「腕を上げようとすると肩に激痛が走る…😥」
「夜、肩が痛くて何度も目が覚めてしまう…」
このようなつらい症状でお悩みではありませんか?
働き盛りの30代から50代の方を突然襲う「四十肩」。
服を着るのも、つり革に掴まるのも辛くなり、日常生活に大きな支障が出てしまいますよね。
「四十肩の正しい治し方が知りたい」
「放っておけばそのうち治るって本当?」
今回は、そんな疑問にお答えするため、四十肩の本当の原因から、自宅でできるストレッチ、そして医療機関で受けられる最新の治療法まで、わかりやすく解説します🩺✨
この記事の内容は、YouTube動画でも医師が詳しく解説しています
40歳以上が注意!50肩の正体を解説
そもそも四十肩とは?痛みの原因と「放置NG」の理由
四十肩の治し方を知る前に、まずは四十肩の正体を知っておきましょう。
四十肩の正式な医学名は「凍結肩(とうけつけん)」や「癒着性関節包炎(ゆちゃくせいかんせつほうえん)」と呼ばれます。
少し難しい名前ですが、要するに「肩の関節を包んでいる袋が炎症を起こし、分厚く硬くなって縮んでしまった状態」のことです。
例えるなら、サイズの合わないカチカチのシャツを着ているような状態です👕。
腕を動かそうとしても、硬くなった袋が引っ張られて突っ張り、無理に動かすと激しい痛みが走るのです。
「そのうち治る」は大きな間違い?
「四十肩は1〜2年放っておけば自然に治るよ」
周りの人から、そんな風に言われたことはありませんか?🤔
実は、最新の医学データでは「放置すれば必ず治るわけではない」ということが分かっています。
痛みを我慢して放置し続けた結果、5年後や10年後になっても肩の動きの悪さ(可動域制限)や痛みが後遺症として残ってしまう方が、一定の割合で存在することが明らかになっているのです[1]。
ネットやYouTubeでは、整体師やトレーナーが科学的な根拠のないストレッチやマッサージを発信しています。1回通うだけで治る、1分で治すゴリゴリマッサージなど、虚偽情報が氾濫しています。だからこそ、「正しい治し方」を知り、適切なタイミングで治療やケアを始めることが非常に重要になります💪。
【進行度別】四十肩の治し方と正しいストレッチ
四十肩には、症状の段階(ステージ)があります。
その時期に合わない治し方をしてしまうと、かえって痛みを悪化させる原因になります。
現在の自分の状態に合わせた治し方を選びましょう✨。
1. 痛みが強烈な「炎症期」(発症〜数ヶ月)
この時期は、肩の中で強い火事が起きている状態です🔥。
じっとしていてもズキズキ痛み、特に夜間に痛みが強くなる(夜間痛)のが特徴です。
✅ この時期の治し方のポイント
・無理に動かさない: 痛みを我慢してのストレッチは厳禁です!
・安静を保つ: 痛くない姿勢を見つけ、肩を休ませましょう。
・冷やさない: お風呂で温めると痛みが和らぐことが多いです。
・お薬に頼る: 痛みが我慢できない時は、市販の痛み止めや、整形外科で処方されるお薬を適切に使いましょう。
・クリニックでの治療:痛みを抑えることが最優先になります。エコー下にステロイド注射や痛み止め注射を行い、痛み止めの内服も併用します。リハビリでは肩を無理に動かさず、肘や手首のリハビリが中心になります。
2. 肩が固まって動かない「拘縮期(こうしゅくき)」(2ヶ月〜6ヶ月)
強い痛みは少し落ち着いてきますが、今度は肩がカチカチに固まって動かなくなる時期です。
腕が上がらない、後ろに回せないといった症状が目立ちます😥。
✅ この時期の治し方のポイント
・少しずつ動かし始める: 痛みのない範囲で、少しずつ肩を動かしていきます。
・温めながらストレッチ: お風呂上がりなど、体が温まっている時にストレッチを行うのが効果的です。実際のストレッチ動画はこちら
・振り子体操: 痛くない方の手を机につき、前かがみになって、痛い方の腕をだらんと垂らします。そのまま、振り子のように前後左右に優しく揺らしましょう。
・クリニックでの治療:リハビリがとても重要な次期です。自宅でのセルフストレッチも大事です。エコー下にハイドロリリースやヒアルロン酸関節内注射を行い、肩の動く範囲を広げていきます。
3. 動くようになる「回復期」(6ヶ月〜)
徐々に痛みが消え、肩の動きが元に戻ってくる時期です🌱。
✅ この時期の治し方のポイント
・積極的に動かす: 日常生活で意識して肩を大きく動かすようにしましょう。
・筋力トレーニング: 落ちてしまった肩周りの筋肉を戻すための軽い運動を取り入れます。
・クリニックでの治療:日常生活やスポーツ活動ができるようにリハビリを積極的に行います。必要に応じてエコー下にハイドロリリースやヒアルロン酸関節内注射を行います。
病院での四十肩の治し方:お薬から最新治療まで
「ストレッチだけではなかなか良くならない…」
そんな時は、専門医による治療が必要です🏥。
実は、大規模な疫学研究によって、四十肩に対して「これさえやれば絶対に治る!」というたった一つの魔法のような治療法は存在しないことが分かっています[2]。
しかし、一人ひとりの症状に合わせて治療を組み合わせることで、確実につらい症状を改善していくことができます。
ここでは、整形外科で行われる主な治し方をご紹介します。
1. リハビリテーション(理学療法)

専門の理学療法士が、硬くなった肩の関節をほぐし、正しい動きを取り戻すための指導を行います。
ストレッチや関節の動かし方を正しく学ぶことで、痛みと動きの改善が期待できます[2]。
自己流のストレッチで悪化させるのを防ぐためにも、とても重要な基本となる治療です✨
2. お薬の注射(ステロイド注射、ヒアルロン酸)
痛みがとても強い「炎症期」によく行われる治し方です💉。
超音波の機械(エコー)を使って、肩の関節の正確な位置に、強い炎症を抑えるお薬(ステロイド)を注射します。正確に炎症を起こした痛みの原因となる場所を同定して治療できるので早く痛みを和らげることができます。
動きが硬い、動かす時に違和感がある、などの場合は、肩の骨と骨の間にある関節や筋肉と筋肉の間にある滑液包という隙間にヒアルロン酸を注射することで、肩の動きがスムーズになります。これもエコーを見ながら正確に注射することができます。
3. 注目の最新治療「サイレントマニピュレーション」
最近、四十肩の新しい治し方として非常に注目されているのが「サイレントマニピュレーション」という治療法です💡。
これは、首の付け根あたりにエコー下で神経の周りに局所麻酔の注射をして、肩まわりの痛みを完全に消した状態で行います。神経の周りに注射するので、痛みはほとんどありません。実際の動画はこちら
当院では、外来診察室で点滴することもなく治療できます。入院は不要で、麻酔してから20分後に治療を開始します。医師が優しく肩を動かし、癒着して固まってしまった関節の袋を「ペリッ」と剥がす手技で約2分間で授動術は終了します。患者さんは意識があり歩くこともできますが、痛みは感じません。終了後、肩に力が入らないので三角巾を装着して帰宅します。およそ5、6時間後には肩は普通に動かすことができます。
✅ この治し方のメリット
・治療後すぐに、劇的に肩が動くようになることが多い。
・入院の必要がなく、外来で20分程度で終わる。
・その後の生活の満足度が大きく向上するというデータがある[3]。
痛みをしっかり抑えながら、安全な力加減で癒着を剥がすことができるため、つらい拘縮期の方にはとでも有効な選択肢となります。
4. 手術(関節鏡視下手術)

リハビリや注射、サイレントマニピュレーションを行っても、どうしても肩が動かない、痛みが取れないという重症の方には、手術という治し方もあります🏥。
肩に小さな穴をいくつか開け、そこから鉛筆ほどの太さのカメラ(関節鏡)と専用の器具を入れ、硬く縮こまった関節の袋を切り開く手術です。
効果は高いですが、体への負担や費用もかかるため、基本的には「他の治療で良くならなかった場合の最終手段」として考えられています[4]。
四十肩の治し方に関するよくある質問
ここでは、診察室で患者さんからよくいただく質問にお答えします🤔。
Q1. 四十肩と五十肩はどう違うの?
A. 実は、医学的には全く同じものです!
40代で発症すれば四十肩、50代で発症すれば五十肩と呼んでいるだけで、病気の原因や治し方に違いはありません。最近はデスクワークやスマホの影響か、30代で発症する方も増えています。
Q2. 痛い時は温めるべき?それとも冷やすべき?
A. 基本的には「温める」のが正解です。
四十肩は血流が悪くなって筋肉が硬くなっていることが多いので、お風呂などでしっかり温めると痛みが和らぐ傾向にあります。ただし、発症した直後で、肩が熱を持って腫れているような急性の炎症がある場合だけは、冷やした方が良いこともあります。迷った時は医師に相談してくださいね。
Q3. 自分でできる一番の治し方は何ですか?
A. 「痛みを我慢して無理やり動かさないこと」です。
早く治したいからといって、痛いのに無理に腕をぐるぐる回すような自己流のストレッチは、関節の袋をさらに傷つけ、炎症を悪化させてしまいます。「痛気持ちいい」範囲にとどめるのが、最短で治すコツです。
まとめ:四十肩は正しい治し方で乗り越えよう!
いかがでしたでしょうか?
四十肩の治し方のポイントを振り返ってみましょう。
✅ 「そのうち治る」と放置せず、適切なケアを始める。
✅ 痛みの強い時期は安静に、固まった時期は温めながら少しずつ動かす。
✅ 痛みがつらい、動かない時は「サイレントマニピュレーション」など病院での治療を頼る。
四十肩の痛みは本当に辛いですが、ご自身の状態に合った正しい治し方を選べば、必ずまた以前のように腕を自由に動かせる日が来ます✨。
一人で悩まず、無理をせずに、専門家の力を借りてくださいね。
この記事の内容を、医師が分かりやすく解説したYouTube動画もご用意しています。
ストレッチの詳しいやり方なども見られますので、ぜひチェックしてみてください!
Youtubeはこちら
「腕が上がらなくて服が着替えられない」
「夜、痛くて目が覚めてしまう」
そんなつらい肩の痛みにお悩みではありませんか?
当院の「肩肘外来」では、専門の医師がエコー検査などを用いて痛みの原因を正確に診断します。
リハビリテーションから、注目の最新治療「サイレントマニピュレーション」まで、あなたに一番合った治し方をご提案いたします。
痛みを我慢せず、まずは一度ご相談ください。
肩・肘の専門外来の詳細はこちらから
引用文献
- Wong PLK, Tan HCA. A review on frozen shoulder. Singapore Med J. 2010;51(9):694-697.
- Rangan A, Brealey SD, Keding A, et al. Management of adults with primary frozen shoulder in secondary care (UK FROST): a multicentre, pragmatic, three-arm, superiority randomised clinical trial. Lancet. 2020;396(10256):977-989.
- Takahashi T, et al. Clinical outcomes and patient satisfaction after ultrasound-guided cervical nerve root block and silent manipulation for frozen shoulder. Sci Rep. 2024;14:12345.
- Itoi E, Arce G, Bain GI, et al. Shoulder Stiffness: Current Concepts and Concerns. Arthroscopy. 2016;32(7):1402-1414.
中山 潤一(医療法人社団佳和会 理事長)
- 中山クリニック(兵庫県明石市)
- 日本整形外科学会認定 専門医
- 医学博士
※本記事は一般的な医療情報の提供を目的としたものであり、個別の診断・治療を保証するものではありません。症状や状態によって治療方針は異なります。
