脂肪由来幹細胞(ASC)療法について(再生医療)
ASC療法とは

ASC療法(脂肪由来幹細胞移植)では、少量の脂肪から幹細胞を採取し、それを体外で増殖させた後に、患部へ注射投与します。この幹細胞は、損傷した膝軟骨の修復および再生に必要な細胞へと分化する能力を持つだけでなく、抗炎症因子を放出して炎症を抑え、痛みを軽減させる効果も期待されます。
本治療は、再生医療等安全性確保法に基づき、厚生労働省に申請書が受理された医療機関においてのみ実施が認められており、当院はその要件を満たしています。
ASC療法の概要
幹細胞とは
幹細胞とは、私たちの体を構成するさまざまな細胞の「もと」となる特別な細胞です。この細胞には、2つの重要な特性があります。
1つ目は「多分化能」で、幹細胞が他の組織に変化する力を指します。脂肪由来幹細胞(ASC)は、骨や軟骨、筋肉、血管などの組織へと分化できると考えられています。
2つ目の特性は「自己複製能」で、自らのコピーを生み出す能力です。ASC療法では、脂肪組織から採取した幹細胞が持つこれらの特性を、損傷部位の修復に活用します。

当院のASC療法(脂肪由来幹細胞移植)
当院では、患者様から採取した脂肪と血液を株式会社セルバンクへ輸送し、同社の再生医療センターで幹細胞を培養します。専用の培養液を用いて、脂肪由来幹細胞を約4週間かけて1億個まで増殖させます。その後、2週間をかけて無菌検査を実施し、当院へ返送されます。返送された幹細胞は、患者様に再度ご来院いただいた際に、関節症の患部などへ注入します。

培養方法の特徴
- 動物血清製品は使用しない
- 人工加工物の入った培養液は使用しない
- 少量の脂肪で多くの細胞が提供可能
ASC療法(脂肪幹細胞移植)に期待できる効果
1.軟骨の再生

再生が難しいとされる軟骨が、増殖・修復されます。幹細胞の分化能や修復を促進する効果により、損傷を受けた軟骨の保護・維持が期待されるだけでなく、白く強固な軟骨(硝子軟骨)が形成される可能性があります[1]。
2.痛みの緩和
幹細胞が炎症を抑えるサイトカインなどを分泌することで、痛みが改善します。他の治療と比較して早期に痛みが軽減し、組織の修復を促進することで、効果が長期間維持されたという報告が学会発表や医学専門誌で多数あります。

3.運動機能の回復
膝の痛みの緩和と軟骨が再生されることで膝関節の可動域や運動機能が改善します。この効果は痛みの緩和と同様、一時的なものではなく、長期間維持されたとの報告があります。
脂肪由来幹細胞(ASC)療法が向いている人
対象となる疾患・部位
脂肪由来幹細胞(ASC)治療は、変形性膝関節症をはじめとする関節疾患に用いられます。膝以外には、股関節、足関節、肩関節、手関節などにおける変形性の関節症に用いられます。
このような方が再生医療を選ばれています
- 現在受けている治療では効果を実感できないが、手術は受けたくない
- 手術に進む前に他の治療を試してみたい
- ひざや足首、股関節が痛くて歩きにくい
- 長年ヒアルロン酸注射を受けているが良くならない
こうしたお悩みをお持ちの場合、脂肪由来幹細胞(ASC)治療による効果が見込める場合があります。当院へ一度ご相談ください。
ASC療法の流れとフォローアップ
脂肪由来幹細胞(ASC)療法
1. 初診および画像診断

再生医療の適応を確認するため、MRIを用いて詳細な画像診断と、感染症の有無を確認するために採血検査を行います。
※脂肪由来幹細胞(ASC)療法についてはB型・C型肝炎ウイルス、梅毒、ヒト免疫不全ウイルスを罹患されている方は実施できません。B型・C型肝炎ウイルスについてはウイルスが非活動状態であれば実施可能です。
2. 説明と同意

画像診断の結果に基づき、医師が適応の可否を含めて詳しくご説明いたします。治療に適応があり医師の説明に同意されたら、治療と脂肪採取のスケジュールを調整します。
3. 血液と脂肪を採取
脂肪採取日に来院していただきます。幹細胞の培養に必要な血液の採取と、局所麻酔下で皮膚を1cmほど切開し皮下脂肪を採取します。採取自体は短時間で終了し、入院の必要はなく日帰りで行えます。

4. 細胞培養

委託先の細胞培養加工施設に採取した脂肪と血液を送り、培養(約4週間)と無菌検査(2週間)を行います。輸送は専用ボックスを使用し温度管理をします。また培養期間中も状況のモニタリングや、感染の検査などを行い厳重に管理されます。
5. 凍結保存

治療プランの細胞数まで培養が終わるといったん-196℃の超低温で凍結保存します。投与日に合わせて解凍し専用ボックスで輸送します。
6. 投与
脂肪採取のおよそ6週間以降に再度ご来院いただきます。 培養した脂肪由来幹細胞(ASC)を患部へと投与します。ヒアルロン酸注射など同様、関節への注射によって完了しますので、投与時も入院の必要はありません。投与当日は当該関節を浴槽につけることはできず、入浴は禁止、シャワーのみ可能です。
※一度解凍された細胞は保存ができないため、予定日に来られない場合は細胞を破棄することになります。
フォローアップ

一般的に1週間~4週間ほどで組織の修復が起こり始め、治療後2週間~6ヶ月までには効果が期待できるとされています。
当院では、早期から治療後は理学療法士がマンツーマンで関節の可動域訓練を開始し、疾患に応じた機能改善を目指します。また、KOOS評価などを用いて治療効果を確認します。
※遠方からお越しの患者様には、近隣の医療機関様へ当院から紹介状を作成いたします。
脂肪由来幹細胞(ASC)療法のメリットとデメリット
脂肪由来幹細胞治療のメリット
- 最新の再生医療であり、これまでの治療に満足できなかった方にも改善効果が期待できる
- 人工関節などの手術を回避、または延期できる可能性がある
- ご自身の体から採取した細胞を使用するため、安全性が高い
- 入院が不要で、採取と投与の2回の外来受診のみで治療が完了する
脂肪由来幹細胞治療のデメリット
- 治療効果が患者様によって個人差がある
- 施術や投与の際に、感染や炎症などの副作用が発生する可能性がある
- 自由診療であるため、治療費は自己負担となる
- 厚生労働省に提供計画が受理された治療ですが、まだ解明されていないメカニズムやリスクが存在する
提供する治療と価格
脂肪幹細胞移植(ASC治療)
脂肪幹細胞移植は、患者様自身の脂肪組織から幹細胞を抽出し、関節内に移植することで軟骨再生を促進する治療法です。当院では以下のプランを提供しています。
0.5億セル移植
価格 | 片膝1回 102万円、両膝1回 160万円 |
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価格 | 片膝3回 175万円、両膝3回 297万円 |
1億セル移植
価格 | 片膝1回 154万円、両膝1回 220万円 |
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APS治療
APS(Autologous Protein Solution)治療は、患者様自身の血液から得られる治癒促進因子を使用した治療法です。炎症を抑え、痛みを軽減し、関節の健康を改善する効果があります。
価格 | 33万円(税込み) |
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PRP治療
PRP(Platelet-Rich Plasma)療法は、患者様自身の血液から抽出した血小板を使用し、自然治癒力を高める治療法です。価格 | 3.3万円(税込み) |
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エクソソーム治療
エクソソーム治療は、細胞から分泌される微小な膜小胞を使用して、炎症を抑え、組織の再生を促進します。エクソソームは、再生医療の新しい分野であり、多くの研究でその有効性が示されています。
価格 | 片膝1回 6万円(税込み) |
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無料カウンセリングのご案内

当院では、再生医療に関する無料カウンセリングを実施しております。専門のスタッフが丁寧にご説明し、ご希望に応じて画像診断のご予約も承ります。
初診の患者様もお気軽にご利用いただけますので、どうぞ安心してお申し込みください。
無料カウンセリングの予約方法
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