シナモンコーヒーって体にいいの?科学的な根拠と適切な摂り方
掲載日:2025.06.05(最終更新日:2025.06.05)
最近、カフェメニューなどで見かけることも増えた「シナモンコーヒー」。
その香りの良さに加えて、「体に良い」という話を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
今回は医学的根拠のあるデータに基づき、シナモンコーヒーの健康効果について、わかりやすく解説します。
1.体のサビや炎症から守ってくれる働きがあります
2.体重管理や体の調子を整える効果も期待できます
3.脳の働きをサポートしたり、咳を和らげたりする可能性も
4.どのくらい摂ればいいの?どんなシナモンを選べばいいの?
5.注意が必要な人
6.まとめ
1. 体のサビや炎症から守ってくれる働きがあります
私たちの体は、毎日「サビ」や「炎症(腫れや痛み)」といったダメージを受けています。これは、車が錆びたり、転んだ時に膝が腫れたりするのと似ています。
コーヒー(クロロゲン酸)にもシナモン(シナムアルデヒド)にも、それぞれ体のサビを防ぐ成分が入っています。そして、この2つを一緒に飲むと、サビを防ぐ力がさらに強くなることが、実験室での研究でわかりました。コーヒーの良い成分とシナモンの良い成分が協力し合って、体を守る力が1.8倍も長持ちすることが報告されています[1]。
また、体の中の悪い炎症(無駄な腫れや痛み)を抑える働きもあり、シナモンとコーヒーを一緒に摂ると、炎症を起こす悪い物質を減らしてくれることもわかっています[1]。
2. 体重管理や体の調子を整える効果も期待できます
シナモンは、体重をコントロールしたり、体の調子を整えたりするのにも役立つ可能性があります。1日に小さじ1杯強(3g)以上のシナモンを摂ると、肥満度を表す数値(BMI)が平均で0.45kg/m²減少したという報告があります[5]。
シナモンだけでも、以下のような良い効果があることがわかっています[2,4]:
●血糖値を下げる(平均24.6mg/dl)
●悪玉コレステロールを減らす(平均29.3 mg/dL減少)
●中性脂肪を減らす(平均23.91 mg/dL減少)
1日3gのシナモンを約3ヶ月摂取すれば効果が現れると報告されています[4]。生活習慣病の改善にシナモンは素晴らしい働きをしますね。
3. 脳の働きをサポートしたり、咳を和らげたりする可能性も
シナモンに含まれる成分が、記憶力や学習能力を良くしたり、アルツハイマー型認知症に関係する物質(タウ蛋白)を抑えたりする可能性を示す研究もあります。
また、コーヒーにはちみつを加えると、長引く咳を和らげるのに役立つという実験結果も報告されています[5]。健康な女性を対象にした研究では、コーヒーにスプーン4杯分のはちみつを加えても、血糖値や血圧に急な変化は見られませんでした。はちみつとシナモン、コーヒーの相乗効果はすごいですね。
4. どのくらい摂ればいいの?どんなシナモンを選べばいいの?
健康効果を期待するなら、研究で効果があった量として「1日に小さじ1杯強(3g)」が目安です[2]。
ただし、気をつけなければいけないことがあります。
シナモンには「クマリン」という成分が含まれていて、特にカシア種のシナモンを大量に長期間摂り続けると、肝臓に負担をかける可能性があることが知られています。クマリンの過剰摂取を避けるために、セイロンシナモンを選ぶことをおすすめします。セイロンシナモンは、香りがマイルドでカシアシナモンに比べて、体に悪影響を与える可能性のある成分がとても少ないのですね。
スリランカで産出されるセイロンシナモンは少し値段が高くなりますが、圧倒的におすすめです。
注意が必要な人
●妊娠中や授乳中の女性
●肝機能が低下している人
●薬物治療(糖尿病治療薬や抗がん剤、抗凝固剤など)
●アレルギー体質
これらの人は、シナモンを摂る前に医師や薬剤師に相談してください。
まとめ
シナモンコーヒーには、以下のような科学的に裏付けられた健康効果が期待できます:
・体のサビや炎症から守る力が強くなる
・体重管理や体の調子を整える
これらの効果を得るためには:
・1日小さじ1杯強(3g)程度のシナモンを継続して摂る
・セイロンシナモンを選ぶ
・適切な量を守る
毎日のコーヒーに少しシナモンを加えて、素敵な香りを楽しみながら健康になる習慣を始めてみませんか?
引用文献
- Samavat S, Manickam P, Alizadeh-Navaei R, Safari-Faramani R, Fatahi S, Faghfoori Z, et al. Modulatory Effects of Combined Cinnamon and Coffee on Antioxidant/Anti-inflammatory Status: In Vitro Evaluation and a Randomized Controlled Trial. Evid Based Complement Alternat Med. 2023 Feb 6;2023:9914695.
- Deyno S, Eneyew K, Seyfe S, Tuyiringire N, Peter EL, Dubale BW, et al. Efficacy and safety of cinnamon in type 2 diabetes mellitus and dyslipidemia: A systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. Public Health Nutr. 2021 Feb 15;24(16):5447-61.
- Pourhashemi SJ, Shariat M, Nazari F, Shirkavand MR. Comparison of the Effect of Honey-Lemon and Honey-Coffee Compounds on Adults with Non-Specific Chronic Cough: A Randomized Clinical Trial. Complement Med Res. 2019;26(5):341-6.
- Oladele JO, Adetuyi BO, Olofinsae GT, Olatunji OS, Bolaji OS, Agbaje I, et al. Therapeutic Potentials of Cinnamon and Its Bioactive Compounds in Metabolic Syndrome and Related Diseases: A Systematic Review. Evid Based Complement Alternat Med. 2022 Feb 16;2022:8804376.
- Hadi A, Pourmasoumi M, Kafeshani M, Sahari Bagheri A, Taheri Rouhi S, Mohammadi H, et al. The effect of cinnamon supplementation on lipid profiles and glycemic parameters: A systematic review and meta-analysis. Complement Ther Med. 2019 Feb;42:273-80.