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肘の外側が痛い原因は?テニス肘の症状と予防法をわかりやすく解説

掲載日:2024.06.07

————目次————
 

1.肘の外側が痛い原因とは?
  ①原因と発症要因
  ②他の関連する疾病について
2.テニス肘の症状と診断方法
  ①テニス肘の症状
  ②テニス肘の診断方法
  ③画像診断
3.テニス肘の治療法
  ①保存療法
  ②手術が必要な場合
4.テニス肘を予防する方法
5.肘の痛みは放置すると重症化する?
6.テニス肘を早く見つけるには?
7.まとめ

1.肘の外側が痛い原因とは?

1.原因と発症要因

肘の外側が痛む原因としてよく知られているのが「テニス肘(上腕骨外側上顆炎)」です。テニス肘は、手首や指を使う動作を繰り返すことで、肘の外側にある腱に負担がかかり、炎症が起きることによって発症します。テニス以外にも、ゴルフ、野球、料理、パソコン業務や掃除などの日常的な動作でも発症することがあります。

2.他の関連する疾病について

肘の痛みの原因としては、テニス肘以外にもいくつかの可能性があります。例えば、肘の関節炎や神経障害、腱鞘炎などが考えられます。これらの疾患も同様の症状を引き起こすため、正確な診断が重要です。

2.テニス肘の症状と診断方法

1.テニス肘の症状

テニス肘の一番多い症状は、肘の外側の痛みです。この痛みは、手首を動かしたり、物を持ち上げたりする動作で悪化します。また、肘を押すと痛みが増すこともあります。

2.テニス肘の診断方法

テニス肘の診断は、医師による問診と触診が基本です。医師は患者の生活習慣や症状について詳しく尋ねます。肘の外側を押したり、手首を動かしたり、肘を曲げ伸ばしして痛みの発生を確認します。
テニス肘の診断は、いくつかのテストを通じて行います。以下に代表的なテストを紹介します。

① Chair Test(椅子テスト)

患者さんに肘を伸ばした状態で手のひらを下に向け、軽い椅子を持ち上げてもらいます。この動作で肘の外側に痛みが生じる場合、テニス肘の可能性があります。

② Thomsen Test(トムセンテスト)

患者さんに肘を伸ばし、手のひらを下に向けて手首を上に反らすようにしてもらいます。その状態で医師が手首を押し下げるときに、肘の外側に痛みが生じる場合、テニス肘の疑いがあります。

③ Middle Finger Test(中指テスト)

患者さんに肘を伸ばした状態で手のひらを下に向け、中指を上に反らすようにしてもらいます。その状態で医師が中指を押し下げるときに、肘の外側に痛みが生じる場合、テニス肘の可能性があります。

これらのテストは簡単に行えるため、診察時によく使われます。

3.画像診断

画像診断は、テニス肘の正確な診断と他の疾患の除外に役立ちます。以下に主要な画像診断の方法を詳しく説明します。

① レントゲン(X線)


目的: 骨の異常を確認するために使用されます。
内容: レントゲン撮影は、骨折や骨の変形、石灰沈着、骨棘、腫瘍などの有無を確認するのに役立ちます。テニス肘自体は腱や筋肉の問題なので、レントゲンでは稀に伸筋腱の石灰沈着や上腕骨外顆の骨棘が見られますが、他の疾患を排除するために行われます。

② エコー(超音波検査)


目的: 腱や筋肉の状態をすぐにリアルタイムで確認します。テニス肘では短橈側手根伸筋腱の変性や炎症が見られます。
内容: エコー検査では、腱の炎症や断裂、腱鞘の状態、滑膜ヒダ、などを詳しく見ることができます。エコーはリアルタイムで動きを観察できるため、手首を動かしながら痛みの原因を特定するのに有効です。また、エコーは被曝することがなく非侵襲的で安全な検査法です。

③ MRI(磁気共鳴画像)


目的: 軟部組織の詳細な画像を提供し、腱や筋肉の微細な損傷を確認します。
内容: MRIは磁気と電波を使って体内の画像を作り出します。これにより、腱の損傷や変性、筋肉の炎症、骨の炎症、滑膜炎、周囲の組織の状態を非常に詳細に見ることができます。MRIは、テニス肘の診断において非常に高い精度を持ち、他の画像診断で判別しにくい微細な異常も検出可能です。

3.テニス肘の治療法

保存療法

① ストレッチ

手首の伸展ストレッチ: 肘を伸ばし、手のひらを下に向けて腕を前に伸ばします。もう一方の手で手首を反らすように軽く引っ張ります。この姿勢を15-30秒間保持し、1日に数回行います。
手首の屈曲ストレッチ: 手首を曲げた状態で、もう一方の手で手の甲を軽く押し、手首の筋肉を伸ばします。これも同様に15-30秒間保持し、数回繰り返します。

② リハビリテーション

エクササイズボールの握り: 小さなエクササイズボールやタオルを握りしめ、握力を鍛えます。これを数秒間保持し、数回繰り返します。
逆手のダンベルリストカール: 軽いダンベルを持ち、手のひらを上に向けて手首を曲げ伸ばしします。これを10回程度行い、数セット繰り返します。

③ ステロイド注射

炎症を抑えるためにステロイド注射を行うことがあります。ステロイド注射は即効性がありますが、頻繁に使用すると腱や周囲の組織を弱くする危険があります。そのため、使用には慎重さが求められます。

④ 体外衝撃波治療


近年、集束型の体外衝撃波治療がステロイド治療よりも効果的であることが示されています。この治療法は、衝撃波を患部に当てることで組織の修復を促進します。
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⑤ ハイドロリリース

ハイドロリリースは、エコー下に硬くなった筋膜や神経周囲に生理食塩水や局所麻酔薬を注入して、組織の硬直や阻血を解消する方法です。

⑥ プロロセラピー

プロロセラピーは、糖液を注射することで組織を刺激して組織の修復を促進する治療法です。米国ではHydrodissectionと呼ばれています。

⑦ PRP治療


自己血液から抽出した成分を患部に注入し、自然治癒力を高めます。自分の組織を利用して行う再生医療になり、アレルギー反応や副作用がほぼないことが特徴です。
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⑧ 物理療法

物理療法は一般的に効果が弱いとされています。

手術が必要な場合


保存療法で効果が見られない場合は、手術が検討されます。手術では、関節鏡という細い管状のカメラを使った内視鏡で肘関節の中から観察して炎症を起こしている腱や筋膜を切除したり、変性した伸筋腱を再建することがあります。

4.テニス肘を予防する方法

1.日常生活での予防ポイント

日常生活での予防ポイントとして、重い物を持つ際に正しい姿勢を心がけることが重要です。肘に負担がかからないよう肘を曲げた状態で作業したり、長時間の手作業を避け、定期的に休憩を取ることも効果的です。

2.スポーツ時の注意点とサポーターの使用

スポーツを行う際は、適切なフォームを保つことが大切です。特にテニスでは、正しいスイングフォームを習得することが予防に繋がります。必要に応じてサポーターを正しく使用することで、肘への負担を軽減することができます。

3.正しいストレッチとエクササイズ

さきほど解説したストレッチとエクササイズも予防には欠かせません。特に手首や前腕の筋肉を柔軟に保つことが重要です。

5.肘の痛みは放置すると重症化する?

肘の痛みを放置すると、症状が悪化し、慢性的な痛みや機能障害、肘の動きが悪くなるなどの可能性があります。早期の診断と適切な治療が重要です。

6.テニス肘を早く見つけるには?

テニス肘を早期に見つけるためには、痛みや違和感を感じたら早めに整形外科専門医の診断を受けることが重要です。また、痛みを我慢せず、適切な休息を取ることも大切です。

7.まとめ


以上が、テニス肘の原因、症状、治療法、予防法についての解説です。肘の痛みを感じたら、早めに対策を取ることで、重症化を防ぐことができます。正しい知識を持って適切な予防策を行ない、テニス肘が発症するのを未然に防ぎましょう。
 
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