肩腱板断裂の治療は手術だけ?|診察して分かった保存療法と手術の判断軸を専門医が解説|明石市
掲載日:2026.02.26(最終更新日:2026.02.26)
「最近、肩が痛くて腕が上がらない…」
「夜中にズキズキ痛んで目が覚めてしまう…」
そんなつらい肩の痛みに悩んでいませんか?もしかしたら、その症状は肩腱板断裂(かたけんばんだんれつ)が原因かもしれません。😱
今回は、多くの人が悩む「肩腱板断裂」について、どこよりも分かりやすく、そして詳しく解説していきます。この記事を読めば、
– ✅ 肩腱板断裂がどんな病気なのか
– ✅ どんな症状があったら注意すべきか
– ✅ 病院ではどんな診察をするのか
– ✅ そして、一番気になる「治療は手術しかないの?」という疑問
について、スッキリ解決できますよ!
専門的な内容も、中学生でも理解できるように噛み砕いて説明しますので、ぜひ最後までお付き合いくださいね。💪
1.肩腱板断裂ってなんだろう?
2.肩腱板断裂のサイン
3.診察では何をするの?
4.保存療法と手術の判断軸
5.保存療法と手術、結局どっちがいいの?
6.まとめ
🤔 肩腱板断裂ってなんだろう?

私たちの肩の関節は、実はとても不安定な構造をしています。
腕の骨(上腕骨)の丸い先端が、肩甲骨の浅いお皿(関節窩)に乗っているだけのイメージです。
この不安定な関節を安定させ、スムーズに動かすために重要な役割を果たしているのが腱板です。
腱板は、肩甲骨から始まって上腕骨の先端を覆うように付着している、4つの筋肉(棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋)の腱が集まってできた板のような組織です。
ちょうど、腕の骨をがっちり掴んで肩のお皿に引きつけてくれているイメージです。[1]

肩腱板断裂とは、この腱板が何らかの原因で切れてしまった状態を指します。
完全にプツリと切れてしまう「完全断裂(全層性断裂)」と、腱の一部が傷ついたり部分的に切れたりする「部分断裂(不全断裂)」があります。
主な原因は2つ!
腱板が切れてしまう原因は、大きく分けて加齢による変化と外傷(ケガ)の2つです。
年齢を重ねると腱板も少しずつ脆くなり、特別なきっかけがなくても切れてしまうことがあります。
複数の研究を分析した報告によると、無症状の人も含めた腱板の異常は年齢とともに増加し、60代では25%以上、80代では50%以上に見られるとされています。[2]
知らない間に切れている、なんてことも珍しくないのです。
一方、転倒して手をついたり、スポーツで肩をひねったりした外傷が原因となることも多く、特に若い世代ではこちらが主な原因です。
✅ もしかして私も?肩腱板断裂のサインを見逃さないで!

「ただの肩こりかな?」と思っていても、実は腱板断裂のサインが隠れているかもしれません。以下のチェックリストで、ご自身の症状を確認してみましょう。
✅ 夜、肩が痛くて眠れない、または痛みで目が覚める(夜間痛) 👈 特に特徴的な症状です!
✅ 腕を上げたり下ろしたりする途中で「ズキッ」と痛みが走る、または引っかかる感じがする
✅ 腕を上げようとしても力が入らない、重だるく感じる
✅ 洗濯物を干すなど、腕を上げたままの姿勢が辛い
✅ 肩を動かすと「ゴリゴリ」といった音がする
✅ 背中に手を回す動作(帯を結ぶなど)がしにくい
一つでも当てはまる、特に夜間痛がある場合は、自己判断せずに整形外科の専門医に相談することをおすすめします。五十肩(肩関節周囲炎)と症状が似ているため間違われやすいのですが、治療法が異なるため正確な診断がとても重要です。[3]
🩺 診察では何をするの?専門医の診断方法をのぞいてみよう!

肩腱板断裂の診断は、主に問診・身体所見・画像検査の3ステップで進められます。
まず問診では、いつから・どんな時に痛むか、ケガの経験はあるかなどを医師が丁寧にお聞きします。次に身体所見では、医師が実際に肩を動かして、どの角度や動きで痛みが出るか、腕の筋力がどのくらいかなどを確認します。
そして、腱板断裂が疑われた場合に行う画像検査が、診断の決め手となります。
| 検査の種類 | 特徴 |
|---|---|
| 超音波(エコー)検査 | 体に負担がなく、リアルタイムで腱の動きを確認できる。完全断裂の診断においてはMRIに匹敵する精度を持つと報告されている。[4] |
| MRI検査 | 断裂の大きさ・腱の質・筋萎縮など、治療方針を決めるための最も多くの情報が得られる。非常に精度が高い検査。[5] |
| レントゲン(X線)検査 | 腱板そのものは写らないが、骨の形や骨棘(トゲのような骨の変化)を確認するために撮影する。 |
これらの検査結果を総合的に判断して、最終的な診断が下されます。
💊 【本題】治療は手術だけじゃない!保存療法と手術の判断軸
肩腱板断裂と診断されたら、誰もが「手術しなきゃいけないの?」と不安になりますよね。
でも、安心してください。治療の選択肢は、手術だけではありません。
治療法は大きく「保存療法」と「手術療法」の2つに分けられます。
どちらを選択するかは、年齢・活動レベル・断裂の大きさ・症状の強さなどを総合的に考慮して、医師と相談しながら決めていきます。
🌿 保存療法:手術をしない治療法

保存療法は、手術をせずに痛みや機能の改善を目指す治療法です。
断裂が比較的小さい方、ご高齢の方、あまり活動的でない方、手術を希望されない方などが主な対象となります。
【重要ポイント】
保存療法の目的は、切れた腱板を元通りにくっつけることではありません。一度切れた腱板が自然にくっつくことは残念ながらほとんどありません。保存療法のゴールは、残っている腱板の機能や周りの筋肉を鍛えることで、切れた部分の働きをカバーし、痛みなく日常生活を送れるようにすることなのです。[6]
具体的には、急性期は安静と薬物療法(鎮痛剤・注射)で痛みをコントロールし、痛みが落ち着いてきたらリハビリテーションが治療の中心となります。
理学療法士の指導のもと、固まった関節の動きを広げる訓練や、肩周りのインナーマッスルを強化するトレーニング(振り子運動・チューブトレーニングなど)を行います。
Q. 保存療法はどのくらい続ければ効果が出ますか?
A. 個人差はありますが、一般的に3ヶ月〜半年ほどリハビリを続けると、多くの方で痛みが和らぎ日常生活に支障がなくなってきます。
「3ヶ月」が一つの目安となり、この時点で改善が見られない場合は手術療法を検討することもあります。[7]
🛠️ 手術療法:切れた腱を修復する治療法

保存療法で十分な改善が見られない場合や、比較的若い方、仕事やスポーツで肩をよく使う活動的な方、断裂が大きい方などは、手術療法が検討されます。
現在の手術の主流は「関節鏡視下腱板修復術」です。
肩に5mmほどの小さな穴を数カ所開け、そこから関節鏡(カメラ)や専用の手術器具を挿入し、モニターを見ながら切れた腱板を縫い合わせる方法です。
傷が小さく体への負担が少ないのが大きなメリットです。[8]
Q. 手術後の入院やリハビリはどのくらいかかりますか?
A. A. 入院期間は数日から1週間程度が一般的です。
手術後は3〜6週間ほど装具で肩を固定し、リハビリは手術翌日から始まります。
デスクワークなら比較的早く復帰できますが、力仕事やスポーツへの完全復帰には半年程度かかるのが一般的です。
👀 論文から見る!保存療法と手術、結局どっちがいいの?

「結局、どっちの治療法がいいの?」これは誰もが思う疑問ですよね。
この点について、近年の研究は非常に興味深い結果を示しています。
2021年に発表されたメタアナリシス(複数の信頼できる研究を統合・分析した論文)によると、「肩腱板断裂の治療において、手術が保存療法よりも優れているという説得力のあるエビデンス(科学的根拠)は不足している」と報告されています。[7]
具体的には、手術グループと保存療法グループを比較したところ、1年後の時点では手術グループの方が肩の機能スコアや痛みのスコアがわずかに良い結果でしたが、その差は「患者さんが実感できる最小の改善」には達していませんでした。
そして2年後には、両グループの機能スコアに統計的な有意差はなくなっていました。
つまり、「短期的には手術の方が少しだけ結果が良いかもしれないけれど、長い目で見れば最終的な着地点はあまり変わらない」という可能性が示唆されているのです。
もちろん、これはあくまで一般的なデータです。若い方や活動性の高い方、断裂が大きい場合には手術がより良い選択となることもあります。
大切なのは、最新の知見も踏まえつつ、ご自身のライフスタイルや希望を専門医とよく話し合い、自分にとって最適な治療法を一緒に見つけていくことです。
まとめ:つらい肩の痛み、あきらめないで!😊

今回は「肩腱板断裂」について、原因から診断、治療法の判断軸までを解説しました。
✅ 肩腱板断裂は、肩を安定させる腱の板が切れてしまう病気
✅ 原因は加齢やケガで、夜間痛が特徴的なサイン
✅ 診断は問診・身体所見・超音波やMRI検査で正確に行われる
✅ 治療には、リハビリが中心の**「保存療法」と、切れた腱を縫い合わせる「手術療法」**がある
✅ どちらを選ぶかは、年齢・活動性・断裂の大きさなどを総合的に判断する
✅ 最新の研究では、保存療法と手術療法の長期的な成績に大きな差はないことも報告されている
つらい肩の痛みがあっても、適切な診断と治療を受ければ改善できます。
「年のせいだから…」と自己判断であきらめたり、マッサージだけで済ませたりせず、まずは整形外科の専門医に相談することが大切です。
明石市の中山クリニックでは整形外科専門医が在籍しております!
ぜひご相談ください!
引用文献
- Tashjian RZ. Epidemiology, natural history, and indications for treatment of rotator cuff tears. Clin Sports Med. 2012 Oct;31(4):589-604. doi: 10.1016/j.csm.2012.07.001.
- Teunis T, Lubberts B, Reilly BT, Ring D. A systematic review and pooled analysis of the prevalence of rotator cuff disease with increasing age. J Shoulder Elbow Surg. 2014 Dec;23(12):1913-21. doi: 10.1016/j.jse.2014.08.001.
- Jain NB, Luz J, Higgins LD, Dong Y, Warner JJ, Matzkin E, Katz JN. The Diagnostic Accuracy of Special Tests for Rotator Cuff Tear: The ROW Cohort Study. Am J Phys Med Rehabil. 2017 Mar;96(3):176-183. doi: 10.1097/PHM.0000000000000566.
- Arnold MJ, Jonas CE, Carter RE. Point-of-Care Ultrasonography. Am Fam Physician. 2020 Mar 1;101(5):275-285.
- Liu F, Cheng X, Dong J, Zhou D, Han S, Yang Y. Comparison of MRI and MRA for the diagnosis of rotator cuff tears: A meta-analysis. Medicine (Baltimore). 2020 Mar;99(12):e19579. doi: 10.1097/MD.0000000000019579.
- Longo UG, Risi Ambrogioni L, Berton A, Candela V, Guglielmelli E, Denaro V. Physical therapy and precision rehabilitation in shoulder rotator cuff disease. Int Orthop. 2020 May;44(5):893-903. doi: 10.1007/s00264-020-04511-2.
- Longo UG, Risi Ambrogioni L, Candela V, Berton A, Carnevale A, Schena E, Denaro V. Conservative versus surgical management for patients with rotator cuff tears: a systematic review and META-analysis. BMC Musculoskelet Disord. 2021 Jan 8;22(1):50. doi: 10.1186/s12891-020-03872-4.
- Di Benedetto P, Mancuso F, Tosolini L, Buttironi MM, Beltrame A, Causero A. Treatment options for massive rotator cuff tears: a narrative review. Acta Biomed. 2021 Jul 26;92(S3):e2021026. doi: 10.23750/abm.v92iS3.11766.
