【明石市の肩専門医が解説】それ、五十肩じゃないかも?見逃してはいけない「腱板断裂」5つの初期症状
掲載日:2026.02.27(最終更新日:2026.02.27)

「最近、肩が痛くて腕が上がらない…年のせいかな?」
「夜、肩がうずいて眠れない…」
明石市にお住まいのあなた、そんな肩の症状に悩んでいませんか?
その症状、多くの人が「五十肩」だと思い込んでしまいがちですが、実は「腱板断裂(けんばんだんれつ)」という、肩のインナーマッスルが切れてしまうケガのサインかもしれません。放置すると、痛みが強まったり、腕が上がらなくなったりすることもある、注意が必要な病気です。
今回は、肩の専門医である立場から、見逃してはいけない「腱板断裂の症状」について、科学的根拠のある文献[1-5] を基に、どこよりも分かりやすく解説します。
🎥さらに深掘り動画:肩の痛み 原因は?10秒で肩をセルフチェックする方法【腱板損傷 テスト】は、YouTubeでも解説しています。
1.そもそも「腱板断裂」って何?🤔
2.【セルフチェック】見逃さないで!腱板断裂の5つのサイン
3.Q&A:専門医がお答えします!腱板断裂のよくある疑問
4.まとめ:明石市で「肩のサイン」に気づいたら、専門医にご相談を
5.引用文献
1.そもそも「腱板断裂」って何?🤔

まず、「腱板」とは何か、というところからお話ししますね。
肩の関節は、骨だけでは非常に不安定な構造をしています。
そこで、肩甲骨から腕の骨(上腕骨)にくっついている4つの筋肉が、まるでキャップのように骨を包み込み、安定させています。この4つの筋肉の「腱(けん)」が集まった部分を「腱板」と呼びます。
イメージとしては、腕を上げたり、回したりするときに、肩がガクガクしないようにしっかりと支えてくれている「肩のインナーマッスル」だと思ってください。
「腱板断裂」とは、この腱板が、加齢による変化や、転倒などのケガによって、すり切れたり、完全に断裂してしまったりする状態のことです。
腱板が切れると、肩の安定性が失われ、様々な症状が出てきます。
2.【セルフチェック】見逃さないで!腱板断裂の5つのサイン

それでは、具体的にどのような症状が出たら腱板断裂を疑うべきなのでしょうか?
特に注意してほしい5つの代表的な症状をご紹介します。ご自身の症状と見比べてみてください。
1. 肩から腕の外側にかけての「うずくような痛み」
腱板断裂の最も代表的な症状は、肩の痛みです。
特に、肩の外側(三角筋という筋肉があるあたり)から腕にかけて、「うずくような」「鈍い痛み」を感じることが多いのが特徴です 。
✅ 肩の前や後ろではなく、真横あたりが痛む
✅ じっとしていても、ズキズキ、ジンジンする痛みがある
✅ 腕を上げたり、後ろに手を回したりする動作で痛みが強くなる
「肘から先に痛みが響くことは少ない」とも言われており、痛みの範囲が肩周りに限定されやすいのもポイントです。
2. 眠れないほどつらい「夜間痛(やかんつう)」
「夜、痛みで目が覚めてしまう」
「痛い方の肩を下にして眠れない」
このような夜間痛は、腱板断裂の患者さんにとって非常につらい症状であり、診断の手がかりとしても極めて重要です。ある研究では、腱板断裂の患者さんの約83%に夜間痛が見られたと報告されているほどです 。
なぜ夜に痛むのか?🤔
理由はいくつか考えられていますが、寝ている間は肩の筋肉がリラックスしてしまい、関節が不安定になることや、炎症物質がたまりやすくなることなどが関係していると言われています。このつらい夜間痛が、睡眠不足や生活の質の低下につながることも少なくありません。

3. 腕を上げ下げする途中で痛む「ペインフルアーク」
腕を横から上げていくとき、ある特定の角度(およそ60度〜120度の間)で特に痛みが強くなり、それを超えるとスッと痛みが和らぐ現象はありませんか?
この特徴的な痛みの出方を「ペインフルアーク(painful arc)」と呼びます 。これは、腕を上げていく過程で、傷ついた腱板が肩の骨(肩峰)とぶつかって挟み込まれることで生じます。腱板に問題があることを示す、非常に典型的なサインの一つです。
✅ 腕を上げ始めと、完全に上げた状態では痛くない
✅ ちょうど肩の高さあたりで「ズキッ」と痛みが走る
4. 力が入らない「筋力低下」と「挙上困難」
「ペットボトルの蓋が開けにくい」
「高いところの物を取ろうとしても力が入らない」
腱板は腕を動かすための重要なエンジンの一部です。そのため、腱板が断裂すると、腕を上げたり、外側にひねったりする筋力が明らかに低下します。ある報告では、腱板断裂の患者さんの41%に筋力低下が見られたとされています 。
特に、転倒などで急に断裂した急性断裂の場合は、突然腕が全く上がらなくなることもあります。これは「偽性麻痺(ぎせいまひ)」と呼ばれ、神経が麻痺したわけではないのに、腱が切れたことで動かせなくなっている状態です。
✅ 以前より重いものが持てなくなった
✅ 洗濯物を干すなど、腕を上げたまま作業するのがつらい
✅ 急に腕が「ストン」と落ちるように感じることがある(ドロップアームサイン)
5. 肩が固まって動かない「可動域制限」
痛みのせいで肩を動かさなくなると、徐々に関節が固まってしまい、動かせる範囲(可動域)が狭くなってしまいます。
腱板断裂の場合、「自分では腕を上げられないけれど、反対の手で支えれば上がる」というように、自動運動(自分の力で動かす)の制限が主体であることが多いです。しかし、慢性化して拘縮(こうしゅく)という状態になると、他動運動(人の力で動かす)でも上がらなくなり、いわゆる「凍結肩」のようになってしまうこともあります 。
✅ 背中に手が回しにくくなった(エプロンの紐を結ぶ、下着をつけるなど)
✅ 髪を洗ったり、とかしたりする動作がしづらい
3.Q&A:専門医がお答えします!腱板断裂のよくある疑問

ここで、患者さんからよくいただく質問にお答えします。
Q. 腱板断裂は、レントゲンで分かりますか?
A. いいえ、レントゲン(X線写真)だけでは腱板断裂の確定診断はできません。
腱板は筋肉の「腱」であり、レントゲンには写りません。レントゲンは主に骨の状態を見るための検査です。ただし、長期間断裂を放置していると、骨の変形などが起こることがあり、間接的な所見が見られる場合はあります。
腱板断裂の診断には、MRI検査や超音波(エコー)検査が非常に有用です。これらの検査で、腱板がどのくらい、どのように切れているかを詳しく確認することができます。特にエコー検査は、診察室でその場ですぐに肩の中の状態を確認できるため、私たち専門医にとっては欠かせない診断ツールです。

Q. 症状がなくても、腱板が切れていることはありますか?
A. はい、驚かれるかもしれませんが、症状が全くない「無症候性腱板断裂」の方も、実は少なくありません 。
特にご高齢の方の肩をMRIなどで調べてみると、本人は全く痛みを訴えていないのに、腱板が切れていることがしばしば見つかります。これは、加齢によってゆっくりと断裂が進行した場合、周りの筋肉が頑張って機能を補ってくれるため、症状が出にくいことがあるからです。
しかし、無症状だからといって安心はできません。何かをきっかけに急に痛みが出始めたり、断裂が大きくなってしまったりする可能性もあります。そのため、症状がなくても、定期的なチェックが重要になる場合があります。
Q. 五十肩と腱板断裂は、何が違いますか?
A. 五十肩は、肩の関節を包んでいる袋(関節包)が原因不明の炎症を起こし、分厚く硬くなった状態です。腱板は切れていません。
名前の通り、40代〜50代の方に多く見られます。
肩関節そのものがガチガチに固まって凍りついたようになるため、「凍結肩」とも呼ばれます。肩をどの方向に動かそうとしても、鍵がかかったように動きません。無理に動かすと激痛が走ります。
簡単に見分けるポイントは次の通りです。
✅五十肩:他人が動かしても腕が上がらない
✅腱板断裂:自分では腕が上がらないが、他人が動かすと上がる
4.まとめ:明石市で「肩のサイン」に気づいたら、専門医にご相談を

今回は、見逃してはいけない「腱板断裂の症状」について詳しく解説しました。
✅ 肩から腕の外側にかけてのうずくような痛み
✅ 夜、痛みで目が覚めるほどの「夜間痛」
✅ 腕を上げ下げする途中で痛む「ペインフルアーク」
✅ 力が入らない「筋力低下」や、腕が上がらない「挙上困難」
✅ 背中に手が回らないなどの「可動域制限」
これらの症状に一つでも心当たりがあれば、それは単なる「年のせい」や「五十肩」ではないかもしれません。
腱板断裂は、適切な時期に適切な診断・治療を行えば、つらい痛みや機能障害を改善させることが十分に可能です。逆に、放置してしまうと断裂が拡大し、治療がより難しくなってしまうこともあります。
中山クリニックは、明石市で2011年から肩関節の治療に力を入れてきました。MRIやエコーを用いた正確な診断はもちろん、リハビリテーションから、
🔳関節鏡を用いた低侵襲手術(2025年度鏡視下腱板修復術 97件)
🔳人工肩関節置換術
🔳そして最新の再生医療
まで、患者さん一人ひとりの症状とライフスタイルに合わせた最適な治療をご提案しています。
「これって腱板断裂かな?」と思ったら、決して一人で悩まず、お気軽にご相談ください。あなたの肩の健康を取り戻すお手伝いができれば幸いです。
5.引用文献
- Yamaguchi K, et al. The clinical presentation of symptomatic rotator cuff tears: a prospective study of 223 patients. J Bone Joint Surg Am. 2006;88(9):1949-57.
- Gwilym SE, et al. The prevalence of sleep disturbance in patients with symptomatic rotator cuff tears. J Bone Joint Surg Am. 2009;91(7):1641-6.
- Green S, et al. A systematic review of the diagnostic accuracy of clinical tests for subacromial impingement syndrome. J Orthop Sports Phys Ther. 2008;38(11):677-91.
- Jain NB, et al. Clinical examination of the rotator cuff. PM R. 2013;5(1):45-56.
- Teunis T, et al. A systematic review and pooled analysis of the prevalence of rotator cuff disease with increasing age. J Shoulder Elbow Surg. 2014;23(12):1913-21.
