中山クリニック

脳梗塞とは?初期症状と原因を解説|サンド伊達みきおさんの事例

掲載日:2026.09.01(最終更新日:2026.09.01)

【💡この記事の結論】

脳梗塞とは、脳の血管が詰まって血流が途絶え、その先の脳細胞が壊死する病気です。「顔のゆがみ・腕の力が入らない・言葉が出にくい」のいずれかが突然起きたら、迷わず救急車を呼んでください。

【📌3秒でわかる要点】

  • ✅ 脳梗塞の初期症状は「FAST(顔・腕・言葉・時間)」の4項目で判断できます
  • ✅ 血栓を溶かす点滴治療(rt-PA静注療法)は、発症から4.5時間以内が実施の目安です[1]
  • ✅ 脳卒中の発症リスクの約90%は、高血圧をはじめとする10個の危険因子で説明できます[2]
————目次————

1.脳梗塞とは?まず押さえたい定義

2.サンド伊達みきおさんの事例が教えてくれたこと

3.脳梗塞の初期症状「FAST」

4.脳梗塞の原因とリスク因子

5.今日から始められる予防の3ステップ

6.症状が出る前に調べる「脳ドック」という選択肢

7.よくある質問(FAQ)

8.まとめ

脳梗塞とは?まず押さえたい定義


脳梗塞とは、脳の血管が詰まり、血液が届かなくなった脳の一部が死んでしまう病気です。

脳は体重のわずか2%程度しかない臓器ですが、酸素と糖を大量に消費し続けています。そのため血流が止まると、数分単位で神経細胞が失われていきます。「脳梗塞は時間との勝負」と言われるのは、このためです。

脳梗塞・脳出血・くも膜下出血をまとめて「脳卒中(のうそっちゅう)」と呼び、その中で最も多いのが脳梗塞です。厚生労働省の人口動態統計では、脳血管疾患は日本人の死因の第4位に位置しています[3]。命が助かった場合でも、麻痺(まひ)や言語障害といった後遺症が残ることが少なくありません。

つまり脳梗塞とは、「発症前にリスクを減らすこと」と「発症直後に一刻も早く病院へ行くこと」の2つでしか結果を変えられない病気だと言えます。

サンド伊達みきおさんの事例が教えてくれたこと

2026年8月28日、お笑いコンビ「サンドウィッチマン」の伊達みきおさん(51)が脳梗塞と診断され、当面の間休養することが所属事務所から発表されました。事務所の発表では「幸い大事には至らず、現在は入院治療を受けている」と説明されています。

注目したいのは、受診のきっかけです。相方の富澤たけしさんはラジオ番組で、朝に合流した際、伊達さんが「なんかしゃべれねえんだけど」と話したため受診を勧めた、という経緯を明かしています。

この「うまく喋れない」という訴えは、後ほど解説するFASTの「S(Speech)」そのものです。周囲がその違和感を見逃さず、その日のうちに医療機関につながったことが、早期の診断と治療に結びついたと考えられます。

⚠️ なお、報道では生活習慣を心配する声も上がっていますが、特定の個人について発症原因を外部から断定することはできません。ここでは「症状に気づいて即受診する」という一点を、私たちが学ぶべき教訓として受け取るべきでしょう。

実際に脳梗塞で当院を受診された患者さんの経緯については、こちらの動画でご覧いただけます。

脳梗塞の初期症状「FAST」🚨

脳梗塞の症状の最大の特徴は、「突然」起こることです。じわじわ悪化するのではなく、ある瞬間を境に始まります。

✅ F(Face):顔のゆがみ

「イー」と歯を見せたときに、片側の口角だけが上がらない。よだれがこぼれる。

✅ A(Arm):腕の麻痺

両腕を前に伸ばして手のひらを上に向け、目を閉じる。片方だけがすっと下がってくる。

✅ S(Speech):言葉の障害

ろれつが回らない(構音障害)。言葉が出てこない、相手の話が理解できない(失語)。

✅ T(Time):発症時刻を確認して119番

最後に元気だった時刻を必ずメモしてください。この時刻が、治療法を選べるかどうかを左右します。

このほか、片側の手足のしびれ、片方の目が見えない・物が二重に見える、立てないほどのめまい、経験したことのない激しい頭痛なども、脳卒中を疑うサインです。

「様子を見る」が最も危険です


症状が数分〜数十分で消えることがあります。これは一過性脳虚血発作(TIA/いっかせいのうきょけつほっさ)と呼ばれ、治ったのではなく「本格的な脳梗塞の予告」です。TIAの後は数日以内に脳梗塞を起こす危険が高いため、症状が消えても、その日のうちに受診してください[4]

脳梗塞の原因とリスク因子


32カ国を対象とした国際的な症例対照研究(INTERSTROKE)では、脳卒中発症リスクの約90%が10個の危険因子で説明でき、なかでも高血圧の寄与が最も大きいと報告されています[2]

主なリスク因子は次のとおりです。

  • 高血圧 — 最大の危険因子。自覚症状がないまま血管を傷めます
  • 糖尿病・脂質異常症 — 動脈硬化(血管が硬く狭くなること)を進めます
  • 心房細動(しんぼうさいどう) — 心臓にできた血栓が脳へ飛ぶタイプの脳梗塞の原因
  • 喫煙
  • 肥満・運動不足
  • 塩分の過剰摂取 — 汁物を飲み干す習慣は塩分摂取量を大きく押し上げます
  • 睡眠不足・睡眠時無呼吸症候群
  • 過度の飲酒

ここで重要なのは、お酒を飲まない人でも脳梗塞は起こるという点です。高血圧・肥満・喫煙・不整脈は、飲酒とは独立したリスク因子です。「自分は酒を飲まないから大丈夫」という考えは、残念ながら成り立ちません。

今日から始められる予防の3ステップ

✅ ステップ1:家庭で血圧を測る

朝起きて1時間以内、排尿後・朝食前に、座って1〜2分安静にしてから測定します。診察室では正常でも家庭で高い「仮面高血圧」があるため、家庭血圧の記録が最も信頼できる指標です。

✅ ステップ2:塩分を1日6g未満に近づける

麺類の汁を残すだけで1〜3g程度減らせます。まずは「汁を飲み干さない」の一点からで構いません。

✅ ステップ3:週150分の有酸素運動と、いびきのチェック

早歩きを1回30分×週5回が目安です。あわせて、大きないびきや日中の強い眠気がある方は、睡眠時無呼吸症候群の検査もご検討ください。

なお、すでに降圧薬などを処方されている方は、自己判断で中断しないことが何より重要です。生活習慣の改善は薬の代わりにはなりません。

症状が出る前に調べる「脳ドック」という選択肢 🧠


脳梗塞の怖さは、発症してからでは選べる治療が限られてしまう点にあります。だからこそ、症状のない段階でMRIを撮り、隠れ脳梗塞や血管の狭窄(きょうさく)、未破裂脳動脈瘤の有無を確認しておく意味があります。

中山クリニックでは、待ち時間なしの完全予約制で脳ドックを受けていただけます。土曜日の検査にも対応しているため、平日にお休みを取りにくい方でもご利用いただけます。

ただし、脳ドックは将来の発症を予防することを保証する検査ではありません。また、症状のない小さな所見が見つかることで、かえって不安が生じる場合もあります。結果の意味と次に取るべき行動については、必ず医師からご説明します。

脳ドックのご案内

「血圧が高いと言われている」「家族に脳卒中の人がいる」——そんな不安を抱えたままにせず、一度確かめてみませんか。

中山クリニックの脳ドックは完全予約制で、お待たせすることなく検査を受けていただけます。土曜日の検査にも対応しております。検査結果は医師が画像をお見せしながらご説明し、必要に応じて専門医療機関へのご紹介も行います。

脳ドックのご予約はこちらから

よくある質問(FAQ)

Q1. 脳梗塞とはどんな症状が出る病気ですか?

A. 顔のゆがみ、片側の手足の麻痺、言葉が出にくい・ろれつが回らない、といった症状が突然現れます。片方の目が見えない、強いめまい、経験のない頭痛も脳卒中を疑うサインです。じわじわではなく「ある瞬間から」起きるのが特徴です。

Q2. 症状が出てから何時間以内に病院へ行けばいいですか?

A. 血栓を溶かすrt-PA静注療法は、発症から4.5時間以内が実施の目安とされています[1][4]。カテーテルで血栓を回収する治療は原則6時間以内、条件を満たせば最大24時間まで検討されます[4]。迷った時間だけ選択肢が減ります。

Q3. 症状がすぐ治まったのですが、受診は必要ですか?

A. 必要です。数分〜数十分で消える症状は一過性脳虚血発作(TIA)の可能性があり、直後に本格的な脳梗塞を起こす危険が高い状態です[4]。症状が消えても、その日のうちに医療機関を受診してください。

Q4. お酒を飲まなければ脳梗塞にはなりませんか?

A. なります。高血圧・糖尿病・脂質異常症・喫煙・肥満・心房細動は、飲酒とは別に働くリスク因子です[2]。禁酒していても、血圧が高い状態が続けば脳の血管は確実に傷んでいきます。

Q5. 脳ドックは何歳から受けるべきですか?

A. 明確な年齢基準はありませんが、高血圧・糖尿病・喫煙・脳卒中の家族歴のいずれかがある方は、40代からの受診をご検討ください。所見がなくても、以後の血圧管理の目標を立てる材料になります。

Q6. 脳梗塞は再発しますか?

A. 再発しやすい病気です。血圧・血糖・脂質の管理と、処方された抗血栓薬の継続が再発予防の柱になります[4]。自己判断での服薬中止は、再発リスクを高めます。

Q7. 前兆はありますか?

A. TIAが唯一はっきりした前兆です。一方で、肩こりや頭重感を「前兆」と考えるのは誤りで、これらは脳梗塞のサインではありません。頼れる前兆は、突然起きた神経症状だけです。

まとめ

  • 脳梗塞とは、脳の血管が詰まって脳細胞が壊死する病気で、日本人の死因第4位の脳血管疾患の中心を占めます[3]
  • 初期症状は「FAST」— 顔・腕・言葉の異常が突然出たら、時刻を確認して救急車を呼びます
  • 治療の選択肢は時間とともに減り、rt-PA静注療法の目安は4.5時間以内です[1]
  • リスクの中心は高血圧。飲酒の有無にかかわらず対策が必要です[2]
  • 症状が消えても受診する。症状がなければ脳ドックで確認する。この2つが、脳梗塞から身を守る現実的な方法です

脳ドックのご予約はこちらから

執筆者情報

氏名 中山 潤一(なかやま じゅんいち)
資格 医師・医学博士・整形外科専門医
役職 医療法人社団 佳和会 中山クリニック 理事長
所在地 兵庫県明石市
YouTube 中山クリニック公式チャンネル(登録者13万人)
公式HP https://www.akashi-n-clinic.com/

参考文献

  1. Emberson J, Lees KR, Lyden P, et al. Effect of treatment delay, age, and stroke severity on the effects of intravenous thrombolysis with alteplase for acute ischaemic stroke: a meta-analysis of individual patient data from randomised trials. Lancet. 2014;384(9958):1929-1935. DOI: 10.1016/S0140-6736(14)60584-5
  2. O’Donnell MJ, Chin SL, Rangarajan S, et al. Global and regional effects of potentially modifiable risk factors associated with acute stroke in 32 countries (INTERSTROKE): a case-control study. Lancet. 2016;388(10046):761-775. DOI: 10.1016/S0140-6736(16)30506-2
  3. 厚生労働省. 人口動態統計(死因順位). https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/81-1a.html
  4. 日本脳卒中学会 脳卒中ガイドライン委員会 編. 脳卒中治療ガイドライン2021[改訂2023]. 協和企画; 2023.
  5. GBD 2019 Stroke Collaborators. Global, regional, and national burden of stroke and its risk factors, 1990-2019: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2019. Lancet Neurol. 2021;20(10):795-820. DOI: 10.1016/S1474-4422(21)00252-0

再生医療 無料カウンセリング

再生医療に興味のある方に、当院では無料カウンセリングを提供しています。
専門のスタッフが丁寧に説明し、個別相談を通じて最適な治療法をご提案します。
APS療法や脂肪幹細胞移植について詳しくご案内し、ご希望に応じて画像診断の予約も承ります。
初診の患者様でもご利用いただけますので、お気軽にお申し込みください。
再生医療