変形性膝関節症はどんな人に多い?7つの特徴と寝たきりを防ぐ対策
掲載日:2026.05.21(最終更新日:2026.05.21)

変形性膝関節症とは、膝関節の軟骨がすり減り、骨同士がぶつかって痛みや変形を起こす病気です。
軟骨は、骨と骨の間でクッションの役割をはたす組織です。このクッションが長年の負担で傷み、関節の動きが悪くなった状態が変形性膝関節症にあたります。
初期は
「立ち上がるときだけ痛い」
「階段を降りるときにズキッとする」
といった軽い症状から始まります。
進行すると平地歩行も困難になり、最終的に手術が必要になる方もいます。
2025年に発表された世界規模の研究では、特に女性・高齢者・肥満のある方で患者数が増え続けていると報告されています[1]。日本では推定2,500万人以上が悩んでおり、もはや国民病と言ってよい疾患です。
1.変形性膝関節症はどんな人に多い?7つの特徴
2.放置すると寝たきりにつながる理由
3.診断方法|膝の痛みが続く場合はMRI検査を
4.治療法|段階に応じた4つの選択肢
5.今日からできる予防・セルフケア3ステップ
6.よくある質問(FAQ)
7.まとめ
1. 変形性膝関節症はどんな人に多い?7つの特徴

ここからが本題です。最新の医学研究で明らかになった「なりやすい人の特徴」を7つ紹介します。
あなたにいくつ当てはまるか、数えながら読み進めてみてください。
① 50歳以上の方
年齢は最も基本的なリスク要因です。2025年に発表された大規模な複数研究でも、加齢が発症リスクを大きく押し上げると示されています[2]。
60代、70代と進むほどリスクは段階的に高くなります。一方で、最近は40代の患者さんも珍しくありません。
② 女性であること
世界中の研究で、女性の患者数は男性より明らかに多いと報告されています[1,3]。
理由は主に3つあります。
1つ目は、閉経後に女性ホルモン(エストロゲン)が減ることで、軟骨を守る働きが弱まる点です。
2つ目は、男性より筋肉量が少なく、衝撃を吸収しにくい点です。
3つ目は、もともとO脚気味の方が多いという骨格的な傾向です。
特に閉経を迎える50代後半から、患者数がぐっと増えてきます。

③ 体脂肪率が高い方
歩くときに膝にかかる負荷は、体重の約3倍。
階段を降りる動作では約7倍にも達します。体重が重いほど、膝のダメージが蓄積するのは想像しやすいでしょう。
ところが2024年の研究で、興味深い事実が判明しました。
体重そのものよりも「体脂肪率」の方が、変形性膝関節症のリスクと強く関係しているのです[4]。
脂肪細胞からは、関節に炎症を起こす物質が分泌されます。つまり、見た目がスリムでも体脂肪率が高い「隠れ肥満」の方は注意が必要です。

④ 過去に膝をケガした方
これは最大のリスク要因のひとつです。
前十字靭帯(じんじゅうじたい:膝を安定させる靭帯)の断裂や半月板損傷を経験した方は、未経験者と比べて発症リスクが約3倍になると報告されています[2]。
患者さんに過去のスポーツ歴を聞くと、女性ではバレーボールやバスケットボールの経験者が目立ちます。「あのときの捻挫」が数十年後に表面化することがある、ということです。
➡動画でもわかりやすく解説しています。当時のケガが今の膝痛にどうつながるのか、ぜひこちらもご覧ください。https://youtu.be/db11KlB4De4

⑤ 膝に負担がかかる職業の方
農業・介護・建設・配達・美容師・調理師・茶道や華道の指導者など、長時間の立ち仕事やしゃがみ動作が多い職業の方は、膝への累積ダメージが大きくなります[2]。
正座をする機会の多い方も、無意識に負担を蓄積させている可能性があります。
⑥ O脚気味の方
立った状態で内くるぶしを揃えたとき、左右の膝の間に指が2本以上入る方はO脚傾向です。
O脚では膝の内側に体重が偏ってかかります。
日本人の変形性膝関節症の約9割は内側の軟骨がすり減るタイプなので、O脚は無視できない要因です。
⑦ ご家族に発症した方がいる
骨や軟骨の質、関節の形には遺伝的な要素があります[3]。
親御さんや祖父母に変形性膝関節症の方がいれば、自分も発症しやすい体質を受け継いでいる可能性があります。
ただし、遺伝だから諦めるしかないわけではありません。
生活習慣の工夫で十分に予防は可能です。
あなたはいくつ当てはまる?リスク判定
✅ 0〜1個:低リスク
✅ 2〜3個:中リスク(予防開始の時期)
✅ 4個以上:高リスク(今すぐ対策が必要)
2. 放置すると寝たきりにつながる理由

変形性膝関節症の怖さは、痛みそのものではなく「歩けなくなること」にあります。
膝の痛みで活動量が減ると、太ももの筋肉が衰え、さらに膝が不安定になります。やがて転倒しやすくなり、転倒による骨折をきっかけに寝たきりになるケースが少なくありません。
実際、日本における要介護の原因のうち、運動器の障害は上位を占めています。
変形性膝関節症はその代表格です。
「歳のせい」と我慢している間にも、軟骨は静かに削られ続けます。
寝たきりを避けるためには、早期発見と早期介入が決定的に重要です。
3. 診断方法|膝の痛みが続く場合はMRI検査を

レントゲン(X線)検査
骨の形・関節の隙間・骨棘(こつきょく:骨のとげのような変形)を見るのに優れています。
費用も安く、最初に行う基本検査です。
ただし、レントゲンでは軟骨そのものは写りません。
初期の段階では「異常なし」と判断されてしまうこともあります。

MRI(磁気共鳴画像)検査
膝の痛みが2週間以上続く場合は、MRI検査が推奨されます。
MRIは軟骨・半月板・靭帯・骨内部の状態を立体的に評価できる検査です。
2024年に発表された研究では、MRI画像と人工知能を組み合わせることで、レントゲンでは見えない初期の変形性膝関節症を高い精度で予測できると報告されました[5]。早期発見できれば、進行を抑える治療を早く始められます。
「レントゲンで異常なしと言われたのに痛みが続く」という方は、MRI検査をご相談ください。

エコー(超音波)検査
関節内の炎症や水のたまり具合をリアルタイムで観察できます。
被ばくがなく、短時間で行えるのが特徴です。
4. 治療法|段階に応じた4つの選択肢

治療は症状の重さに応じて、保存療法から手術療法まで段階的に組み合わせます。
① 保存療法(軽度〜中等度)
運動療法・体重管理・装具療法・物理療法が柱になります。
膝周りの筋肉を鍛えることで、関節への負担を軽減します。

② 薬物療法
消炎鎮痛薬の内服・外用、ヒアルロン酸の関節内注射などを症状に応じて使い分けます。

③ 再生医療(中等度の選択肢)
近年注目されている治療法に、自身の血液や脂肪組織を使う再生医療があります。
当院では、
PRP(多血小板血漿)・APS(自己タンパク質溶液)・脂肪由来幹細胞治療・体外衝撃波治療
といった選択肢を提供しています。
これらは厚生労働省への届出を行った自由診療です。
手術を避けたい方の選択肢のひとつになりますが、すべての方に効果が約束される治療ではありません。診察のうえで適応を判断します。

④ 手術療法(重度)
進行が著しい場合は、人工膝関節置換術などの手術を検討します。
歩行能力の回復に大きく貢献する治療です。
5. 今日からできる予防・セルフケア3ステップ

寝たきりを防ぐために、自宅でできる予防策をまとめました。
✅ ステップ1:体重を5kg減らす意識を持つ。肥満のある変形性膝関節症の方を対象にしたアメリカの18ヶ月臨床試験では、食事と運動の組み合わせで痛みと膝の機能が大きく改善したと報告されています[6]。間食を減らす、夕食を軽くするなど、続けられる範囲で始めましょう。
✅ ステップ2:足上げ体操で太ももを鍛える。
仰向けに寝て、片足をまっすぐ伸ばしたまま10cmほど持ち上げ、5秒キープ。
左右10回ずつを1日3セット行います。
膝に負担をかけずに大腿四頭筋(太ももの前の筋肉)を鍛えられる王道のトレーニングです。
✅ ステップ3:違和感が2週間続いたら整形外科へ!
我慢している間にも軟骨はすり減ります。早期に診察を受け、必要に応じてMRI検査で正確な状態を把握しましょう。
6. よくある質問(FAQ)

Q1. 変形性膝関節症は何歳から気をつけるべきですか?
50歳以降は誰もが注意すべき疾患です。閉経を迎える50代後半から女性の発症率が急増します。膝に違和感が出始めたら、年齢にかかわらず整形外科の受診をおすすめします。
Q2. 変形性膝関節症は治りますか?
すり減った軟骨が元に戻ることはありませんが、進行を抑えて痛みを軽減することは可能です。早期に治療を始めれば、日常生活に支障のない状態を長く維持できます。
Q3. 変形性膝関節症で寝たきりになることはありますか?
膝痛で活動量が減り、筋力低下と転倒骨折を経て寝たきりになるケースは少なくありません。早期発見と適切な運動療法で予防できる可能性が高い状態です。
Q4. 膝の痛みが続く場合、MRI検査は必要ですか?
痛みが2週間以上続く場合はMRI検査が推奨されます。レントゲンでは見えない軟骨・半月板・靭帯の状態を評価でき、早期診断につながります。
Q5. やせているのに変形性膝関節症になりますか?
体脂肪率が高い「隠れ肥満」の方はリスクが高まります[4]。脂肪細胞から分泌される物質が関節の炎症に関与するため、体重よりも体脂肪率の管理が重要です。
Q6. ウォーキングは膝に良いですか、悪いですか?
症状の段階によって異なります。痛みが強い時期に長時間のウォーキングを行うと悪化する場合があります。医師の判断のもと、足上げ体操など膝への負担が少ない運動から始めることをおすすめします。
Q7. 過去のスポーツ外傷は今の膝にも影響しますか?
影響します。前十字靭帯損傷や半月板損傷の経験者は、未経験者と比べて発症リスクが約3倍と報告されています[2]。学生時代のケガであっても、現在の膝の状態を一度確認することをおすすめします。
7. まとめ

変形性膝関節症はどんな人に多いのか、ポイントを整理します。
✅50歳以上、特に閉経後の女性に多い
✅体脂肪率が高い人、過去に膝をケガした人はリスク3倍
✅膝に負担のかかる職業・O脚・家族歴も発症リスクを上げる
✅放置すれば寝たきりにつながる重要な疾患
✅痛みが2週間続いたら、レントゲンに加えてMRI検査を
✅体重管理と足上げ体操で進行を抑えられる可能性が高い
膝の健康は、一生自分の足で歩き続けるための土台です。今日の小さな行動が、5年後・10年後の生活の質を大きく変えます。
動画でもより詳しく解説しています。先生とアナウンサーの対話形式で、リスクチェックと予防法を学べます。
参考文献
- Li M, et al. Burden of knee osteoarthritis in China and globally: 1990-2045. BMC Musculoskelet Disord. 2025;26(1):582.
- Duong V, et al. Risk factors for the development of knee osteoarthritis across the lifespan: A systematic review and meta-analysis.Osteoarthritis Cartilage. 2025;33(10):1162-1179.
- Lee DY. Prevalence and Risk Factors of Osteoarthritis in Korea: A Cross-Sectional Study. Medicina (Kaunas). 2024;60(4):665.
- Huang G, et al. Causal analysis of body composition measurements in osteoarthritis knee: a two-sample Mendelian randomization study.BMC Musculoskelet Disord. 2024;25(1):341.
- Li S, et al. Integrating Radiomics and Neural Networks for Knee Osteoarthritis Incidence Prediction. Arthritis Rheumatol. 2024;76(9):1377-1386.
- Messier SP, et al. Disparities Between Rural and Urban Communities: Response to 18 Months of Diet and Exercise Versus Control for Knee Osteoarthritis and Overweight or Obesity. Arthritis Care Res (Hoboken).2024;77(1):69-76.
