膝の裏が痛い原因は?放置してはいけない危険サイン
掲載日:2025.10.26(最終更新日:2025.10.27)

「なんだか膝の裏が痛い…」
日常生活でふと感じるその痛み、単なる疲れだと思っていませんか?🤔
実は、その痛みの裏には、見過ごしてはいけない病気のサインが隠れているかもしれません。
膝の健康は「人生100年時代」を元気に歩むための大切な資本です。
今回は、膝の裏が痛い原因と、放置すると怖い危険なサインについて、わかりやすく最新の医学的知見を交えながら、徹底的に解説していきます!🚶♂️🦵
1.✅ あなたの膝裏の痛み、どのタイプ?原因セルフチェック!
2.❓ Q&Aでスッキリ解決!膝の裏の痛み、どうすればいい?
3.⚠️ 放置は危険!すぐに病院へ行くべきサイン
4.まとめ:その痛み、未来への警告かもしれません
5.引用文献
✅ あなたの膝裏の痛み、どのタイプ?原因セルフチェック!

まずは、あなたの膝の裏の痛みがどこから来ているのか、一緒に探っていきましょう。
主な原因は6つあります。
① 膝の裏に水が溜まる(ベーカー嚢腫)💧

膝の裏がポコっと腫れて、まるでゴムボールのような感触はありませんか?
これは「ベーカー嚢腫(のうしゅ)」かもしれません。膝の関節をスムーズに動かすための「関節液」という液体が過剰に作られ、膝の裏側にある袋(関節包)から、ぷくーっと飛び出してしまった状態です[1]。
小さなうちは痛みを感じないことも多いですが、大きくなると…
😥 膝が曲げにくい
😥 正座ができない
😥 階段の昇り降りがつらい
といった症状が現れます。
主な原因は、加齢などによって膝の軟骨がすり減る「変形性膝関節症」です[2]。
関節リウマチが原因で水が溜まることもあります。
② 筋肉や腱の炎症 🏃♀️💥

「最近、ウォーキングや筋トレを頑張りすぎたかも…」
そんなあなたに多いのが、筋肉や腱の炎症です。
膝の裏には、太ももの裏側にある「ハムストリングス」や、膝を安定させる「膝窩筋(しっかきん)」といった大切な筋肉や腱が集まっています。
急な運動や、同じ動きの繰り返しによってこれらの筋肉や腱に負担がかかると、炎症を起こして「膝の裏が痛い」と感じるのです[5]。特に、ダッシュやジャンプ、激しいダンスなどは要注意です。
③ 関節そのものの炎症 🔥

膝の関節内部で「火事」が起きている状態、それが関節の炎症です。
関節を包む「滑膜(かつまく)」という組織が炎症を起こす「滑膜炎」になると、膝の裏が腫れたように感じ、痛みが出ます[4]。
外来の診察で意外と多いのが、関節にカルシウムの結晶が沈着して激しい痛みを引き起こす「偽痛風(ぎつうふう)」です。尿酸ナトリウムが沈着する痛風や関節リウマチでも同様の症状が起こることがあります。
④ 関節軟骨のすり減りや損傷 🦴

膝関節は、太ももの骨(大腿骨)とすねの骨(脛骨)をつなぐ大切な部分。
その骨の表面を覆い、クッションの役割を果たしているのが「関節軟骨」です。
この軟骨がすり減ったり、何かの拍子に剥がれてしまったりすると、骨同士が直接こすれ合い、強い痛みや炎症を引き起こします。剥がれた軟骨のかけら(関節ねずみ、または遊離体)が関節の間にはまり込むと、急に膝が動かなくなる「ロッキング」という現象が起きることもあり、非常に危険です[6]。
⑤ 半月板や靭帯の損傷 🤕
膝内側の骨髄浮腫 |
内側半月板後根損傷 |
膝の安定性を保つために重要な役割を果たしているのが、C型をした軟骨組織「半月板」と、骨と骨をつなぐ強靭な「靭帯」です。
スポーツや転倒などで膝をひねると、これらの組織が損傷し、「膝の裏が痛い」と感じることがあります。
特に、半月板の後ろ側(後根)が断裂すると、「ブチッ」という音とともに激痛が走り、急激に膝の状態が悪化することがあります。
これを見逃すと、骨が壊死(えし)してしまい、歩行が困難になるほどの痛みに発展する可能性も。
とても怖い損傷です。
また、バイクや自転車での転倒、スポーツ中の転倒などで膝を曲げたまま強い衝撃を受けると、膝の安定を司る「後十字靭帯」が断裂し、膝の裏に強い痛みが出ます[3]。

黒い後十字靭帯が断裂して消失し白くなっている
⑥ 実は見落とされがちな骨折 🦴

「骨折したら歩けないでしょ?」と思うかもしれませんが、実はそうとも限りません。
大きな骨折はすぐにわかりますが、小さな骨折、特に後十字靭帯が付着している部分が剥がれる「裂離骨折(れつりこっせつ)」は、レントゲンでも見落とされることがあるのです。
膝を曲げたまま転倒した際に起こりやすく、歩いてクリニックに来られる方も少なくありません。
❓ Q&Aでスッキリ解決!膝の裏の痛み、どうすればいい?

Q1. 膝の裏が痛い…まず何をすればいい?
A1: まずは安静にすることが第一です。無理に動かすと悪化する可能性があります。そして、痛む部分を冷やしましょう。
氷嚢や保冷剤をタオルで包み、15〜20分程度当てるのが効果的です。
ただし、痛みが強かったり、腫れがひどかったりする場合は、自己判断せず、すぐに整形外科医の診察を受けてください。
Q2. 病院ではどんな検査をするの?
A2: 痛みの原因を正確に突き止めるために、いくつかの検査を行います。
👉 レントゲン検査: 骨の形や変形、骨折の有無を確認します。
👉 CT検査: レントゲンでは見つけにくい、小さな骨折などを詳しく見ることができます。
👉 エコー(超音波)検査: 膝に水が溜まっているか(ベーカー嚢腫)、筋肉や腱の状態などをリアルタイムで確認できます。
👉 MRI検査: 軟骨や半月板、靭帯といった、レントゲンには映らない組織の状態を詳しく調べるのに非常に有効です。

これらの検査を組み合わせることで、あなたの「膝の裏が痛い」原因を正確に診断し、最適な治療法を見つけていきます。
😊「文章だけじゃイメージが湧きにくい…」という方のために
詳しい解説動画はコチラ➡▶️【膝裏の痛み】ひざの裏が痛くなる原因と治し方を整形外科医が徹底解説!
⚠️ 放置は危険!すぐに病院へ行くべきサイン

以下の症状が一つでも当てはまる場合は、危険なサインかもしれません。放置せず、できるだけ早く整形外科を受診してください。
✅ 転んだり、ひねったりした後から急に膝の裏が痛くなった
✅ 「ブチッ」という断裂音がした
✅ 膝が腫れて、熱を持っている
✅ 膝が完全に曲がらない、または伸びない
✅ 歩けないほどの激しい痛みがある
✅ 膝がガクガクする、不安定な感じがする
これらの症状は、半月板損傷や靭帯断裂、骨折など、緊急性の高い状態を示唆している可能性があります。
早期発見・早期治療が、あなたの膝の未来を守る鍵です!🏥👨⚕️
まとめ:その痛み、未来への警告かもしれません

いかがでしたか?
「膝の裏が痛い」という一つの症状にも、様々な原因が隠れていることがお分かりいただけたかと思います。
大切なのは、「年のせい」「ただの疲れ」と自己判断せず、体のサインに耳を傾けること。そして、不安な症状があれば、勇気を出して専門医に相談することです。
最近では、すり減ってしまった軟骨を再生させる「再生医療」など、治療の選択肢も増えています。
「もう手術しかないと言われた…」
「この痛みと一生付き合っていくしかないの?」
そんなお悩みをお持ちの方へ。
当院では、ご自身の細胞を使って膝の組織の修復を促す「再生医療」に力を入れています。
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引用文献
- English S, Perret D. Posterior knee pain. Curr Rev Musculoskelet Med. 2010 Jun 12;3(1-4):3-10.
- Abate M, Di Carlo L, Di Iorio A, Salini V. Baker’s Cyst with Knee Osteoarthritis: Clinical and Therapeutic Implications. Med Princ Pract. 2021 Aug 2;30(6):585-91.
- .Katsman A, Strauss EJ, Campbell KA, Alaia MJ. Posterior Cruciate Ligament Avulsion Fractures. Curr Rev Musculoskelet Med. 2018 Jun 4;11(3):503-509.
- Atukorala I, Kwoh CK, Guermazi A, Roemer FW, Boudreau RM, Hannon MJ, Hunter DJ. Synovitis in knee osteoarthritis: a precursor of disease? Ann Rheum Dis. 2014 Dec 8;75(2):390-395.
- Davalos EA, Barank D, Varma RK. Two cases of chronic knee pain caused by unusual injuries to the popliteus tendon. Joints. 2016 Jun 13;4(1):62-64.
- Moyad TF. Cartilage Injuries in the Adult Knee: Evaluation and Management. Cartilage. 2011 Jul;2(3):226-236.
膝内側の骨髄浮腫
内側半月板後根損傷