中山クリニック

変形性膝関節症はこんな人に多い!手術を考えるべき症状、決断の目安まで専門医が詳しく解説

掲載日:2025.05.09(最終更新日:2025.05.09)

膝痛で正座ができない女性

「最近、膝の痛みがひどくて正座ができない」
「階段の上り下りがつらい」
 
そんな悩みをお持ちではありませんか?
 
その痛み、もしかすると「変形性膝関節症」かもしれません。
加齢にともない膝の関節がすり減ることで起こるこの病気は、最初は違和感程度でも、次第に痛みが強くなり、最終的には歩くことすら困難になることもあります。
 
今回は、「どんな人に多いのか」「初期症状チェックリスト」「手術を考える目安は何か」など、変形性膝関節症に関する重要な情報を、整形外科専門医の視点から詳しく解説します。

————目次————
1.変形性膝関節症とは?
2.膝を壊す人に多い5つの特徴!
3.こんな初期症状は要注意チェックリスト
4.手術なしで改善できるのはこんなケース!
5.手術を検討するべき5つの症状
6.膝手術の種類と特徴
7.手術を受けるベストなタイミングとは?
8.まとめ
9.よくある質問(FAQ)

1.変形性膝関節症とは?

KL分類

膝の軟骨がすり減って痛みや動きづらさが出る病気で、40代以降に多く見られます[1]。症状は徐々に進み、次のように「初期」「中期」「末期」に分けられます。

【初期】まだ軽い痛み、違和感が主な症状

長時間歩いたり階段を下りたりしたときに、膝に違和感や軽い痛みを感じます。ただし、休むとすぐ楽になるので、放置してしまうことも少なくありません。この段階で気づいて対策を始めると、進行を遅らせることができます。

【中期】日常生活に支障を感じ始める

階段の昇り降りや立ち座りなどの動作で、痛みが出るようになります。膝が腫れたり、歩くときにギシギシ音がしたりする場合もあります。この段階で適切な治療を受けると、手術を避けられる場合もあります。

【末期】痛みが強く、日常生活が大きく制限される

安静時でも強い痛みが出たり、歩行が困難になったりします。膝の変形が目立ち、O脚やX脚が進行することもあります。こうなると、日常生活に大きな支障が出るため、手術を検討する必要が出てきます。

では、「どんな人が変形性膝関節症になりやすいのか」を見ていきましょう。

2.膝を壊す人に多い5つの特徴!

5つの特徴を説明する医師

変形性膝関節症の発症にはいくつかの要因が存在します。特に以下の5つのリスク因子は、注意が必要です。
 
加齢:年齢を重ねるごとに軟骨の弾力性が失われ、磨耗が進みやすくなります。
性別:女性に多く、特に閉経後はホルモンの影響でリスクが高まります。
肥満:体重が膝にかかる負担を増やし、関節軟骨の摩耗を加速させます。
遺伝的要素:家族に膝の病気を持つ人がいる場合、リスクが高まる可能性があります。
過去の膝の怪我:半月板損傷や靭帯損傷などの既往があると、変形性膝関節症に移行することがあります。

3.こんな初期症状は要注意チェックリスト

チェックリスト

初期段階の症状は軽度であることが多く、見逃されがちです。以下のチェックリストを使って、ご自身の膝の状態を確認してみましょう。
 
✅ 朝起きた時や長時間座った後に膝がこわばる感じがする。
✅ 階段を降りるときや坂道を下るときに膝が痛むことがある。
✅ 歩き始めに膝の動きがぎこちなく感じる。
✅ 膝の曲げ伸ばしをした時にポキポキと音がする。
✅ 膝に違和感があり、何となく動きが悪いと感じる。
✅ 長く歩いた日の夜に膝が腫れたり、熱を持つような感じがある。
✅ しゃがむ動作や正座がしづらくなった。
 
ひとつでも当てはまった方は、変形性膝関節症の初期段階かもしれません。

4.手術なしで改善できるのはこんなケース!

医師説明和やか

変形性膝関節症の初期〜中期の段階では、保存療法が第一選択になります。保存療法とは、手術を行わずに痛みや炎症を抑え、膝の機能を維持するための治療法です。以下のようなケースでは保存療法が有効です。
 
✅ 痛みが軽度から中等度である
✅ 膝の変形が目立たない
✅ 日常生活に大きな支障がない
✅ 患者さんが手術に対して強い不安や抵抗を感じている
 
それでも十分な効果が得られない場合は、次のステップとして手術を考える必要があります。

5.手術を検討するべき5つの症状

膝が痛い5つの場面

変形性膝関節症は進行すると日常生活に深刻な影響を及ぼします。ここでは、手術を考える目安となる5つの主な症状をご紹介します。
 
① 日常生活が著しく困難になる
➤歩くことや階段の昇り降りがつらく、生活の自由度が著しく低下している場合。
 
② 強い痛みが持続している
➤痛み止めや他の保存療法を試しても痛みが改善されず、安静時や睡眠時にも強い痛みを感じる場合
 
③ 膝関節の変形が進んでいる
➤膝が外見からもはっきりと変形し、O脚やX脚の傾向が強くなっている。
 
④ 膝の曲げ伸ばしが困難になる
➤膝の可動域が狭まり、しゃがむ動作や正座などがほぼ不可能になっている。
 
⑤ 膝の不安定感がある
➤歩く際に膝がぐらつき、不安定で転倒の危険性を感じる場合。
 
これらに該当する場合、主治医と相談の上、手術治療を考えてもよいかもしれません。では、手術にはどのような方法があり、それぞれにどんな特徴があるのかをご紹介します。

6.膝手術の種類と特徴

保存療法で効果が見られない、あるいは膝の変形が著しく進行している場合、手術療法が選択肢となります。代表的な手術には以下の2種類があります。
 
① 人工膝関節置換術(TKA:Total Knee Arthroplasty)

TKA手術イラスト

膝関節全体を人工関節に置き換える方法です。変形が進行し、関節全体が損傷しているケースに適応されます。
【特徴】
● 痛みの大幅な軽減が期待できる
● 術後のリハビリにより、日常生活への復帰が可能
● 耐用年数は約15〜20年[3]
● 高齢者に向いている
 
② 高位脛骨骨切り術(HTO:High Tibial Osteotomy)

高位脛骨骨切術

膝の内側に荷重がかかりすぎる「内側型O脚変形」に対して、脛骨の一部を切って角度を変えることで、体重のかかるバランスを修正する手術です。
【特徴】
・関節を温存するので、若年者や活動性の高い人に向いている
・人工関節の前段階として行われることもある
・回復にはリハビリと時間が必要
 
ほかにも、関節鏡を用いたクリーニング手術や部分的な人工関節置換(UKA:Unicompartmental Knee Arthroplasty)などもあります。

7.手術を受けるベストなタイミングとは?

指を指す医師

手術の決断は患者本人の生活スタイル、年齢、活動レベル、症状の重症度などを総合的に考慮して行います。以下は、手術を検討する際の判断基準の一例です。
 
✅ 保存療法を6ヶ月以上継続しても改善が見られない
✅ 痛みのために睡眠が妨げられる
✅ 外出や趣味活動が困難になる
✅ X線画像上、関節の隙間がほとんど消失している
✅ O脚が著明で、歩行バランスが崩れている
 
整形外科医は画像診断だけでなく、生活の質(QOL)への影響も重視します。「痛みを我慢して生活する」のではなく、「痛みなく活動できる」ことが目標です。

8.まとめ

中クリ君

変形性膝関節症は、年齢や生活習慣によって誰にでも起こり得る病気です。初期段階では違和感程度でも、放置すれば進行し、やがては歩行も困難になる恐れがあります。
 
大切なのは、「早期発見」「適切な治療」「生活習慣の見直し」です。保存療法で効果がなければ、無理に我慢せず、痛みを改善し生活の質を高めるために、手術も選択肢に含めて検討した方がよいかもしれません。
 
膝の悩みを放置せず、医師と相談しながら「自分に合った治療法」を見つけましょう。中山クリニックでは、膝の痛みに悩むすべての方へ、保存療法から手術まで一貫したサポートを提供しています。お気軽にご相談ください!

9.よくある質問(FAQ)

医師画像

Q:手術しないで治る方法はありますか?
A:初期〜中期の段階では保存療法で十分改善が期待できます。痛みが強く、生活に支障が出ている場合は、手術の検討が必要です。
 
 
Q:手術を受けたらどのくらいで歩けますか?

A:人工膝関節置換術なら術後翌日から歩行訓練を開始し、通常は2〜3週間で杖歩行が可能となります。
 
 
Q:人工膝関節手術後、いつまで杖が必要ですか?

A:手術前の状態にもよりますが、術後3か月前後は杖の使用が推奨されます。とくに、 人ごみの中に出る時やたくさん歩かなければいけない時は、杖を使用した方が良いでしょう。
 
 
Q:手術後に正座はできますか?

A:基本的に正座は避けるよう指導されますが、一部の患者では徐々にできるようになることもあります。ただし、関節に大きな負担がかかるため推奨はされません。
 
 
Q:人工膝関節手術後、車の運転はできますか?
A:手術後の回復状況や個人差によって異なりますが、一般的には術後1~3ヶ月程度で運転できるようになることが多いです。ただし、必ず主治医の許可を得る必要があります。
 
 
Q:膝の手術をした後の生活の注意点はありますか?

A:原則として、洋式の生活を心がけて頂きます。 テーブルと椅子・ベッド・洋式トイレなど、膝に負担をかけないよう意識しましょう。動きの激しいスポーツをしたり、膝をねじったり、体重がかかったりするような運動は、避けましょう。
 
 
Q:人工関節の耐用年数はどのくらいですか?

A:一般的には15年から20年程度[3]ですが、個人の状態や生活習慣によって変動します。手術技術や材質の進化により、以前よりも長く使える可能性も高まっています。

引用文献

  1. 厚生労働省『変形性膝関節症の病態と治療』厚生労働省 健康局, 2020.
  2. Sniekers YH, Weinans H, Bierma-Zeinstra SM, van Leeuwen JPTM, van Osch GJVM.Animal models for osteoarthritis: the effect of ovariectomy and estrogen treatment – a systematic approach.Osteoarthritis Cartilage. 2008;16(5):533-541.doi:10.1016/j.joca.2008.01.002.
  3. Evans JT, Walker RW, Evans JP, Blom AW, Sayers A, Whitehouse MR. How long does a knee replacement last? A systematic review and meta-analysis of case series and national registry reports with more than 15 years of follow-up. Lancet. 2019;393(10172):655-663.

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