「夜、肩がズキズキする」それ四十肩かも?|整形外科専門医が受診目安を解説|明石市
掲載日:2026.03.02(最終更新日:2026.03.02)

夜、静かな寝室でウトウト…と思ったら、肩にズキッ!とした激痛が走る⚡
そんな経験はありませんか?
「最近、腕が上がりにくくなったな…」
「寝返りを打つたびに肩が痛くて目が覚める…」
もし、あなたがこのような症状に悩まされているなら、それは四十肩(五十肩)かもしれません。
今回は、多くの人を悩ませる「夜間の肩の痛み」、特に四十肩について、整形外科専門医が最新の研究結果を交えながら徹底解説していきます。
1.そもそも四十肩って何?
2.なぜ?夜間に肩がズキズキ痛む3つの理由
3.四十肩:3つの病期
4.四十肩になりやすい人の特徴
5.四十肩Q&A
6.どんな治療をするの?
7.まとめ
そもそも四十肩って何?

「四十肩」という言葉、よく耳にしますよね。実はこれ、医学的な正式名称ではありません。一般的に40代で発症することが多いことから、そう呼ばれている俗称なんです。
医学的には「癒着性関節包炎(ゆちゃくせいかんせつほうえん)」または「凍結肩(とうけつかた)」と呼ばれます[1]。
肩の関節は、「関節包(かんせつほう)」という袋状の膜で覆われています。この関節包が何らかの原因で炎症を起こし、厚く硬くなってしまうことで、肩の動きが悪くなったり(拘縮)、痛みが生じたりするのです。
ポイント💡四十肩は呼び方が違うだけで、基本的には同じ病気です。
発症した年齢によって呼び分けられているだけなんですね。
なぜ?夜間に肩がズキズキ痛む3つの理由

「昼間はそうでもないのに、夜になると痛みが強くなる…」
というのは、四十肩の典型的な症状の一つです。
なぜ夜間に痛みが増すのでしょうか?それにはいくつかの理由が考えられます。
1. 炎症物質の蓄積🔥
夜間、特に寝ている間は体を動かすことが少なくなります。
そのため、日中に活動して肩に溜まった炎症を引き起こす物質(サイトカインなど)が関節内に滞留しやすくなります。これが、夜間に痛みを強く感じさせる一因と考えられています[2]。
2. 血行の悪化🥶
睡眠中は心拍数や血圧が下がり、全身の血行が穏やかになります。
肩周りの筋肉もリラックスしますが、逆に血行が悪くなることで、筋肉が硬直しやすくなったり、痛みの原因物質が排出されにくくなったりします。
3. 肩への圧迫と寝返り🛌
寝ている間、無意識のうちに痛い方の肩を下にして寝てしまうと、体重で関節が圧迫されて痛みが誘発されます。
また、寝返りを打った際に、固くなった関節包やその周りの組織が急に引き伸ばされることで、激痛が走ることもあります[3]。夜間痛は睡眠の質を著しく低下させ、心身ともに大きな負担となります。
あなたの四十肩はどのステージ?3つの病期
四十肩は、一般的に3つのステージを経て進行し、回復に向かうとされています。この経過は数ヶ月から、長い場合は2年以上かかることもあります[4]。
ステージ1:疼痛期(とうつうき)または炎症期【2週〜6ヶ月】
– 症状:とにかく痛みが強い時期。特に夜間痛がひどく、じっとしていてもズキズキ痛むことがあります(安静時痛)。腕を動かせる範囲(可動域)はまだそれほど狭まっていませんが、動かすと激痛が走ります。
– 特徴:炎症が最も強い時期です。この時期に無理に動かすと、かえって炎症を悪化させてしまう可能性があるので注意が必要です。
ステージ2:拘縮期(こうしゅくき)または凍結期【4ヶ月〜12ヶ月】
– 症状:夜間痛や安静時の痛みは少しずつ和らいできますが、肩の動きが非常に悪くなります。「髪をとかす」「服を着替える」「背中に手を回す」といった日常動作が困難になります。
– 特徴:炎症が治まり、関節包が厚く硬くなって癒着が進行する時期。「凍結肩」の名の通り、肩が凍ったように固まってしまいます。
ステージ3:回復期(かいふくき)または融解期【12ヶ月〜24ヶ月以上】
– 症状:痛みはさらに軽減し、固まっていた肩の可動域が少しずつ改善してきます。
– 特徴:硬くなった関節包の柔軟性が徐々に戻ってくる時期。時間はかかりますが、多くの場合は自然に、あるいはリハビリテーションによって回復に向かいます[5]。
要注意!四十肩になりやすい人の特徴
四十肩は誰にでも起こりうる病気ですが、特に以下のような特徴を持つ人は注意が必要です。
– 年齢:40代〜60代の人に最も多く発症します[1]。
– 性別:女性の方が男性よりもやや発症しやすいと報告されています[1]。
– 糖尿病:糖尿病の人は、そうでない人に比べて2〜4倍も四十肩になりやすく、有病率は10〜30%にものぼるという報告があります[6][7]。血糖値が高い状態が続くと、関節包のコラーゲンが変性し、硬くなりやすいことが原因と考えられています。
– 甲状腺の病気:甲状腺機能亢進症や低下症など、甲状腺に持病がある人もリスクが高いとされています[1]。
– 運動不足や長時間の同じ姿勢:デスクワークなどで長時間同じ姿勢を続けていると、肩周りの血行が悪くなり、発症の引き金になることがあります。
– 過去の肩の怪我や手術:肩を骨折したり、手術を受けたりした後に発症することもあります。
👩⚕️整形外科医がお答え!四十肩Q&A
ここで、患者さんからよく聞かれる質問にお答えします。
Q1. 四十肩と五十肩って、本当に同じものなんですか?
A1. はい、基本的には同じ「癒着性関節包炎」という病気です。
40代で発症すれば四十肩、50代で発症すれば五十肩と呼ばれることが多いだけで、医学的な違いはありません。
Q2. なぜ夜になると、あんなに激しく痛むのでしょうか?
A2. 先ほども説明しましたが、主に「炎症物質の滞留」「血行不良」「睡眠中の圧迫」が原因です。
特に炎症が強い疼痛期には、肩関節内でサイトカインという炎症物質が活発になり、これが夜間の激しい痛みを引き起こすと考えられています[2][8]。
Q3. 四十肩は放っておいても治りますか?どのくらいかかりますか?
A3. 「自然に治る」という説もありますが、必ずしも全員が完全に元通りになるわけではありません。
適切な治療を受けないと、痛みが長引いたり、肩の動きが悪いまま固まってしまったり(可動域制限)することがあります。
回復までの期間は個人差が非常に大きいですが、一般的には1年半〜2年程度かかると言われています[4]。中にはそれ以上かかる人もいます。
Q4. どんな症状があったら整形外科に行くべきですか?
A4. 以下の項目に一つでも当てはまる場合は、早めに整形外科を受診することをおすすめします。
✅ 夜、肩の痛みで目が覚める
✅ じっとしていても肩が痛む
✅ 腕を上げたり、後ろに回したりするのが難しい
✅ 服の着替えや髪を洗う動作が辛い
✅ 痛みが2週間以上続いている
特に、四十肩と似た症状を示す他の病気(腱板断裂、石灰沈着性腱板炎など)の可能性もあるため、自己判断せずに専門医の診断を受けることが重要です。
Q5. 痛い時に自分でできる応急処置はありますか?
A5. 痛みが強い「疼痛期」には、無理に動かしたり温めたりすると逆効果になることがあります。
この時期は、冷たいタオルや保冷剤などで15分ほど冷やす(アイシング)のがおすすめです。
また、寝る時に痛い方の腕の下にクッションや丸めたバスタオルを挟んで、肩を少し高くしてあげると楽になることがあります。

🏥整形外科ではどんな治療をするの?

整形外科では、主に以下のような治療を組み合わせて行います。
– 薬物療法:痛みや炎症を抑えるための飲み薬(非ステロイド性抗炎症薬:NSAIDs)や湿布薬を処方します。
– 注射療法:痛みが非常に強い場合、関節内にステロイドやヒアルロン酸を注射することがあります。特にステロイド注射は、強い炎症を抑えるのに非常に効果的です[9]。
– リハビリテーション(理学療法):四十肩治療の要です!理学療法士の指導のもと、固まった関節を少しずつ動かす運動(可動域訓練)や、肩周りの筋肉を鍛える運動を行います。痛みの時期に合わせて適切な運動を行うことが、回復への近道です。
– 手術療法:これらの保存的な治療を長期間(半年〜1年)続けても改善が見られない難治性の場合は、手術を検討することもあります。「関節鏡視下関節包切離術(かんせつきょうしかかんせつほうせつりじゅつ)」という、内視鏡を使った低侵襲な手術で、硬くなった関節包を切り開いて動きを改善させます。
まとめ

夜間のつらい肩の痛み、四十肩について解説してきましたが、いかがでしたか?
– ✅ 四十肩は関節包の炎症と拘縮が原因
– ✅ 夜間痛は炎症・血行不良・圧迫が関係
– ✅ 疼痛期・拘縮期・回復期の3つのステージがある
– ✅ 糖尿病などの持病はリスクを高める
– ✅ 痛みが続く場合は自己判断せず整形外科へ
四十肩は非常につらい病気ですが、適切な時期に適切な治療を開始することで、痛みや可動域制限を最小限に抑え、回復を早めることが可能です。
「そのうち治るだろう」と我慢せず、「肩の痛み」でお困りの方はいつでもご相談ください。
引用文献
- Li D, St Angelo JM, Taqi M. Adhesive Capsulitis (Frozen Shoulder). In: StatPearls [Internet]. Treasure Island (FL): StatPearls Publishing; 2025 Jan. Available from:
- Mulligan EP, Brunette M, Shirley Z, et al. Sleep quality and nocturnal pain in patients with shoulder disorders. J Shoulder Elbow Surg. 2015;24(8 ):1252-1258.
- Çağlar-Yağcı H, Gençer-Atalay K, Kaplan E, et al. Nocturnal pain in adhesive capsulitis and subacromial ımpingement syndrome. International Journal of Health Sciences and Research. 2023;13(1):1-7.
- Reeves B. The natural history of the frozen shoulder syndrome. Scand J Rheumatol. 1975;4(4):193-196.
- Millar NL, Meakins A, Struyf F, et al. Frozen shoulder. Nat Rev Dis Primers. 2022;8(1):59.
- Dyer BP, Rathod-Mistry T, Burton C, et al. Diabetes as a risk factor for the onset of frozen shoulder: a systematic review and meta-analysis. BMJ Open. 2023;13(1):e062377.
- Sun G, Li Q, Yin Y, et al. Risk factors and predictive models for frozen shoulder. Sci Rep. 2024;14(1):15349.
- 赤羽根良和, 永田敏貢, 齊藤正佳, 篠田光俊. 夜間痛を合併した肩関節周囲炎の臨床的特徴. 理学療法学. 2017;44(2):105-111.
- 河合伸昭, 菅谷啓之, 高橋憲正, 他. 夜間痛を伴う一次性肩関節拘縮に対する注射療法の効果. 肩関節. 2011;35(3):903-906.
