療法 | 持続期間は約6ヶ月程度 |
4.PRPとPRP-FDはどう違うの?
名前は似ていますが、これらは大きく異なります。
PRPは、厚生労働省に「再生医療等提供計画」を届け出て、認可を受けている法的に認められた「再生医療」です[2]。
一方、PRP-FDは、医療施設の厚生労働省への届出や認可が不要であり、エクソソームと同様に法的には再生医療として認可されていません[2]。
詳しくはコチラ!! 中山クリニックYouTubeチャンネル「ひざ再生医療の光と闇」
PRP-FDは凍結乾燥技術を用いた治療法で、利便性が高い一方で、以下のような注意点があります。
【メリット】
保管・輸送が容易でどこの施設でも導入しやすい点です。
【デメリット】
凍結乾燥によって本来の血小板の活性が低下し、効果が弱まる可能性や、製造過程における品質管理のばらつき、さらには使用前の再溶解操作による汚染のリスクが挙げられます。
5. 膝再生医療のデメリットはあるの?
膝再生医療にはいくつかのデメリットがあります。
まず、保険適用外の治療[3]であるため、費用が高額になる傾向があります。また、治療効果には個人差があり、技術や施設によってもその効果は異なります。さらに、一部の治療においては感染リスクの可能性も考慮する必要があります[1]。
6. 膝再生医療はどんな人に向いているの?
✅初期~中期までの変形性膝関節症の方。
✅スポーツで膝を酷使する方。
✅手術を避けたい高齢者や持病のある方。
✅痛み止めが効きにくい方。
7. 安全に再生医療を受けるために、気を付けることは?
1. 整形外科専門医が常勤しているクリニックを選びましょう。
➡ 安全な関節注射が可能で、画像診断にも精通しています。
2. 厚生労働省の認可を受けた施設であること!
➡ 「第2種再生医療等提供機関」の登録の有無を確認します[2]。
再生医療に適した、清潔な基準を満たした設備を有する施設と認定されているということです。
感染予防のため衛生管理が必要です。
3. 清潔で設備の整った医療機関であること。
➡運動器リハビリができる医療機関であることが大切です。
➡感染予防のため、処置環境の衛生管理は重要です!
再生医療を受けた後に膝周囲の筋力訓練やストレッチが必要です。
8. まとめ ~ひざの痛みで再生医療を考えている方へ~
膝の再生医療は、手術をせずに痛みの改善を目指せる新しい治療です。
費用はかかりますが、自分の細胞や血液を使った治療法は、副作用が少なく、回復力を高めてくれる可能性があります。
信頼できる整形外科専門医が常勤し、厚労省認可を受けた施設での治療が重要です。症状に合った選択を行い、納得できる説明を受けてから治療を受けるようにしましょう!
兵庫県明石市の中山クリニックでは、整形外科領域の診察は全て日本整形外科学会に認定された整形外科専門医が行います。下肢全体のアライメントを立った状態のレントゲンで確認し、MRI、CT、エコーなどを必要に応じて検査します。患者さん一人ひとりの状態に合わせた最適な治療計画を立て、膝の痛みを根本から解決することを目指しています。
当院では、「再生医療 無料カウンセリング」を実施しております。専門のスタッフが丁寧に説明いたします。初診の患者様でもご利用いただけますので、お気軽にお申し込みください。
9. よくある質問 ~Q&A~
Q. 膝の再生医療は保険適用されますか?
A. 2025年現在、再生医療は自由診療(保険適用外)です[3]。
Q. 効果はどのくらい続きますか?
A. PRPでは約6か月~1年、APSでは1年以上、脂肪幹細胞では2年超の報告もあります(※個人差あり)。
Q. 通院回数は?
A. 一般的には1~3回程度。治療後は2週間~1か月ほどの経過観察が必要です。
Q.再生医療を受けられない人はいますか?
A.感染症をお持ちの方、重度の糖尿病の方、悪性腫瘍を患っている方は、受けられません。
Q.膝の再生医療は何才まで受けられますか?
A.高齢でも、受けることが可能です。 90歳以上の治療例もあります。
Q.膝にヒアルロン酸注射をするデメリットはありますか?
A.ヒアルロン酸注射には、注射部位の痛みや腫れといった副作用が、一時的に発生する可能性があります[4]。また、ヒアルロン酸注射は、根本的な治療ではなく、一時的な効果しかないため、繰り返し注射することで、効果が感じにくくなったり、感染症のリスクが高まったりする可能性もあります。
Q.膝の再生医療は、医療費控除の対象になりますか?
A.膝の再生医療費用は、治療目的であれば医療費控除の対象になる可能性があります[5]。ただし、美容目的や健康増進のための治療は対象外です。医療機関で領収書を発行してもらい、確定申告をする必要があります。例えば、膝の軟骨がすり減って痛みが出る変形性膝関節症に対して、自分の軟骨細胞を培養して移植する再生医療を受けた場合、その費用は医療費控除の対象となる場合があります。