再生医療について
再生医療とは
再生医療は、体の傷んだ組織や臓器を修復して再生させるための新しい医療技術の一つです。この治療法は、患者さん自身の血液や細胞を使用して行われ、傷んだ関節の軟骨と周囲の組織が治りやすい環境にして、修復を促進します。つまり再生医療の目的は、単に痛みを楽にするだけではなく、傷ついた関節の機能を回復させることになります。つまり、再生医療は特にどんどん悪くなる関節の病気や重度の軟骨損傷など、他の保存治療では治らない方、諸事情によって人工関節や骨切り術など手術ができない方にとって、新しい治療の選択肢になります。
再生医療の種類、対象疾患について
再生医療の種類

関節の再生医療には、血液を利用したPRP療法、APS療法や脂肪や滑膜、骨髄を培養して作成する幹細胞治療、などがあります。これらはそれぞれ違う方法で膝の痛みや機能障害を治していきます。アメリカではスポーツ選手を中心にケガを治す一般的な治療法の1つとなっており、幅広い方々を対象に治療されています。 近年、メジャーリーグで活躍する大谷翔平選手が実施したことで、脚光を浴びています。関節以外にも、腱の付着部や筋肉の断裂、骨折の早期治療などにも使用されます。
再生医療の対象疾患
ひざの再生医療は、次のような症状や状態に特に効果があります。
●変形性膝関節症
軟骨の摩耗が進み、痛みや機能障害を引き起こす状態。再生医療は軟骨の一部の再生を助け、痛みを楽にします。
●急性または慢性の軟骨損傷
スポーツ障害や事故による直達外力による損傷。再生医療は損傷した軟骨の修復を進めて、関節の機能を改善します。
●関節リウマチ
自己免疫反応による関節の炎症。特定の再生医療技術は炎症を減らすことで痛みを和らげ、関節の損傷の進行を遅らせることができます。
●靭帯損傷
スポーツ活動や事故、外傷などが原因で靭帯が損傷した状態です。再生医療により自己組織の修復力を高め、靭帯の治癒促進、痛みの軽減、および治療期間の短縮を目指します。
PRP(プレートレットリッチプラズマ)療法とは?

PRPは、日本語で「多血小板血漿(たけっしょうばんけっしょう)」の略で、血液中の血小板を高濃度に含んだ血漿のことを指します。血漿の中には、壊れた細胞を直す働きの他にも組織を修復・活性化させる働きもあり、PRP療法はこの作用を利用して、人体の修復反応を再活性化・促進させ、「治る力」を最大限に引き出す治療法です。
次世代PRP、APS療法とは?
APS療法とは、良いたんぱく質と軟骨の健康を守る成長因子を高濃度抽出したものです。 APSは血液からのPRP(多血小板血漿:Platelet-Rich Plasma)を分離し特別な加工を加えることで、ひざ関節症の治療に有効な成分を高濃度に抽出するため、次世代PRPと呼ばれています。 APS療法はご自身の血液から抽出したAPSを膝関節に注射するだけなので、ひざを切開する必要はなく来院当日に治療が可能です。
※股関節や肩関節、足関節、肘関節などにも適応があります。


PRP療法には、2種類あります。
関節内PRP (次世代PRP・ APS) |
対象疾患:変形性ひざ関節症、半月版損傷 等の関節内の治療 |
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関節外PRP (GPSⅢ) |
対象疾患:上腕骨外側上顆炎(テニス肘)、上腕骨内側上顆炎(ゴルフ肘)、 膝蓋腱炎、内側側副靭帯損傷、足底腱膜炎、肉離れ等の関節外の治療があります。 |
当院では、関節内には次世代PRPと呼ばれるものを使用しています。
脂肪由来幹細胞治療(ASC療法)とは?

脂肪組織や骨髄から採取した幹細胞を使用し、損傷した軟骨の再生を目指します。幹細胞は、損傷した膝の軟骨の修復と再生のために必要な細胞タイプに変化して分化する能力を持っており、また抗炎症性因子を放出して炎症を抑えることで痛みを減少させる能力もあります。効果の現れる速度は個人差が大きいですが、治療後数ヶ月以内に改善が見られることが一般的です。持続期間も患者の状態や追加治療の有無によって異なりますが、適切なケースでは長期にわたる効果が期待できます。
エクソソーム治療とは?
エクソソームは細胞から分泌される非常に小さな顆粒状の物質(直径50-150nm:ナノメートルは10億分の1メートル)で、細胞外小胞の一種とされており、表面には細胞膜由来の脂質、タンパク質を含み、内部には核酸やタンパク質など細胞内の物質を含んでいます。エクソソームは、細胞間の情報伝達ツールとしての機能があり、痛んだ血管や組織の再生を促す情報が含まれているので、効果として自己修復機能の促進と活性化、痛みの緩和と炎症の抑制、が期待されています。
再生医療のメリットとデメリット
再生医療のメリット
1. 損傷した組織の再生
再生医療の最大のメリットは、単に症状を抑えるのではなく、損傷した組織や臓器を実際に再生し、元の機能を回復させる可能性があることです。これにより、治療効果が長持ちし、患者の生活の質が大幅に向上する可能性があります。
2. 副作用のリスクが低い
自己の細胞を用いるため、他の治療方法と比較して拒絶反応や重篤な副作用のリスクが格段に低くなります。これは、移植や外来の薬剤による治療では避けられないリスクであることが多いです。
3. 最小限の侵襲
大掛かりな手術を避け、注射や点滴といった方法で治療が行えるため、患者の体への負担が少なく、回復期間が短くなります。入院は不要で、外来での治療になります。これにより、治療の受け入れやすさが向上します。
4. 持続的な改善
再生医療は、治療効果が持続的であることが期待されます。適切に組織が再生されると、その効果が恒久的になる可能性があり、治療を繰り返す必要性が低くなるかもしれません。
再生医療のデメリット
1. 高額な治療費
再生医療は技術が高度であり、専門的な設備と知識が必要です。そのため、治療費は高額で、多くの患者にとって経済的な負担が大きいです。また、ここで述べた再生医療は全て保険適用外であるため、全額自己負担となります。しかし医療費控除は適応になります。
2. 治療の結果には個人差がある
再生医療の効果は患者の年齢、健康状態、損傷の程度に大きく依存します。すべての患者に一貫した結果が得られるわけではなく、中には期待した改善が見られないケースもあります。
3. 長期的な安全性と効果の不確実性
再生医療は比較的新しい治療法であり、特に新しい技術については長期的な安全性や効果に関するデータが限られています。これが、臨床的な適用を躊躇させる要因の一つとなっています。
治療の流れとフォローアップ
治療の流れ
1.初診および画像診断
再生医療の適応を確認するため、MRIを用いて詳細な画像診断を行います。
2.説明と同意
画像診断の結果に基づき、医師が適応の可否を含めて詳しくご説明いたします。
3.治療計画の作成
診断結果に基づき、最適な治療プランを作成します。4.治療の実施
計画に基づき、再生医療を実施します。
5.フォローアップ
治療後の歩行分析、栄養指導、体脂肪と筋肉量測定を行い、治療効果を確認します。また、無料のリハビリ動画を提供し、回復をサポートします。
※治療の流れについては、実施する再生医療の種類によって変わることがあります。
徹底したリハビリサポート

治療後は、膝関節の安定性を強化するため、膝の筋力訓練、ストレッチ、バランス訓練が必要です。当院では、早期から理学療法士がマンツーマンでの関節可動域訓練を開始します。組織修復が進む段階で筋力増強運動や歩行練習を行うことで安定性を高め、疾患に応じた機能改善を目指します。特に股関節中殿筋、大腿四頭筋、ハムストリングを強化することによって膝関節の安定性、伸張性を獲得することが重要です。
※遠方からお越しの患者様には、近隣の医療機関様へ当院から紹介状を作成いたします。
当院で行う再生医療の特徴
最適な再生医療を – MRIで精密診断

再生医療の効果を最大限に引き出すためには、適切な診断が欠かせません。当クリニックでは、再生医療を検討されるすべての患者様に対して、まずMRIによる画像診断を受けていただくことを強くお勧めしています。これにより、再生医療が適応になるか、治療効果が得られるかを確認して、最適な治療プランを提供することができます。
経験豊富な専門医が在籍
当院には整形外科専門医が複数在籍しています。長年の実績に基づく確かな技術と安心のサポート体制で、患者様の早期回復を全力で支援いたします。
治療後まで徹底サポート – 安心のフォロー体制
当院では治療後の経過を丁寧にフォローアップしています。定期的な診察やを歩行分析を行い、回復状況を詳細に確認。また、理学療法士によるリハビリテーションを早期に実施することで、治療後の機能改善まで徹底してサポートいたします。
無料カウンセリングのご案内

当院では、再生医療に関する無料カウンセリングを実施しております。専門のスタッフが丁寧にご説明し、ご希望に応じて画像診断のご予約も承ります。
初診の患者様もお気軽にご利用いただけますので、どうぞ安心してお申し込みください。
無料カウンセリングの予約方法
WEB予約ページにアクセスしていただき、予約をとるを選択後に必要事項を入力し、予約種類の選択画面から