股関節の疾患
大腿骨頚部骨折、転子部骨折
頚部内側骨折は、 骨粗鬆症がある場合、 少し脚を捻ったぐらいでも発生します。 例えば、 高齢者が何日か前から足の付け根をがっていたが、急に立てなくなったというケースです。おそらく立てなくなった時、 骨折部で“ズレ”が生じたのではないかと推測されます。 一方外側骨折は、明らかな転倒・転落で発生します。
症状
大腿骨頚部骨折や大腿骨転子部骨折を受傷すると、 歩行能力が損なわれます。手術を行わないともう一度歩けるようになるのが 困難な事例が多く、 ほとんどの場合に手術的治療が必要になります 。
手術療法紹介
骨折の部位や安定性によってプレート+スクリュータイプ、髄内釘+スクリュータイプなどの金具で骨折部の固定が行われます。 ケースによっては人工骨頭挿入術や人工股関節置換術になる場合もあります。
大腿骨頭壊死
大腿骨頭の血のながれがとまり、部分的に骨頭の骨細胞が壊死する病気です。最初は骨頭の形や軟骨は正常で痛みもありませんが、死んだ骨がつぶれると関節が変形し、痛みや歩行障害が発生します。
症状
体重負荷がかかる部分以外に壊死が生じた場合は陥没が生じずそのまま無症状で経過しますが、体重負荷がかかる部位で壊死が生じた場合は骨頭が圧潰する可能性があります。壊死した骨頭が陥没することで痛みが起こり 、 陥没の程度がごくわずかな時期は股関節から殿部の違和感程度の場合があります。
保存療法紹介
体重コントロール、杖の使用、筋力強化訓練を行ったりします。消炎鎮痛剤を使用することもあります。
手術療法紹介
壊死の範囲が小さければ経過観察か骨頭の骨切り術をして壊死のないところで体重を支える手術をしますが、骨頭の破壊が進めば人工股関節が必要になります。
変形性股関節症
関節の軟骨が傷つき、関節のすき間がわずかに狭くなります。股関節以外に、おしり、太もも、ひざが痛む場合もあり、 変形性股関節症 だと気づかないこともあります。
症状
股関節症の主な症状は、関節の痛みと機能障害です。 股関節は鼠径部(脚の付け根)にあるので、最初は立ち上がりや歩き始めに脚の付け根に痛みを感じます。症状が進行すると痛みが増強し、持続痛や夜間痛に なども出現します。
保存療法紹介
減量や薬物療法(痛み止め)、 リハビリテーション下で軽い筋力強化訓練や温熱療法などを行います。 疼痛が強い場合は手術加療も検討されます。
手術療法紹介
関節鏡手術、骨切り術、人工関節手術などがあります。一番多く行われているのが人工の関節に置き換える手術で、進行期股関節症から 末期股関節症が対象となります。